リーマンショック後に若年失業率が上昇しており、就職氷河期などと結びつけた話がされている(時事ドットコム)。データの見方に、少し誤解があるように思える。
実は景気悪化で内定が出る時期は大きく遅れる傾向があるのだが、内定率は90年代後半からずっと90%台で推移している(図録▽就職内定率の推移(大卒))。高卒は2003年の74.4%が最低で、2011年は83.5%だ(厚生労働省)。バブル経済のときの内定率とは行かないが、大半の若者が就職できている状況は変わらない。
そして若年失業率だけが高いわけではない事に注意する必要がある。以下は性別・年齢別の失業率の推移だが、いつの時代も若者の失業率が高い事、15~24歳の失業率が高い事が分かる。15~24歳と言う事は、高卒・専卒・短大卒の労働者が多いと言う事だ。大卒が労働市場に参入して来るようになると、状況が大きく変わる。
若年失業率が将来にそのまま影響するわけでもない。2000年の15~24歳失業率と、2010年の25~34歳失業率が同じと言うわけではないようだ。むしろ景気変動にどの年齢階層も影響を受けているように思える。確かに、男性データでは、1995年までは全年齢失業率と15~24歳は2~3%で推移していたが、それ以降は3~6%と乖離が大きくなっている。しかし、25~34歳のデータでは差がなくなってしまう。一部の若者は、10年間かけて定職につくのであろう。
良く高齢労働者がジョブ・スロットを占めていて若者の雇用口が無いと言う人がいるが、実際は2000年代からは生産年齢人口は減少しており、若者の雇用が無くなっているわけではない。年齢とともに失業率が急激に低下することから、若者が望むような雇用が無いので諦めがつくかが問題のようだ。若者の雇用対策をするなとは言わないが、労働市場で若者の境遇が特に悪いわけでは無いように思える。
追記(2012/03/30 11:30):若者の非正規雇用が増えていると言う指摘があったが、これも15~24歳の年齢が高く、25歳以上になると急激に低下する(図録▽非正規労働者比率(パート・アルバイト・派遣・契約等の比率)の推移(男女年齢別))。
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