2010年10月25日にムラピ山(Gunung Merapi)が噴火し、火砕流で付近の村に被害を出したあと、噴煙が上空10kmまで上がった。その結果、エンジンは火山灰を吸い込むと停止するため、航空機の運航が広い範囲で不可能となった。
この自然災害で、どのぐらい広い範囲に火山灰が流れていたか分かる衛星写真がNASAで公開されていたので、紹介したい(NASA)。NASAの衛星オーロラ搭載のOMIが、11月4日~8日に撮影し、11月11日に公開された硫黄酸化物(SOx)の濃度図だ。
地図の右上がインドネシア、右下にオーストラリアがある。茶色いところがドブソン単位(地表から大気圏上限までの気柱に含まれる分子を、1気圧0℃に地表に集めた場合の厚さ)で測られた、SOx濃度が濃いところだ。オーストラリア・ダーウィンの火山灰警報センターは、火山灰は上空12,000~15,000m、一部は対流圏に達し、インド洋まで広がっていると報告している。
SOxは人体に有害なだけではなく、地球を寒冷化させる効果がある。つまり上空では、水蒸気の影響で硫化鉄を作り出すが、硫化鉄(FeS2)は日光を反射する効果がある。赤道近くで成層圏に達すれば、数ヶ月か数年間、太陽光を反射する粒子になって、地球を寒冷化しうる。
過去のインドネシアの火山の大噴火では、北半球全体で冷害と飢饉を引き起こしたと考えられるものもあるそうだが、今回のムラピ山の噴火は、1991年のフィリピン・ピナツボ火山の噴火の1%程度の排出量なので、気候に大きな影響は無いようだ。
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