2010年9月8日水曜日

子宮頚がんワクチンについて知っておくべき10のこと

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今年に入り、地方自治体で子宮頚がんワクチンへの補助を決める所が増えてきた。厚生労働省も、来年度予算にワクチンの助成で150億円を計上している。朝日新聞の社説でも、子宮頸がんワクチンの公費負担を主張しているのだが、このワクチンについて良く知らない人は多いのではないであろうか。

このままでは新たな国庫負担になるのは確実そうなので、有権者として最低限知っておくべき10のことをまとめてみた。

1. 子宮頚がん患者数は年間1万5000人、死亡者数は3,500人程度
患者数の統計は論者によって多少の差があるのだが、MRIC by 医療ガバナンス学会のメールマガジンを参照した。子宮がんの7割を占めると言われている女性の病気の代表例だ。
2. 子宮頚がんは、40代以降の患者が多いが、近年は30代以下の患者も増えている
性交渉が活発化・低年齢化したためだと思われるが、妊娠・出産前の女性が子宮頚がんになるケースが増えている(gooヘルスケア)。
3. 子宮頚がんは、ウイルスが原因で起きる
性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因とされている。ドイツのハラルド・ツア・ハウゼン氏が発見し、HPVに関連する一連の研究によって、2008年のノーベル生理学・医学賞を受賞している。
4. 原因ウイルスに感染した人の0.1%~0.15%しか子宮頚がんには発展しない
HPVに感染しても、90%の人は免疫でHPVを消失させると言われている。運悪くHPVのキャリアになって、発ガンするとは限らない。発ガンする場合も、数年から数十年の期間がかかると言われる。
5. 癌ではなく、癌の原因ウイルスへのワクチン
現状で、ワクチンで唯一予防できる癌とされる子宮頚がんだが、実際のところはHPVを予防することで、ガンの発生を防ぐ。
6. 米国では2種類認可されており、日本でも1種類認可されている
日本では、英グラクソ・スミスクライン社製サーバリックスのみが認可されている。米メルク社のガーダシルは認可されていない。
7. ワクチン接種費用は、5万円以上(サーバリックス)
健康保険外で、新薬の部類なのでワクチン接種費用は高い。サーバリックスは3回接種が必要で、1回につき1万5000円~2万円の費用がかかる。
8. ワクチン有効期間は、最低6年以上
開発されてから間が無いので、有効期間は正確にはわかっておらず、20年以上は期待されている。しかし、現段階で分かっているのは最低6年以上だと言う事。
9. ワクチンは全てのHPVを予防できない
HPVには100以上の種類があるとされ、癌を引き起こすリスクが高いものも20種類程度があるが、サーバリックスでHPV16型・18型の免疫しかできない。これらは日本人の持つHPVの60~70%の比率を占めると言われるが、ワクチン接種をしたからといって子宮頚がんを完全には予防できないことを意味する。
10. ワクチン接種による社会的便益は190億円
自治医科大学付属さいたま医療センターの今野良教授によると、仮に12歳の全女児にワクチンを3回接種した場合、ワクチンにかかる費用は約210億円。これに対し、治療費の節減効果は約170億円。さらに、治療による仕事の中断や死亡による労働損失約230億円の計約400億円を抑制でき、社会全体で約190億円の費用削減が期待できるそうだ(産経ニュース)。

気になったことがある。どうも子宮頚がんワクチンを推進している人のシナリオでは、ワクチンが効くHPVを全滅させた場合、HPVの保有者の数は60~70%減になるようだ。しかし、ワクチンが効くHPVに代わって、ワクチンが効かないHPVが増える事は無いのであろうか?

子宮頚がんワクチンは開発されてから日が浅く、10年を超えるような長期統計的にワクチンの効果は実証されていないし、特定種類のHPVを駆逐するような一斉投与も行われていない。このままの流れでワクチンの一斉投与を始めると、日本全体で壮大な臨床実験をすることになりそうだ。

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