2013年5月30日木曜日

消費税率引き上げに関する謎なモデルに関して

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事務屋稼業氏が「物価調整が緩慢な今期における消費税率の減少(増加)は,常に今期の有効需要を増大(減少)させることを示した」論文*1を紹介しているのだが、モデル自体にかなり恣意性があるので注意を促したい。

本論文では1節と2節は標準的なモデルにおける消費税の中立性を示しており、3節でKrugmanのIt's ba+k!論文に消費税を組み入れて影響分析をしている。上述の主張は、3節のモデルに負うわけだが、このモデルでは政府支出=名目一括補助金(Zt)が固定されている一方で、政府赤字の規模が現在と将来の徴税に関係ない。

上式は消費者の予算制約式で、左辺が未来、右辺が現在の支出を表す。Mが保有現金、Bが債券、pが価格、yが生産量、pyが生産金額、τが税率、cが消費量、pcが消費金額、tが時点になるが、Ztと(1+τt)ptctをつなぐ条件式が無い*2

無限に財政赤字を積み上げられると言う仮定がある状態で、財政赤字を拡大したら需要が増加すると言う主張をしている。その仮定があれば消費税に限らず無税が望ましくなるし、物価硬直的であろうが無かろうが成立するであろう。残念ながら、有意義な考察にはなっていない。

こういうの、どこから拾ってくるのであろうか。

*1松崎(2005)「物価硬直的な経済における流動性制約と消費税」産業総合研究,Vol.13,Mar pp.59-69

*2本文には「政府の税収を元にした名目一括補助金」とあるのだが、Zt=(1+τt)ptctと言う条件だと解釈すると、消費税率は実態経済に影響を与えない。

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