2機の政府専用機B747-400型機を2018年度に退役させ、B787型機を導入する計画が出ているようだが(読売新聞)、政府“専用機”は要らない。理由はコストと稼働率だ。
政府専用機には二つのミッションがある。一つは要人の移動に使う平時任務、一つは国外の日本人の緊急退避に使う臨時任務だ。1991年の導入から、コスト理由で要人移動では使われないケースが多く、また日本人の緊急退避が行われた事も無い。
政府専用の歴史を振り返ろう。1985年にイラン・イラク戦争が始まったときに、在留邦人の救助に難航した事がある。日本航空の労働組合が危険性を理由にチャーター便を拒否し、自衛隊の機材では後続距離が不足していたからだ。トルコ政府が救助してくれたのだが、この事件は政府関係者で大きな問題として認識された(宮沢喜一回顧録)。
要人移動の専用機などは必要とされていないのだ。羽田から福岡に移動するのに政府専用機を使うとすると、新千歳から主務機と副務機を呼び寄せた上で、500人乗れる機材で数人を移動させる事になる。一人あたり燃料代は、民間機の1000倍以上になりそうだ。政府高官の外遊時は使っているが、どう考えてもファースト・クラスで移動してもらうほうが安くなる。
民間機がチャーターできない緊急事態でどうすれば良いかと言う課題に、政府専用機と言う方法で回答を出したところ、お金がかかって仕方が無く、利用率も低かったと言うのが現状だ。そして主務では20年間、一度も使われていない。政府“専用機”が正しい選択肢だとは思えない。
官民共用機を用意する方が良い。普段は民間航空会社にリースをしておき、緊急時に優先的に利用する体制にしておけば、リース代でコストが大幅に低減できる。パイロットの確保が問題になるが、民間航空会社のパイロットを予備役としておくか、訓練を受けた自衛官を出向させておけば良いであろう。緊縮財政と言っているのに、コスト削減のための工夫が無いのが嘆かわしい。
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