2010年8月27日金曜日

逆噴射装置って何?8月17日のNH411便の問題の解説

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

2010年8月17日に、全日空の羽田発神戸行き411便が、2つある逆噴射装置が全く作動しない状態のまま着陸していたことがわかり、各メディアが報じていたのを覚えている人は多いと思う。しかし、このニュース、テレビで見ても逆噴射装置が分からない人は多かったのでは無いであろうか。ニュース番組(テレ朝,TBS News-i)が流す資料映像が、何故か羽田空港の離陸映像ばかりで、神戸空港の着陸映像が無いからだ。

逆噴射装置は名前の通り、通常は後方に向いている推力を前方に向ける装置だ。飛行機の着陸時に騒音が激しくなるが、あれは逆噴射装置が作動しているために発生する音である。推力を前に振り分ける事により、ブレーキが良くかかるので着陸距離を短くする事ができる。上の写真は逆噴射装置稼働中のエンジンだ。

以下の二枚の写真は、神戸空港で撮影された問題の機体と同型機A320の動画の、逆噴射装置の稼働中と停止中のエンジンの状態である。逆光で分かりづらいかも知れないが、エンジンの側面の外装が外れている。

エンジン後部に覆いかぶさり全推力を前方に転じるクラムシェル方式と、エンジンの脇からバイパスで過半の推力を前方に逃がすカスケード方式があるが、A320は後者だ。下の動画は、神戸空港へ着陸するA320だ。上の写真のシーンを含む逆噴射装置の稼動が43秒~1分7秒にあるのでエンジンに注目して見て欲しい。

さて、動画を見れば分かるが、神戸空港でA320が正常に逆噴射装置を動かすと、滑走路の中央で停止できてしまう。当日の天候も良く、整備上の問題があったANA411便に危険性はほとんど無かったと言えるであろう。A320の着陸滑走距離は1,550mだが、安全のための余裕を抜くと、930mで着陸できるためだ。

しかし大型機が滑走路が短い空港に、雪や雨の天候で着陸する場合などは、逆噴射装置が稼動しないとオーバーランする確率は一気に高くなる。最近の空港の滑走路は長めだが、今回の事例は重大な整備不良と言わざるをえない。全日本空輸には、整備後の点検をもっと厳しく行って頂きたい。

0 コメント:

コメントを投稿