翻訳家の山形浩生氏がボストンマラソンで爆弾テロを起こした犯人が、アルカイダのネット雑誌に感化されたのでは無いかと考察しているのだが、御本人は良く分かっていると思う*1が、関係ない可能性も十分ある。簡易型の時限爆弾を作るのって、大した技術は要らないし、特に米国では難しく無いからだ。
時限爆弾の作り方を考えてみよう。これを見ても実際に何も作れるようにはならないが、爆弾製造の要件の理解にはなるはずだ。日本には武器等製造法などがあるので、間違っても製造を試みないように。
- 電気式の着火装置を作る。スチール・ウールから細い鉄線を取り出し、銅線-細い鉄線-銅線とつなぎ、接続点とマッチを束にして、9V程度の電気を流すと着火する(Youtube)。もっと単純に電熱線(ニクロム線)でも構わないかも知れない。
- 黒色火薬を用意する。原料は木炭と硫黄と硝酸カリウム。作り方は分量を量って良く混ぜるだけだ(Youtube)。日本だと硝酸カリウムの入手が困難で足がつく。戦国時代みたいに自家製と言うわけにもいかないであろう。
- 電気式の雷管を作る。検索するとサバ管みたいな形状のものもあるが、鉄パイプに黒色火薬を詰めて、電気式の着火装置をつなげる。電気を通すと両方のパイプ先端から火を噴くことになると思われる。ここでミスをすると、致命傷を負ったりする。
- 時限起爆装置を作る。オン・ディレイ・タイマで検索すると、色々な回路が見つかる*2。安易な方法としては、タイマーIC555と言う便利なモノに、大きめのコンデンサーとリレーを接続すれば良いようだ(Youtube)。リレーで雷管が爆発するように接続する。
- ANFO火薬を用意する。原料は硝酸アンモニウムと軽油で、つまり肥料から作る事ができる。製造工程は確認できなかったのだが、最近の中東のテロもこれを使っているようだ。
- 時限爆弾を作成する。時限起爆装置でANFO火薬が爆発するようにセットすれば、即席爆発装置(IED)が完成になる。
ANFO火薬で木の切り株を吹っ飛ばしている動画があるので、米国だと電気雷管とANFO火薬の入手は容易なようだ。上記の手順の(4)だけが問題になる。内戦地域では信管と弾薬が豊富で、ケータイ電話を接続していたりするようだ。実はほとんどノウハウは要らない。
なお、オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件がANFO火薬を用いたものであったが、ボストンマラソンの爆弾テロは爆発は小規模なので、プラスチック爆弾C4かTNT火薬を使った可能性もあるし、スラリー爆薬かも知れない(追記(2016/12/10 15:38):黒色火薬であった)。
しかし爆弾テロは、危ないのは変わらないけれども、現代社会においては大したノウハウの要らない行為になってしまった。お金にならない程度の技術力で、十分に殺傷力のある行為ができる。他人を殺すより他人にお金を払ってもらう方がずっと難しいのが、資本主義社会と言う事であろう。
*1「なんか別にアルカイダと関連づける必要ないかも。」と言うエントリーも書かれている。
*2目覚まし時計やアナログ・タイマーを使って、ピタゴラスイッチ的な機構を使っても良い。なお、キッチンタイマーを改造したくなるが、圧電ブザーへの信号は小刻みな波形になって積分回路が必要になるし、時間をセットしたときにも圧電ブザーへ電気が流れるので、PICなどでの制御がいるようだ。
追記(2020/02/02 01:14):別に発火ぐらいならばPICなど高級なものは要らなかった。コンデンサーとダイオードとトランジスタで、周期を伸ばしつつ電流増幅が可能なので問題無さそうである(目覚まし時計から信号を取り出してみよう)。なお、最初に時間をセットしたときに音がなるものだと、そこで自滅して終わる。
追記(2016/12/10 15:00):突然、電子回路を使わない方法を思いついたので追記。
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