2024年7月10日水曜日

政治家や市民活動家への支持を表明することは政治的行為だから

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都に事業委託先の監査請求を行ったり、𝕏/TwitterやBLOGで受けた非難を不法行為だと訴訟を起こしたり、東京都知事選に出馬したりと、個人で政治/市民活動を行っている暇空茜氏への支持を表明している岩下の新生姜で知られる岩下食品の社長、岩下和了氏へ、暇空氏の活動を善しとしない人々から批判が集まっている。

他者の意見も尊重しなければならないと言う素朴な発想からだろうが、岩下氏への批判が不当だと批判者を批判する人も出てきた。しかし、政治家や市民活動家への支持を表明することは、政治的行為で意見を表明しているのと変わらない。民主制度の根幹となる言論の自由から考えて、批判の存在は認めるべきだ。また、暇空支持者は暇空氏の活動資金の提供をしていたりするので、暇空氏の活動に対する影響は小さくない。

不買運動や苦情電話は不当と言うのは、今回の岩下和了氏の暇空支持に関しては妥当な意見だ。不買運動自体は不当な手段とは限らないし*1、そもそも今回は組織的な不買運動は観察されない*2が、岩下食品の社長の政治的姿勢は岩下食品の事業と独立しているので、岩下食品のボイコットは的が絞れていない。また、岩田氏は(その是非はさておき)暇空氏の活動を十分把握していない可能性があるので、それを説明する方が先である。取引先への苦情電話はもちろん、岩下食品への苦情電話も、粘着質に行えば威力業務妨害になりうる*3

内心の自由や投票の秘密、匿名での言論活動など、誰を支持するかを表明しない自由、誰を支持しているか隠す権利への侵害は、強く非難されるべき。しかし、誰かを公に支持すると表明すれば、その誰かをトンデモだと思っている人々から良識を疑われることは避けられないし、意見を表明したのだから批判は甘受しなければならない。業務遂行に関係のない政治的立場を理由に、人格を役職から降ろしたり、職場や共同体から追放するキャンセルカルチャーで口を封じようとする動きは控えるべきだが*4、批判は抑制すべきではない。

*1勝部元気氏が「もう絶対買わないし、取引先の企業や飲食店等には購買や契約の打ち切りを強く求めたいレベルの酷さ」とツイートしているが、実際に不買を呼びかけてはいない。「殺したいぐらい憎い」と言う発言は、殺人を行った証拠でも、殺害予告でもない。岩下の新生姜を使っているとメニューに明記しているたこ焼たこばに苦情の電話があったことは確認されているが、他が行われているか、継続されているかは不明である。なお、岩下の新生姜のネット販売は好調で、たこ焼たこばは支持者が大挙して来店したそうだ。不買運動に至っていないが、ボイコットを成立させるのが難しいことが分かる。

*2不買運動は従来から広く行われてきている一方で、手法自体は違法なものだとも考えられていない。環境汚染の原因になっていたり、児童労働を使っている会社の製品のボイコットの呼びかけであれば、おかしな事だというのは難しい。

*3弁護士への大量懲戒請求事件などがそうだが、よく考えずに抗議活動を行うと不法行為になることがある。

*4岩下社長の辞任を求めて岩下食品への不買運動が行われていたら、キャンセルカルチャーとなる。ボイコットは法人の市場からの追放なので、社長の政治思想が理由であればキャンセルカルチャーの一形態とも看做せるが、社長の思想で取引を躊躇う消費者や取引先は乏しい。アパホテルの経営陣の政治思想が話題になることは多いが、アパホテルの経営は堅実である。文句をつけている人も宿泊しているし。

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