2013年4月13日土曜日

サッチャー時代のイギリス

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タイトルは森嶋道夫氏の著書「サッチャー時代のイギリス」から。

先日、逝去されたイギリスのサッチャー元首相だが、葬式を入札にしろとか、葬式の警備に費用がかかるとか色々言われているぐらい、英国の労働者には嫌われている。

大きな政府から小さな政府に政策転換をした、新自由主義者の守護天使、もしくは保守のアイコンとして名高いだけはある。経済学的にはインフレ・ファイターなのだと思うけれども。

インフレ対策として財政再建が最も効果的なのは、異議がある人は少ないであろう。サッチャーの第一の功績は、支出抑制による財政再建と高金利政策によるインフレ抑制に思える*1。炭鉱労働者を大量に失業状態に追い込んだ事で知られているが、70年代に20%に迫ることも多々あったインフレ率は、サッチャー政権の中期では5%程度に、末期でも10%程度に押さえ込まれた

ただし4~6%だった失業率は、一時は12%、政権末期には下落しても7%ぐらいまで高まった。実質GDP成長率などを見てみると、落ちていないか他の先進国と比較して良くなっているので、経済全体としては効率性が上がったのであろう。見る人によっては悪魔で、見る人によっては偉人となるのはやむを得ない。

TIME.comでゴシップな話しが紹介されていた。化学者でソフトクリームの開発に関わったとか、よく徹夜で仕事をしていたとか、ターコイズ色が好きだったとか、お召し物は保守的な暗い色だったとか、クラシック好きで大学時代に聖歌隊にいたとか、テニス観戦が好きだったとか・・・どうでもいい。

何はともあれ一時代を築いた人で、カドの立った人であった。首相を辞めてから20年以上経つのに、オズの魔法使いの挿入歌、「鐘を鳴らせ!悪い魔女は死んだ(Ding Dong! The witch is dead)」で、その死を悼む人が多いようだ(AFP)。ご冥福をお祈りしたい。

*1法人税・所得税の減税、消費税の増税など税制改革も行っている。その他の功績の議論については、「サッチャーの失敗した成功」「サッチャーの功績」の紹介が興味深い。

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