2010年12月19日日曜日

汚水から資源を回収する技術

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石油などの鉱物由来の資源無しでは生きていけない現代人だが、資源を利用後に安易に汚水を排出すると、環境問題が発生する。また、中国やインドなどの経済成長に伴い、資源への需要が高まり、資源価格が高騰して来ているため、省資源な技術や、資源回収技術が注目されている。最近話題になった再資源化技術の中で、特に汚水から資源を回収する技術をまとめてみた。

1. 生物的硝化脱窒(BDN)法
汚水に有機物が含まれる場合、そのまま排水すると河川や海を汚染する。そこで有機物を活性汚泥法で分解することで、アンモニアが発生させ、これは好気性バクテリアによって亜硝酸、硝酸と変化させる(硝化)。さらに硝酸を嫌気性バクテリアで、窒素・二酸化炭素・水へ分解するのがBDN法だ。汚水の浄化だけではなく、窒素と二酸化炭素が気化するので排水量の大幅削減も可能になる上、沈殿する副産物が肥料になる(東洋経済)。
2. リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)反応
汚水に空気を送り込んで弱アルカリ性にすることで、水溶性リンをリン酸マグネシウムアンモニウムに結晶化させ、金網などの回収用部材の表面に付着させる技術。塩化マグネシウムを投与すると回収率があがる。回収したリンは肥料として再利用をすることができる。豚舎汚水からの回収実験が進んでおり、回収用部材の改良などが行われているようだ(ひびの)。豚は穀物内のリン化合物をそのまま排出してしまうため、豚を遺伝子改良してリンの排出量を減らす技術も開発されているが、汚水からリンを回収する方が実用はしやすいであろう。
3. ヒョウタンゴケ
鉛が溶けた排水で育てると、乾燥重量で70%が鉛になる苔。イオン交換樹脂よりも多くの鉛を吸着する。重金属廃水処理システムに応用が期待されている。品種改良でレアメタルの改良も期待されている(WIRED VISION)。
4. シワネワ・アルジェ
海中に住む細菌で、泥中の金属イオンを取り込み酸化させ、体外に出す。LCD工場から出る廃液と同程度の濃度のインジウム水溶液に入れると、約30分で全てを取り込み、水酸化インジウムとして細胞表面に析出したそうだ(MRB.ne.jp)。
5. オーランチオキトリウム
海水や泥の中などにすむ単細胞の藻類で、沖縄の海で採取された種が極めて高い油の生産能力を持つ。1ヘクタールのプールで年間約1万トンのバイオ油を生産でき、リッター50円以下のコストが可能で、生活排水で培養するアイディアがある(asahi.com)。

(1)のBDN法は実用化されており、(2)のMAP反応と(3)のヒョウタンゴケは実用実験の段階まで来ている。(4)と(5)は有望な研究段階と言ったところだ。なお、リンを回収し窒素を除去できるのだからカリウムはどうかと調べたが、特に目だった技術は無さそうだった。

もちろん、広く普及させるためには課題も多いと思われる。生ゴミから作るRDFは、2003年ぐらいまでは製造工場が積極的に建設されていたが、RDFの需要が少なく社会問題になっている。それでも資源価格が上昇してきている上に、環境基準も年々厳しくなるので、陽の目を見る技術は今後、増えてくるだろう。

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