2013年5月12日日曜日

政府はグローバル企業のための政策を打つべきか?

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思想家の内田樹氏が、政府はグローバル企業のための政策を打つべきかと問いかけている(朝日新聞)。

主張を要約すると、グローバル企業は、(1)外国人を含めた株主利益の最大化のために動くので、国内で雇用を最大化したり、納税をするモチベーションは無い。(2)国内の雇用を確保を盾に取り、国際競争を煽ることで、エネルギー政策、インフラ投資、教育、貿易交渉などで政府から便益を引き出そうとしている。(3)これら優遇策は実の所は国民の不利益になるばかりである。

原発稼動やTPP交渉参加に否定的な所や、排外主義的な動きをグローバル企業優遇の正当化のためと見なすところなど、細部で理解に苦しむ部分はあるのだが、無国籍化したグローバル企業が、日本社会のために動いているわけではないから、特別の利益供与を行う必要は無いと言う主張は、理解できなくもない。実際に、そういう問題もある。

全商連[全国商工新聞]によると、大分県は7億3698万円の補助金を出してキヤノンとソニーを誘致したのだが、法人県民税・事業税はほとんど増えず、1億4418万円しか増えなかった。しかも、住民税も増えていないようだ。経済効果はあるのだろうが、費用対効果が十分かの問題はある。また、グローバル企業の租税回避は問題になっており、各国が協力して情報提供をするように改善が模索されているのも確かだ(The Economist)。

グローバル化を批判しているわけでも*1、従来のグローバル日本企業の雇用創出の話をしているわけでもなく*2、今後のグローバル企業優遇が正当化されるかと言う問いのようだ。内田氏は明確には結論を出していないが、とても否定的に記述している。

確かにグローバル企業優遇政策を取る必要は無いであろう。労働者の雇用や賃金が改善し、消費者の効用が最大化される政策を取るべきだ。しかし、それは結果として、グローバル企業にとっても都合が良い社会を構築するように思える。結局、社会の無駄を省いて労働力を生かせる環境を作るわけで、それはグローバル企業が日本人を雇用するメリットを感じるものになるからだ。

*1津上俊哉氏がグローバリズム批判と捉えて批判しているが、内田氏の議論はグローバル企業への優遇の是非に思える。内田氏はグローバル化の是非に言及していないし、グローバル企業が株主利益の最大化を指向する事は正当だと受け入れている。

*2内田氏のトヨタ自動車も今後は国内雇用を維持できないと言う指摘を、経済評論家の池田信夫氏がトヨタ自動車が今まで多くの雇用機会を提供してきたと反論しているが、論点が未来と過去であっていない。

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