2013年4月9日火曜日

ネットを始める前の子供に読ませたい「詭弁論理学」

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詭弁論理学」は論理的に誤りのある議論の仕方を、平易に記述、紹介している本だ。中高生向きの推薦図書にしたいと思う本は少ないのだが、これは正にそういう本だと思う。

ウェブに限らずインターネットでは常に情報を判断して咀嚼する必要があり、子供が正しく情報を吸収できるかは、保護者の心配事の一つであろう。本書は、ある種の言説に騙されないリテラシーが身に付きそうな本になっている。

1. 強弁術と詭弁術

四章で構成されており、第Ⅰ章で強弁術と詭弁術を分類したあとに、第Ⅱ章で強弁術、第Ⅲ章で詭弁術、第Ⅳ章で代表的な論理パズルとパラドックスを紹介している。強弁術が非論理的な無理押しで、詭弁術が論理的な主張の誤りになるそうだ。ただし、両者の区切りは明確ではなく、二分法や相殺法などどちらとも言えない話法もある。

2. 詭弁術の章が軸

強弁術の章は著者の個人的な恨み経験が多く紹介されており、詭弁術の章は一般的な事例で説明が構成されている。よりテキストらしいのは、タイトルにもなっている詭弁術の部分だ。詭弁を詭弁と認識するには、正しい論理を把握する必要があるので、正しい論理のテキストにもならざるをえないと言う事なのであろう。論理パズルとパラドックスの部分が、論理的議論の実習となるようだ。

3. こういうのいるよねと実感できる

ネットで見かける論理的におかしい議論は、ほぼ網羅されている。放射性物質の議論などが、正に詭弁が良く見られた。例えば、地域でも食べ物でも危険か安全かに単純かつ不合理に分ける二分法が良く見られた。カリスマ的なベンチャー企業家の逮捕のときに、他も同様の行為を行っていると主張する相殺法を用いている人は多数いた。他にも逆を不用意に真と見なす例や、風が吹けば桶屋が儲かる的なドミノ理論も多く見られるわけだが。

4. なぞなぞオヤジ対策にも使える

論理パズルとパラドックスの部分は、さすがに詭弁云々とはあまり関係ない気がするものもあるのだが、ドヤ顔でこういうナゾナゾ*1を出しているオジサンに小馬鹿にされないためには知っておくと良いかも知れない。あまりスパッと答えてしまうと、心証が悪くなるだろうけど。

5. あわせて読みたい/読ませたい本

ただし、この本一冊でネット・リテラシーが万全になるわけではない。他にも二つ、リテラシー補強を行っておく方が良いであろう。一つは、本書でも「数字にダマされるな」「数字をバカにするな」の節で指摘されているが、議論の前提となる統計などの数字に関しての知識で、「統計でウソをつく法」を読んでおいた方がいい。一つは、議論される政策などの是非の判断基準についてで、「功利主義入門」か「幸せのための経済学」を読んでおいた方がいい。

6. 場合によっては、大人にも役立つ

本書を読みきれる子供は、そもそもリテラシーが高い気がするのだが、保護者が要求水準を子供に明確にするだけでも意味があるであろう。昨今のネット界隈の議論を見ていると、子供が成人していそうな年齢の人々が、詭弁を弄して戦っていたりするわけだが。

*1『分かれ道があり、片方が天国、片方が地獄に続きます。それぞれの道の前に御地蔵さんがいて、「はい」か「いいえ」で答えられる質問に、一つだけ答えてくれます。ただし片方の御地蔵さんは必ず真実の答えを、もう片方の御地蔵さんは必ず嘘の答えを返し、片方に質問したら、もう片方には質問できません。どのような質問をしたら、確実に天国にいけるでしょうか?』のようなナゾナゾ。

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