2011年7月1日金曜日

藤沢数希は裁定取引・価格操作・独占市場の意味を学ぶべき

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変なエントリーが流れて来て、目にとまったので変な部分をメモしておきたい。藤沢数希氏のブログなのだが、孫正義氏が再生可能エネルギー促進法で日本のデータセンター(iDC)の電力コストをあげ、韓国のiDCの競争力を高めようとしていると主張している。冗談としては面白いのだが、用語の扱いや、裁定行動への認識が適切ではない。

1. 問題があるとするなら、裁定取引ではなく価格操作

韓国から安い電力を購入して、日本で高く売却できれば裁定取引になる。安い韓国のiDCで日本企業にサービスを行うのも、内外価格差を利用しているので裁定取引になるであろう。しかし、多くの輸入は裁定取引の結果のようなもので、特に批判される点はない。

藤沢数希氏が問題にしているのは、再生可能エネルギー促進法を推進することで、内外格差を故意に作り出そうとしている部分であろう。これは裁定取引ではなく、価格操作と言う。寡占市場で発生するカルテルは、問題となる価格操作だ。外資系金融機関が相場操縦で金融庁から行政指導を受ける事があるが、これも売買や風説の流布による価格操作なので強く批判される行為となる。

2. 利幅が永久に縮まらない?韓国iDC市場が競争的でも?

藤沢数希氏は経済学を勉強をしたことが無いのか、以下のように企業の裁定行動を理解していない記述をしている。

しかしこのクロスボーダー電力アービトラージの肝は、その利幅が永久に縮まらないことだ。

iDCの内外価格差があって、孫氏率いるソフトバンクが安い韓国iDCを日本企業に提供しようとしたときに、さらに安い価格で韓国iDCを日本企業に提供しようとする者はいないのであろうか。iDC事業を柱とするライブドア社を買収したNAVERは、韓国最大手のインターネット検索ポータルサイトなのだが。

ソフトバンクが韓国iDC市場の独占企業でないと、藤沢数希氏の指摘する価格操作は意味がない。裁定行動で利幅が減る理由は価格競争で、韓国iDC市場でそれが起きない理由は無い。日本の電力価格を操縦しても、iDC市場価格で競争があれば意味が無いのだ。

3. 韓国iDCは売れるのか?

iDCの選択理由は価格もあるのだが、応答速度や立地条件、法制度も関係する。米国の安いiDCも速度的に苦しい事はある。サーバー保守で現場に行かざるをえないときもあるので、立地条件が重視されるときもある。東京にiDCは少なくない。さらに、コンプライアンスで日本国内にiDCが無いと困る場合も少なくない。

韓国iDCの場合は、北朝鮮と言う軍事的なカントリー・リスクもあるし、経済的にもたまにデフォルト危機に陥る問題がある。為替レートも乱高下するので、色々な意味でハイリスクな問題を抱えている。Amazon Web Services(AWS)のiDCは、コストが安いはずの韓国にではなく、日本やシンガポールにあるのには理由があるわけだ。

Chart parkから転載したKRW/JPYのグラフだが、2004年から2007年で1.5倍に高くなったあと、2009年までに半分以下に下がっている。日本企業が韓国iDCを利用すれば、電気代以上にウォン相場の影響を受ける事になる。

失敗するとは限らないが、成功するとも限らない。

4. 専門家を気取るなら、教科書程度の知識は入れて欲しい

藤沢数希氏は、ブログに以下のように明記している。経済学部の学生でもないし、システム・インテグレーションの専門家でもないから、多少の間違いは仕方がない。

※当ブログはフィクションであり、登場人物その他全ては架空のものです。 (要するに全部ネタと言うことです)

しかし設定は、博士号を持ち外資系投資銀行にクオンツとして就職した事になっているので、初歩的なレベルの間違いは減らして欲しい。藤沢数希氏のインサイダー取引への見解や、電力内外価格差の見解は拝読したが、数多くの問題が見つけられる。

追記(2011/07/01 20:31):孫正義氏の「脱原発は日本の話」との発言は韓国メディアによる捏造だそうだ。

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