東通原発の非常用発電機の不具合で、原子力安全・保安院はリスク管理の素人である事が分かった。何が分かっていないかと言うと、バックアップ機器同士の故障・破損確率は独立でないといけないと言う事だ。確率論のイロハだが、彼らは恐らく分かっていない。
同じようなモノは、同じように壊れる。大地震が起きれば、外部電源は三系統あっても容易に喪失する。予備発電機が二つあっても、同じ場所に置いておけば一回の津波で両方とも故障する可能性があり、同じ機種で同時期に調達したものであれば、同じロット不良が存在する可能性がある。
東通原発の主電源復活後の非常用発電機の故障で、「原子力安全・保安院はこれまで原子炉の停止中は1台でよかった稼働できる発電機の数を、運転中と同じ2台以上確保するよう電力各社に指示」したそうだ(NHK)。
多重化は純粋に偶発的なトラブルにはバックアップになる。しかし、トラブルの原因が多重化された装置全てに影響する場合、バックアップにならない。例えば作業員の保守手順の誤解で不具合が発生していたとしたら、何台あっても全て壊れている事になる。バックアップにはならない。そして東通のケースでも、人為的なミスが疑われている(読売新聞)。
なお東北電力は、今回の福島第一原発での災害を受けて、3月末から電源車3台によるディザスタ・リカバリを準備している(47NEWS)。つまり、バックアップ手段は用意されており、不具合の是非はともかく有効な対策は既に打たれている。
さらに安全性を向上させるには、この東北電力のバックアップ作戦が有効に機能しないケース、例えば地震で道路が寸断された事などを考える必要がある。電源車は8t弱の重量があり、空輸するなら自衛隊のヘルコプター(CH-47チヌーク)が必要になるので、自衛隊への連絡方法を確保し、自衛隊の展開時間を計算する必要がある。
2 コメント:
私は身を持ってその教訓を得ました。
数年前、DELLのサーバマシンがバックアップ含めて4台全部、定期停電後起動しなくなりました。
4台同時に潰れるなんて、前もって誰かに忠告されても絶対信じなかったと思います。
>>Nakamaさん
コメントありがとうございます。
原子力安全・保安院に、そういう経験や知見があるのか不安を感じざるを得ない報道が続いていますね。
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