2018年8月16日木曜日

金融の教科書にある信用創造の説明を貶しても

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学部の金融の教科書には、だいたい次のような信用創造の説明があると思う。預金歩留まり率をαとするとき、H円のハイパワード・マネーを持つ銀行が、H円を融資するとαH円が預金として戻り、αH円を融資するとα2H円が預金として戻り、n回目の融資ではαnH円が預金として戻り、無限に続けて和をとるとH/(1-α)円融資になる。法定準備率βがあれば、H/(1-α+αβ)円が融資量の上限。先日出た経済学を説明するマンガ*1でも、この説明が踏襲されている。

2018年8月12日日曜日

第一生命経済研究所のレポートにある日照時間による消費の推定について

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ついったーらんどで第一生命経済研究所首席エコノミスト永濱利廣氏が書いた「テーマ:不確実性の高いサマータイム効果」の中の日照時間による消費の推定式がトンデモ扱いされていたのだが、しっかり問題点を把握しない非難が多かったので、非難の方の問題を指摘した上で、推定の問題点を再整理し、推定をやり直した上で、推定結果の解釈について批判したい。弁護から入って、結局はdisる。

2018年8月11日土曜日

大学の男女別定員は違憲・違法か?

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東京医科大学が隠れて実質的な男女別定員制をとっていた件に関して、明らかに違憲・違法と言う非難が見られる*1のだが、素人目にも雑すぎる法律解釈なので問題を指摘したい。道徳的に主張の正当化を行なうより、違憲・違法と叫ぶ方が簡単なのは分からなくもないのだが、憲法や法律の運用状況から考えると、問題は自明ではない。

2018年8月8日水曜日

男性の家事・育児参加を促しても、女性医師の増加による当直不足の問題は解決しない

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女性医師が結婚後も仕事を続けるには、当直・救急対応・オンコールの負担を与えないことが肝要なことはよく認識されていて*1、女性医師の比率を抑えるべきだと言う主張の根拠になっている。これに対して男性の家事・育児参加を促せば、既婚女性医師も業務負担を増やせる言う主張*2があるのだが、簡単な計算によって逆に状況が悪化する可能性が高い事が分かる。

2018年8月4日土曜日

女性医師に配慮すればするほど病院の職場環境は悪化するので、別の施策がいる

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日本医師会が、東京医科大学が女性の入学者数を抑制していたことに対して批判的なコメントを出した。「女医が増えると結婚出産による途中退職で医師が不足する」と言う東京医科大学の弁に対して、「短時間労働の導入や当直の軽減など、女性が働きやすい環境整備を進めることが大事」と指摘している*1のだが、それが現場で問題を引き起こしているという勤務医の声を無視しているので指摘しておきたい。日本医師会はどちらかと言うと開業医の団体なのを、よく表している。

2018年8月3日金曜日

東京医科大学は、開き直って統計差別を続けるべき

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東京医科大学が、女子受験生の点数を下げて、男子受験生の入学者数を増やそうとしていたことが発覚した*1。世間一般には非難の声が大きいようだが、医療現場にいる医師からは、性別に関係なく必要悪と言う声も上がっている。医師の供給数、病院の経営慣行の問題もあって、女医の増加が業務遂行上の障害になっている現実があるからだ。近い将来の医療需要減や、経営慣行の変更の困難さを考えると、男性医師の比率を高める施策を放棄するのは、大きな厚生損失を招くかも知れない。

2018年8月2日木曜日

「搾取」という単語を使う前に必要なこと

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頻繁に使われる割には、厳密に運用するには定義が十分ではない用語に「搾取」がある。好意など自発的なものではなく、権力やその他の強制力をもって、正当な対価を払う事なく、他者に労力やその他の資源を提供させることと搾取の説明は難しくない。しかし、大抵の事例において、正当な対価がどの程度かは自明ではない。

日本の中世の信仰事情が分かる「戦国と宗教」

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戦国時代はドラマや小説で人気の題材で、たまにテレビ番組で歴史研究が紹介されたりするものの、様々な経緯で色々と誤解が多い*1。そのためか、蘊蓄を語るのが好きな人が多いTwitterらんどでは、鎌倉から江戸、中世から近世の小ネタが人気である。当時の宗教についても誤解が多いそうで、「戦国と宗教」と言う本が紹介されていた。

2018年7月28日土曜日

擬似科学を引っ張り出し“敵”を悪く言うリベラル誌

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週刊アエラが人相をもって、杉田水脈衆院議員の知性や性格や生い立ちの“分析”を掲載しているいた*1

観相学は今となっては19世紀の代表的な疑似科学の一つ骨相学と同じもので、何の根拠も認められない。ネガティブな推測も多々含む、嘉祥流観相学会代表・岡井浄幸なる“専門家”の弁を掲載しただけとは言え誹謗中傷に近い。

2018年7月26日木曜日

人気ついったらー山本一郎さんの悲報によせて

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最後2つがツイッター・ユーザーを煽るための冗談になっている“鬱になりやすい人の特徴”をリストしたツイートに対して、恐らく冗談のつもりで「ぶち殺すぞ」とリプライした人気ついったらーの個人投資家・作家の山本一郎氏がアカウント凍結になって話題になっている*1

2018年7月25日水曜日

ポルトガルは緊縮財政を止めて経済回復をしたのか?

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リーマンショック後、緊縮財政で悲惨な事になったポルトガルだが、緊縮財政を止めたら経済回復が出来た…と理解してしまいそうなNew York Times誌のエッセイ*1が流れてきた。米国からだと欧州の小国など良く分からない辺境なのだと思うが、時系列でのマクロ統計の確認ぐらいして欲しい。とてもそんな結論には達さないはずだ。

2018年7月24日火曜日

杉田水脈衆院議員のLGBT支援に関する寄稿は優生思想によるものではない

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週刊誌「新潮45」に掲載された杉田水脈衆院議員の性的少数者(LGBT)に関する寄稿が、「LGBTのカップルに『生産性』が無い」という稚拙な言い回し*1で火がついて、優生思想だと紋切り型の非難に晒されている*2のだが、よく考えると優生思想に沿ったものではないので指摘したい。単なる理屈をつけるのが下手な保守である。

2018年7月17日火曜日

死刑廃止国と被疑者射殺数の関係…無いよ

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死刑廃止国が犯人を射殺した件数を調査してみた」と言うエントリーが話題になっていた。日本とドイツを比較して、死刑廃止国のドイツの方が被疑者射殺数が多いという主張になっているのだが、色々と突っ込みどころが多い。

2018年7月11日水曜日

リフレ派原田泰日銀審議委員「金融政策は神の領域にないと、イエスは言った。QQE批判者は、認知的不協和を起こしている」

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雨乞い経済成長派と揶揄されるリフレ派の一人、原田泰日銀審議委員が、2018年7月4日の石川県金融経済懇談会の挨拶で、あれこれ神話を持ち出してコレはやばいと評判になっている。締まりの無い挨拶をするおっさんっているよねと言う程度の話なのだが、該当部分を検討してみよう。「QQEに対する認知的不協和」(pp.19--20)のところである。

社会構築物としての“自然科学”の例は、微積分ではなく優生学であるべき

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連続で話の種になってしまって申し訳無いのだが、稲葉振一郎氏の著作「経済学という教養」の中で、ポストモダン人文系知識人の認識的相対主義について、稲葉氏流の解釈を行なっている箇所にツッコミ所があったので記しておきたい*1

そこではポストモダン思想家を全面的に否定するのではなく、「科学外的な世間からの圧力が、科学を歪めてしまう」例があって、それで「自然科学は…『これが真実だ』と人々に思いこませることによって世界を支配している」と言うトンデモな結論に行き着いたと言う話がされている。

2018年7月10日火曜日

新自由主義者≠経済学帝国主義者

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もう続きを著作にされたものらしいが、明治学院大学の稲葉振一郎氏がウェブの20回連載のエッセイ『「新自由主義」の妖怪』で、産業社会論的な立場をからマルクス主義と新自由主義が似ていると言い出していた。稲葉氏の独自見解だと思うのだが、“経済学帝国主義”が変な意味で使われている気がするので、指摘したい。少なくとも新自由主義とはほとんど関係ないと思われる。

2018年7月8日日曜日

ネット論客が用いがちな19の詭弁

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ネット界隈での議論では、誤謬推理と言うか詭弁を弄する輩は多い。素人談義だから仕方が無いと思うかも知れないが、評論家や大学教員などが相手を言いくるめるために弄しているのを見ることがある。

詭弁術に詳しくなくても何となくおかしいと思う事が多いであろうが、毎回どうおかしいか説明するのは手間暇がかかるし、議論が横道に逸れてしまう。よくある詭弁、誤謬推理には名称がついているので、ずばっとそれを指摘してあげよう。

2018年7月5日木曜日

『(ポストモダンの)専門用語の「乱用」は何で悪いのですか?』

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ポストモダン界隈にあるよくある問題点の一つに専門用語の濫用がある*1のだが、哲学者の植村恒一郎氏が『専門用語の「乱用」は何で悪いのですか?』と言い出した(togetter)。濫用ではないと言う弁護はよく見かけるが、濫用を正当化しようとする議論は珍しい。しかし、ぽつぽつとその理屈を聞くことになったのだが、事実誤認と語義曖昧論法と自然主義的誤謬による詭弁になっていた。

2018年7月2日月曜日

「日本の秘められた恥」の解消のために、性行為の前に積極的同意の記録が必要としよう

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昼の情報番組などで広く取り上げられて来たらしいジャーナリストの山口敬之氏が伊藤詩織氏に性的暴行を加えた疑惑について、BBCがドキュメンタリー番組を放送するなど*1、積極的に報じている。

デートレイプの問題は英国や米国にもあるし、個別事件が立件されないのは様々な理由があり得るので、検察の判断が間違っているとも言えないのだが、BBCを偏った報道と簡単に片付けない方がよいかも知れない。この事件自体は性犯罪をどう規定するかを考える機会にはなっているからだ。

2018年6月28日木曜日

あずまん、囚人のジレンマの囚人は、相棒の供述に関係なく自白するから

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文芸評論家の東浩紀氏が、「“首相の嘘”は囚人のジレンマ状況から生まれた構造的なもの」だと言い出している。

ゲーム理論を持ち出すのはよいのだが、ゲームの構造をはっきり認識すれば曖昧さが排除されて明確な議論になるはずなのに、ポストモダン的に情緒あふれる話になっていると言うか、その前に説明がおかしい事になっているので指摘したい。

2018年6月27日水曜日

ブロガーHagex刺殺犯「集団リンチがそんなに楽しいか?」

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アカウントも隠せるはてな匿名ダイアリーで、他のアカウントに罵詈雑言を浴びせていたユーザーが度重なる投稿削除とアカウント停止に腹を立てて、炎上事件ブロガーHagex氏を刺殺する事件が発生した。ネットでのやり取りにおける怨恨が理由だとしては、被害者を選ぶ必然性が薄いなどと色々と困惑が広がっているのだが、怨恨ではなくもっと捻った動機のようだ。この刺殺犯の投稿の断片を見ていると、そこに彼が主張したい規範があり、彼が感じていた世界が見出せ、そして犯行動機が見えてくる。

2018年6月26日火曜日

「幸色のワンルーム」で青年と少女の認知は歪まない

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両親からの児童虐待、同級生からのいじめ、教師からの性的暴行*1を日常的に受けている女子中学生が、謎の青年に誘拐されて同居生活を始め、徐々に心を通わすというストーリーのマンガ「幸色のワンルーム」が、テレ朝でドラマ化される事になってその是非が論争になり、全国配信が取りやめられた。これで議論が収まるかと思ったが、今度は放送局の自主規制とは言え、創作活動の幅を狭める行為だと非難されている。

韓国が北の同胞を切り捨てる準備をはじめる

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2018年6月12日の米朝首脳会談後、様々な論評が書かれている。その多くで勝ち負けを言及しているのだが、具体的な合意事項は無く、勝ち負けを言えるほどの変化は無かった。

北朝鮮は核・弾道ミサイルを放棄していないし、日米中韓(そして国連)は経済制裁を解除していない。北朝鮮は核・ミサイル開発を、米韓は軍事演習をそれぞれ暫時停止する双暫停モデルが採用されたから中国が一人勝ちした説は、それが一時的な緊張緩和に過ぎないことを忘れている。

2018年6月23日土曜日

東浩紀のゲーム批評への批判への反論は詭弁

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文芸評論家の東浩紀氏をはじめとする批評家が「ゲンロン8 ゲームの時代」で、日本製コンピューター・ゲームの論評をしたのだが、多分に事実誤認があるとゲーム開発界隈の人々に非難されている*1。それに対して東浩紀氏が日経新聞の誌面で反論を試みている*2のだが、なかなか見苦しい詭弁になっているので指摘したい。

2018年6月20日水曜日

ウェブ広告と仮想通貨の無断マイニングの違い

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ビットコインのような仮想通貨は送金者と受取人の間の取引履歴を記録するために、第三者による特殊な演算が必要になるので、演算を行なった第三者に報酬を与える仕組みになっている。この報酬を狙って日夜計算を行なうことをマイニングと言うのだが、近年、他人の計算機資源を無断で使ってマイニングを行なう輩が発生している*1。ウェブページに仕掛けて、閲覧者が気づかないようにマイニングを行なわせるCoinhiveはそのための典型的なツールだ。

2018年6月17日日曜日

日刊SPA!が仕掛けた放射性レンガ騒動について

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不発になっているのだが、日刊SPA!の「“ウラン残土”リサイクルレンガが一般流通!?」について問題点を指摘しておきたい。

記事では人形峠のウラン採掘時の残土を再利用したレンガが製造され、一般に配布もしくは流通されていたことを問題にしているのだが、人形峠製レンガは日本原子力研究開発機構のウェブページに堂々と掲載されているモノである。

2018年6月13日水曜日

テロを起こすのも真のムスリムだと分かる「イスラム教の論理」

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イスラム研究者の池内恵氏が勧めていた「イスラム教の論理」を拝読したのだが、なかなかざっくばらんに書いてあって面白い。テロを起こすのは真のムスリムではないと言った希望的イスラム教観を、コーランを引きつつ否定してくる。

神以外にコーランの正しい解釈を知るものはなく、ムスリムそれぞれが解釈を行なえるので、過激派解釈も誤りと言えないし、むしろ穏健解釈の方が法典からすると危ういところがある。また、イスラム法は西洋的な立法に優越することになっているので、究極的/教条的には非ムスリムはムスリムと共存できないそうだ。

2018年6月8日金曜日

中学生の息子が嫌韓ネトウヨになったら読ませたい10冊+α

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息子がネトウヨになって変な本の話を聞かされるとうんざり感を伴ったツイートを見かけたのだが、そういう事はよくあると思う*1

親としては教育を施しネトウヨで無くしたくなると思うのだが、どこかで恥をかかないとそうでなくならないから無駄と言う体験談も聞く。諦めるしかないようなのだが、何もしないと心が落ち着かないのが親心。ここは発想を逆にして、歴史などの本を紹介してガチ感を補強してあげよう。

2018年6月7日木曜日

統計からイデオロギーありきの歴史観を批判する「日本統治下の朝鮮」

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歴史学の通説は、文書や遺物など史料から得られた知見を積み上げて構築されて来たと素朴に思い勝ちだが、残念なことにそうでは無い。日本の左翼の歴史家はマルクス史観に沿うようになっていたはずだと言う思い込みから近現代史であれこれ断罪してきたし、韓国の民族主義的傾向の強い歴史家*1も日本の朝鮮半島統治が否定的な結論が維持されるように論を組み立てている。

2018年6月3日日曜日

リフレ派の「(もう大して)経済成長しない」への反応にある誤謬

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社会福祉士で社会運動家の藤田孝典氏が、過去データから「(もう大して)経済成長しない」と言ったのに*1、リフレ派の皆さんが色々と文句をつけている。経済成長の余地が小さいので、低成長を前提に政策を考えましょうと言うのが、なかなかリフレ派には受け入れ難いようだ。「経済成長をしなければ皆が貧しく不幸になる」と言うような批判している。しかし、これはひどい誤読である。

2018年5月30日水曜日

道徳観を整理するための「メタ倫理学入門」

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倫理学は「何をすべきで、何をすべきではないか」を抽象的に定める規範倫理学、それを現実の問題に適用しようとする応用倫理学の他に、議論の基盤になる「良い」「悪い」のような言葉の意味や、道徳の実在性などの前提を整理するメタ倫理学に分類されている。

この中でメタな部分だけを取り上げるのはマニアックな気もするが、倫理や道徳の相違を考えるためには効果的なアプローチになるし、人々の倫理観や道徳観が一致しない以上は相違を考えていく必要が出てくる。つまり、道徳実在論や認知主義といったラベリングを理解したい。

2018年5月28日月曜日

教養を語る前に必要なメタ教養学

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「地位はあるけど教養がない」人たちの末路』と言うエッセイが話題になっていた。論理の飛躍が大きく読みづらい文章なのだが、曰く、(1)哲学を知ることで、批判的思考によって現状を把握し、状況の変化に適応するための提案する事ができるのだが、(2)教養が無い人は哲学を知らないので、社会的地位がある場合は脅威になるそうだ。

2018年5月24日木曜日

計量社会学者・吉川徹の無根拠な学歴分断社会論

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計量社会学者の吉川徹氏が、日本には学歴に基づいた分断があると主張している*1。具体的には、大卒の人が日常的に仕事や私生活で会話を交わしたり連絡を取ったりするのは大卒の人で、非大卒の人は非大卒と言う社会的分断が生じているそうだ。主張が完全に間違っているとは言えないのだが、これを示す数字が上げられていないので、変な思い込みが入っていそうである。

有権者の育ちは、安倍内閣の支持率が下がらない理由にならない

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博士(社会学)の政治学者・白井聡氏が「政権の常軌を逸したひどさが日々刻々と証明されてきたにもかかわらず、支持率の動きは底堅い」のは、『「国体」のなかで育てられた人間は、自由を知らず、民主制における政治的主体になり得ない』ためだと主張している*1。要するに、有権者の育ちが悪いから、腐敗と無能があっても安倍内閣の支持率が下がらないと言い出した。

2018年5月21日月曜日

青地イザンベール真美が弄している詭弁について

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都議会選に民進党の候補として出馬して惨敗した青地真美氏が、氏の主張に反対してくる表現規制反対派に「パブリックエネミー」だと分かるレッテルを貼ろうと言い出し批判をされている*1。そこではオタクに対する差別と偏見があると批判しているのだが、そういう議論の前に誤謬があるのを見過ごしているので指摘したい。否定的な感情を呼び起こす単語の記述的意味を再定義して嫌いな集団が当てはまるようにするのは、説得的定義*2と言う詭弁である。

2018年5月19日土曜日

米国人が知りたいグーで殴るノウハウ

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POPSCIに、グーで殴るノウハウが紹介されていた。親指を挟んで殴ると脱臼するのでやめろ、人差し指と中指をヒットさせて薬指と小指は直撃しないようにしろ、最適な歩幅を保て、殴ったあとは反撃を受けないように構え直せ等々書かれているのだが、銃社会の米国で何を言っているのかと言う感じである。映画やドラマで肉弾戦をするから影響するのであろうか。日本で剣道や呪術にはまっている人は見かけないのだが。なお、「SASサバイバル・マニュアル」には怪我をしないように掌底で急所を突けとあった。

2018年5月15日火曜日

テレビなどの影響を悪く言う前に読むべき「メディアと日本人」

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職場と自宅を往復するだけの毎日を送る人々でも、まったく世の中の情報を入れないという事はないであろうし、メディアは万人に身近な存在だ。しかし、身近な割にはどういうものが利用されているか、どういう影響があるか意外に知られていない存在でもある。

2018年5月14日月曜日

神原・佐々木・北弁護士による懲戒請求への報復的訴訟に関して

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「余命三年時事日記」と言うブロガーが、自身が気に入らない弁護士を対象に懲戒請求のテンプレートを用意し、それに載って数百人の人々が懲戒請求を行った事に対して、ターゲットとなった神原・佐々木・北弁護士が業務妨害を理由に訴訟を起こした/起こそうとしている。過去の弁護士の懲戒事例を見ると三名が懲戒に該当する可能性は無さそうだし、請願ではないのだから集団で行なう事ではないと思うのだが、原告側の勝利が自明なのか疑問の所があるので記しておきたい。

2018年5月11日金曜日

本当の…は~論法はだいたい誤謬

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ネット界隈で「本当の…」と言う言い回しを見かける事は多い。「本当のシシャモは北海道の太平洋沿岸でしか捕れない希少資源で、そのカラフトシシャモは紛い物だ」と言うような、広く認められている定義が“本当”なのであれば良いのだが、大半は独自定義になっており、「お前がそう思うんならそうなんだろう,お前ん中ではな」と言いたくなる。さらに、単に独自定義になっているだけではなく、詭弁・強弁として使われる誤謬も2パターンぐらい見かける。

2018年5月10日木曜日

インターネットの「通信の秘密」に関する法律問題について

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インターネットは名誉毀損やプライバシー侵害行為、著作権侵害行為などが深刻化しやすく、侵害行為を行なっている者や機材が国外にある場合もあり、取り締まる難易度や費用は低くない。そもそも、被害の原状回復が難しいことが多い。

そこで、ネットワークの設定で通信遮断をして、迅速にこれらの被害拡大を止めようと言う動きがある。実際、児童ポルノ対策ではブロッキングがされる事になった。著作権侵害行為に大しても同様の措置を取ろうという動きも強くなりつつあり、それに対する反対の声があがっている。

2018年5月8日火曜日

P値を捨てた雑誌で使われている統計量

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ラジラジ言っている北海道の心理学者PsycheRadio氏と話をしていたときに、「心理学で(他の学問でも)統計的検定や推測統計学への批判が高まって以前ほど使われなくなりつつある」と言われたが、違和感がある。少なくとも社会科学分野で使われなくなったとは聞かない。話の流れにあわせて誤魔化されている気がするので確認してみた。

2018年5月5日土曜日

山口二郎の科研費について杉田水脈に踊らされる前に知っておくべきこと

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杉田水脈衆院議員が、政治学者の山口二郎氏が過去に10名を超えるグループの研究代表者として10年で累計6億円の科学研究費を取っていた事を示唆し、ちょっとした騒動になっている。杉田氏はこの金額が妥当ではないと言いたいようだが、その弁に煽られるのは問題だ。金額だけで是非を判断する事はできないし、科研費は研究計画書に基づいて文科省が採択し、その支出は厳しく管理され研究に関係の無いことへの支出は許してくれない。研究に関係ある事にも支出させてくれないと言う愚痴すらある。

2018年5月4日金曜日

在韓米軍撤退は、韓国世論次第

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南北平和協定締結後、在韓米軍が撤退すると読める文正仁大統領統一外交安保特別補佐官の寄稿が韓国で問題になり、文在寅大統領が即座に否定することになった*1。文正仁氏は延世大名誉特任教授でもあり政府から給料を貰わない相談役に過ぎないので政府見解とは違うものだが*2、韓国世論は在韓米軍撤退の可能性を多かれ少なかれ感じているのか無視できないようだ。

阿部幸大の文化と教育の地域格差論の虚偽部分以外の問題点

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ニューヨーク州立大学の博士課程に在籍中の阿部幸大氏の『「底辺校」出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由』『大反響「底辺校出身の東大生」は、なぜ語られざる格差を告発したのか』が、自身の体験を大げさに書いて注目を集めようとした虚構に基づく話だと非難されていた*1。事実関係は大事で非難も妥当なのであろうが、それ以外にも難が色々とあるので指摘しておきたい。

白人のチャイナドレス着用は、白人の文化盗用ではなく、中国人の文化的勝利

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男女ペアが要求される事から悪名高い、北米の高校の学年末のダンスパーティーであるプロムに、チャイナドレスを着用しその画像をSNSで公開した女生徒が、文化盗用だと非難されている。いつものポリコレ棒。しかし、ニューヨーク・タイムス誌では、米国では炎上しているが、中国ではそうではないと紹介している*1。意外に賛否両論だ。

2018年5月1日火曜日

“歴史的な南北会談”は分析不可能な状態

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2018年4月27日の北朝鮮と韓国の板門店での首脳会談を、左派リベラルの言論人と韓国研究者の一部は好意的に評価しているようだ。文在寅大統領の外交手腕を高く評価し、非核化協議への影響力を失いつつあると安倍総理の外交方針が批判されている。実際、今回の合意を見ると平和条約を視野に入れることで、朝鮮戦争への関与程度が低い日本が排除されてしまっている。しかし、北朝鮮の態度の変化を説明する要因が特定できていないので、北朝鮮のコミットメントの強さなどが分からない状態である事を忘れてはいけない。これによって事態の評価は、180度変わることになる。

2018年4月29日日曜日

木村幹『北朝鮮は通常兵器でソウルを「火の海」にできる』論の奇妙さ

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朝鮮半島を専門とする政治学者の木村幹氏が『韓国にとって核はワンオブゼムの問題でしかありません。北朝鮮は通常兵器でソウルを「火の海」にでき、朝鮮戦争では地上戦で膨大な死者が出たからです』と言っている。韓国の危機感が薄すぎるなと思ったので、和訳を出してくれている主要紙の論調を確認してみたのだが、さすがに北朝鮮の核放棄は最低ラインとして捉えられていた。韓国の政治家や官僚にインタビューをしている人なのでどこかで聞いたのだと思うが、面白い話に騙されていないであろうか。

2018年4月26日木曜日

機械学習をやる前に学んでおくべき最低の数学

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機械学習を勉強する前に学んでおくべき最低の数学の範囲について、あれこれ議論されている*1。この手の議論、なかなか不毛である。ライブラリをブラックボックスとして使う分には、数学の知識はほぼ不要。中身を考えながら使うには、大学の学部の微分積分と線形代数と確率・統計の教科書をまずは頑張れと言う自明な話になるからだ。

経済学徒で無い人にも薦めたい「ひたすら読むエコノミクス」

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今は経済学帝国主義の時代、経済学を語りたいネット界隈の住民は多いが、頓珍漢な話になっている事は多い。経済学史の本しか読んでおらず、基本的な経済学の知識に大きな欠落があるのだ。ケインズあたりの昔の偉人の台詞を持ってきて経済を語り出す手合いは、この傾向が強い。合理性など基本的な経済学用語の意味を誤解していたり、時間的に消費者理論あたりで力尽きるのか、今では常識的なトピックも欠落している人もいる。

2018年4月24日火曜日

ネトウヨ主張を肯定してしまっている『「慰安婦」問題と未来への責任』

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2015年の日韓合意に関してはネット界隈の右派の人々よりも、左派の知識人の反発の方が大きかったように思える。『「慰安婦」問題と未来への責任』と言う論文集を出しているぐらいだ。出版後に韓国の文在寅大統領が2015年の日韓合意を破棄しない宣言をしたので、ちょっと間が抜けた感じがするのだが、寄稿者の一人のエミコヤマさんがよく薦めているので内容を軽くチェックしてみたのだが、ネトウヨの皆様が読んだらキャッキャと悪用しそうな脇の甘い文章も含まれている。