2024年7月31日水曜日

SNSでの悪評を受けて撤回・謝罪に舵を切った企業を罵る人々

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しまむら×加賀美健のコラボ商品の「パパはいつも寝てる」「パパは全然面倒みてくれない」と言うメッセージが書かれた靴下がSNSで男性蔑視だと非難され販売中止になり*1、書店受けの『エルフ先生のトイレはどこですか?①』のポップが女性蔑視や性的倒錯と言うような非難を受けて撤去された*2

行政指導があったわけではなく、ボイコットのような社会圧もなく、企業の自主的な判断だ。表現の自由と言う観点から大きな問題はない。マンガやアニメなどの表現物への非難を批判してきた表現の自由戦士が、「極めて愚かな行為」「「女上げ男サゲだったら許されてるだろーがw」という反論はキャンセルに抵抗する「男性向け表現」にとって武器だったが、それが使えなくなる」「キャンセルしようとする連中に「このやり方で嫌いな表現を追い出せるんだ!」と学習させ自信をつけさせるな」と批判しているが、これまで男女の公平性という脆弱な観点から反論してきたのがおかしいし、非難している人々は帰結を気にしていないので、撤回されたからと言って今後の非難が大きくなる蓋然性も低い。そもそも非難の声が大きいことは大した問題ではない。表現の自由は非難されない権利ではないからだ。表現の自由を守りたいのではなく、表現物への非難を許したくないのがあらわになっている

ところで表現の自由と言う観点を離れれば、2社の撤回は疑問が残る判断だ。一度世にだしたものを撤回するのは、経営として上手くない。販売中止にしろ、ポップの回収にしろ、投資が無駄になる判断だ。事前に非難を予測できなかったのか、投資損失を上回る企業価値の低下が生じる商品やポップであったのかは自明ではない。コラボ商品の方は、この世のお父さんが冷や汗をかくかも知れないが、たぶんそれだけであるし、ポップの方は下品ではあるが、不法行為になるようなものではないし、上品さを売りにしている企業でも無いはずだ。非難を覚悟して実施すると言う選択肢は無かったのであろうか。万人に文句を言われない無難さは、万人に愛されるものとは限らず、必ずしも売上に貢献するとは限らない。

*1「パパディスがひどい」しまむらG子供用新商品が炎上で販売中止「深くお詫び申し上げます」 | 東スポWEB

*2作者がポップの映像をツイートしているが、これとは関係なく編集部が謝罪している。

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