フェミニストの話を聞いていると、性差についての考察がほとんど無いように感じることがある。男女差について漠然としか認識していなかったので、まとまった知識を確認しようと『男が知りたい女のからだ』を手にとって見たのだが、保健体育の教科書的な、産婦人科医が男に知って欲しい女のからだと言う内容だった。もちろん中身は男性が知っておいてもいい内容ではあるけれど。
当たり前なのだが、性交、妊娠、出産にまつわる記述が多い。月経前症候群(PMS)、子宮筋腫、子宮内膜症、感染症などの記述がもっとあっても良いかなと思うが、ある程度は網羅的には書かれている。妻や恋人が便秘がちな理由を知らない人は、保健体育の時間に寝ていたのだと思うが、本書を手にとって読む価値はあるであろう。イラスト的に電車の中で読む事は勧め難いが。
本書が出たのは1999年なので、最近は男女で数学的能力に差は無い事も報告されている事などは触れられておらず、子宮頸がんワクチンなどのトピックは扱われていない(関連記事:子宮頚がんワクチンについて知っておくべき10のこと)。内容はやや古い部分もあるかも知れない。ともかく、女性が抱える体の問題は、男性で該当するような問題はほとんど無い事を再確認できる。
こういう身体的な問題が、男女の業務遂行能力の差に結びつくのかは分からないし、あまり関係ない気もするのだが、やはり男女で関心事項が変わってくる要因にはなりそうだ。こんな事を言うとフェミニストに怒られるのかも知れないが、生物学的な制約はイデオロギーでは無くす事はできないので、現実的な問題を解決するためには知識を入れておくことは重要だ。東日本大震災の被災地で生理用品が不足して問題になっていたのは、まだ記憶に新しい。
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