2013年5月25日土曜日

黒田バズーカが期待インフレ率を引き揚げた! by 池田信夫

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「クロダスタグフレーション」が始まった』と言うエントリーで、経済評論家の池田信夫氏が意図せずに、そう指摘している。つまり、デフレ脱却に効果があると言っている。今までの主張を変えたのかと思いきや、予想インフレ率の上昇は無かったとも主張しており、どちらかと言うと錯乱気味なので整理してみたい。

1. 名目金利=実質金利+期待インフレ率

池田氏は、「実質金利は資産収益率で決まるので、中央銀行がそれを人為的に操作できない」とWoodfordが指摘していると主張し*1、「名目金利(実質金利+予想インフレ率)」と説明している。

この二点は奇妙な話ではないが、実質金利が一定で名目金利が上昇したと言う事は、池田氏が紹介したフィッシャー方程式から考えると、予想インフレ率が上昇した事になる。もし予想インフレ率が一定だとすると、実質金利が上昇した事になるからだ。

2. クラウデイング・アウト?

予想インフレ率の上昇を認めたく無いのか、日銀が国債を買い占めて民間金融機関をクラウディング・アウト*2したと言っているが、原理的、現象的におかしい。国債引受は民間金融機関しかできないし、日銀の買いオペは札割れが発生しており、十分に国債を買えていない。民間金融機関の国債保有比率が急激に下がれば、クラウデイング・アウトしていると言えるかも知れないが、今はいえない。

3. スタグフレーション?

そもそもスタグフレーションは、不況とインフレーションの併発を意味しており、名目金利の上昇はインフレ抑圧になりそうなので、かなり関係が分からない。また、「消費税でインフレになる」と主張しているのだが、インフレが良くないから消費税率引き上げは辞めろというのであろうか。

4. ルーカスの主要業績を紹介すべき

池田信夫氏は、頻繁にミルトン・フリードマンを引用しているのだが、スタグフレーションの理論的説明はLucas Island Modelが最も基本的なものだと思われる。1970年代以降のマクロ経済モデルについて来れないのかも知れないが、骨董品で現代の複雑な経済を説明するのは無理があるかも知れない。

*1Woodfrod(2012)で紹介しているWallace(1981)では、中央銀行が家計の消費行動を変える事ができないと説明されている(関連記事:中央銀行の公開市場操作の中立性命題に関して)。実質金利は資本の限界生産物に一致すると考えられるため変な話ではないが、参照している論文の議論とは異なる議論になっている。

*2マクロ経済学の教科書的には、政府が国債を大量発行して金利が上昇し、民間企業が融資を受けられなくなる状況をクラウディング・アウトと呼ぶが、英語的には何かが何かを押し出せば良いようだ。

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