2013年5月1日水曜日

失業率の低下と就業意欲喪失効果

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失業率が現実の雇用情勢を表さないと言う主張は良く見かける。雇用情勢があまりに悪いと、求職活動を辞めて労働市場から消えてなくなる人がいる。就業意欲喪失効果を補正しないと、真の失業率にならない。

リーマンショック後に5.1%になった日本の失業率が、2012年に4.3%まで改善した*1のは雇用情勢が回復したためであろうか、就業意欲喪失効果が発生したためであろうか。生産年齢人口(15~64歳)の雇用状態を確認してみよう。

生産年齢における失業率と労働参加率
生産年齢人口 就業者数 失業者数 失業率 労働参加率
(万人) (万人, 12月値) (万人, 12月値) (PCT) (PCT)
2010 8173 5732 305 5.1% 73.9%
2011 8134 5705 285 4.8% 73.6%
2012 8018 5641 260 4.4% 73.6%
変化 -156 -91 -45 -0.6% -0.3%

156万人ぐらいが65歳以上になり、就業者数も91万人、失業者数も45万人減っている。労働参加率(={就業者数+失業者数}/生産年齢人口)は、-0.3%と低下している。2年間で労働意欲が少しは減退したようだ。

もし労働参加率73.9%のままだとすると、2011年は19万人、2012年は24万人の失業者が底上げされる。これは失業率を5.0%と4.7%に引き上げる事にになる。ただし同じ15歳から64歳とは言え、徐々に64歳の方に比重がよっていくため、病気や怪我の人が増えた可能性もある。2011年は4.8%~5.0%、2012年は4.4%~4.7%のどこかに失業率が改善したと見るべきであろう。

まとめると、就業意欲喪失効果の影響は否定できないが、真の失業率は上昇しているわけでは無さそうだ。失業率と比例しているようだから、失業率を雇用状況の指標として見て良いであろう。大雑把に、経済は好転していると評価してよいのでは無いであろうか。

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