やまもといちろう氏が、「日本の出生率を上げようよ、平たく言うと子供生もうよ」についた批判について、「どの辺が事実誤認なのかを教えて欲しいんだよね(雑記)」と言っている。
出生率に関する議論としては三点あると思う:(1)出生率が低下した理由。(2)出生率を改善する方法。(3)出生率引き上げの是非。やまもと氏が議論したのは(2)であり、国民の出産インセンティブが増すように、政治に働きかけていこうと言う主張だ。
大きな異論は無いのだが、あえて批判してみよう。やまもと氏は集票最大化マシンとして政党を捉えているようなのだが、集票最大化以外の政策バイアスがあって、出生率向上する政策でも、それを実行したがらないかも知れない。
保守的に大家族が望ましい*1と考えている政党は、それが出生率向上につながっても母子家庭を支援する事を望まないかも知れない。他の政策は人気取りに使えても、家族や社会保障に関する部分は譲らないこともあるわけだ*2。
そんな政党には投票しなければいいと思うかも知れないが、政治で少子化対策が注目されることは少ない。前回衆院選での民主党と自民党の子育て支援を見てみると、民主党が3歳未満の保育充実、自民党が3歳以上の就学前教育充実をあげていたが、ほとんど注目されなかった。やまもといちろう氏もブログで取り上げていないはずだ。
つまり、メディアや政治家のバイアスを無視して、政治に働きかければ良いと言うのは素朴すぎるように感じる人もいる*3であろう。出生率引き上げの是非について、「地域や社会を衰退させないために」と言うのも素朴すぎる*4なと思ったが、ここは議論が長くなるので割愛する。
そんじゃーね
*1もっとも研究では江戸時代は核家族だったらしく、大家族は戦前の一時期に流行っただけだと考えられる。伝統的には夫婦別姓で保守的には夫婦同姓だったりするし(明治9年3月17日太政官指令15号)、維新の会が保守を謳ったりするし、江戸時代の保守(敵討ち可?)と言い出すし・・・立ち戻るべき時代が無い保守を保守と呼べるかは良く分からない。
*2母親を支援して少子化対策と言うと美しいが、子供が四人いる未婚の母が一戸建てで優雅な暮らしをする事を許容できる人は少ないと思う。未婚出産が44%に達する英国では、11人の子供がいる無職で母親が2軒の家に済んでいる事例もある(Mail Online)。出生率向上策の弊害部分を看過できるかは見解が分かれると思われる。
*3もう何十年も少子化が問題だと言われ続けてきた中で、社会が少子化するような政策ばかりとって来ており、メディアを含めてそれを推進してきた実態から考えると、世論を変えれば解決すると言うのは楽観的すぎないかと言うのが、小飼弾氏の指摘だと思う。違うかも。そんじゃーね。
*4これは意地悪な見方なので無視すべきだと思うが、国家ありきで国民の厚生を主体に考えていない言い回しになる。
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