以前に参照した電力中央研究所報告(2010)の表とIEAの2008年のデータから、脱原発・LNG火力全面依存のシナリオで、どれぐらい二酸化炭素排出削減になるか計算してみた。発電燃料からと建設等からを合計した1kWhあたりのCO2排出量で、新型設備から新型設備への移行を仮定している。
2008年実績 | LNG代替を仮定 | ||||
---|---|---|---|---|---|
g-CO2 /kWh |
発電量(GWh) | 排出量(ton) | 発電量(GWh) | 排出量(ton) | |
石炭 | 881 | 288,253 | 253,951 | 0 | 0 |
石油 | 738 | 139,171 | 102,708 | 0 | 0 |
430 | 283,153 | 121,756 | 968,705 | 416,543 | |
原子力 | 25 | 258,128 | 6,453 | 0 | 0 |
968,705 | 484,868 | 968,705 | 416,543 |
大雑把な計算だが14%の削減になる。従来政府案の2030年におけるエネルギー戦略では64%削減の計算になるので、十分なCO2排出削減にはならない。
京都議定書を履行するためには、電力以外も含めて2007年比で34%の削減が必要だ。電力分野以外の削減は大きく見込めないため、14%は不十分過ぎる値になる。脱原発でLNG火力を増やしてもCO2排出削減効果は低い。
また非在来型天然ガスの採掘では、二酸化炭素よりも20倍以上の温室効果があるメタンガスが漏洩していると言う指摘もあり、天然ガスに温暖化ガス排出削減効果を期待するのは問題があるようだ(関連記事:シェールガスの環境問題)。
1 コメント:
もはや原発か火力かという問題ではありませんので。
かつて原発関係者は「原発は安全です」としか言わなかった。最近になって「絶対安全だとは言ってない」と言い始めたが、では数十年前からそう言っていたら世間は原発推進を容認したか?答はノーである。
絶対安全だとは言い切れない、しかも一度事故が起こったら後世に甚大な悪影響を及ぼすようなものを運用することはもうできない。原子力発電は確実に縮小しつつ、CO2削減の方法を考えるべきである。そうなるともう自然エネルギーの有効利用にしか解はないと思われるが。
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