2010年12月4日土曜日

Appleユーザーに信者が多いことを示唆する調査結果

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

GfKの調査レポートを引用した、英ロイターの記事を引用して、マイコミジャーナルがiOSユーザー(iPhoneユーザー)は忠誠心が高いと報じている。この記事を見て、Apple製品が満足度が高いので忠誠心が高いという結論を出している人がいたのだが、元のレポートを見ると違う解釈も可能だ。

1. スマートフォン・ユーザーは、忠誠度に関係なく、同じプラットフォームを購入検討している

マイコミとロイターの記事は、GfKの調査レポートの3ページ目の表2を解釈して、スマートフォンのOSに関してユーザーが忠誠心を持っているかを議論している。しかし、調査レポートには実は4ページ目の表3もあり、そこでは購入検討中のスマートフォンのOSもまとめられている。

以下は3ページ目の表2の一部だが、iPhoneユーザーの忠誠心が高いことは揺ぎ無い。iOSユーザーは忠誠心が59%と高く、他のOSよりも目だって多い。

スマートフォンOSとエコシスエムへの忠誠度
iOS BB WM Android
OSに忠誠心がある 59% 35% 21% 28%
忠誠心はあるがOSを変更する 7% - 8% 16%
全ての選択肢を考える 36% 58% 61% 49%
OSを変更する 1% - 5% 2%
分からない 4% 6% 4% 4%

しかし、以下は4ページ目の表3の一部だが、iOSユーザーで次もiOSを購入検討している人は85%で多いのだが、Androidユーザーで次もAndroidを検討している人も84%になる。そしてBlackBerryも74%、Windows Mobileも65%と、既存スマートフォン・ユーザーは現在のOSをファースト・チョイスにする傾向が強いことが分かる。

次に購入を検討しているスマートフォンOS
購入予定OS 現在のOS
iOS BB WM Android
iOS 85% 46% 43% 38%
BB 22% 74% 41% 22%
WM7 28% 40% 65% 31%
Android 40% 41% 42% 84%

忠誠心の低いiOSユーザーは他へ移行し、忠誠心の低い他のOSのユーザーは、それでも他のOSに留まる傾向があるようだ。

2. 満足度が高いのか、Apple信者が多いのか

iPhoneユーザーのこの傾向には二つの説明が可能だ。一つは、満足度が高いから、他を検討するインセンティブが無いので、Appleへの忠誠心が高い。一つは、Apple製品のユーザーであることを目的とする『信者』で、他のブランドは検討価値が無いと考えている。

満足度が忠誠心の要因であることを示す根拠は示されておらず、8月の満足度調査ではAndroidがiPhoneに肉薄していたことを考えると、どうも忠誠心の根拠は満足度とは言えないようだ。

つまり、iPhoneには『信者』が多いことを示唆している。

3. 現在は市場シェア拡大が各プラットフォームの課題

ともかく熱心なユーザーがいなくてもリターン客は見込めるという調査結果なので、スマートフォン市場が拡大局面の現在に、より多くのシェアを獲得したほうが、今後は優位に事業を展開できる事を示す調査結果となっている。

もちろん、PCほど業務などに欠かせないアプリケーションを多数抱えているわけではなく、学習コストもPCほど多くは無い事を考慮すると、スマートフォン・ユーザーは本質的に気まぐれでいられる。魅力的な付加価値を示せる製品が出てくれば、上記のアンケート結果も大きく変化することもありえる。

2 コメント:

macegoism さんのコメント...

学習コストは高くなくても自分で購入したアプリ資産が継続使用できるかもポイント。Andoroid を購入した場合、次のAndoroidケータイ機種変更時などにそのままアプリケーション資産が引き継がれるか不安要因もある。
PC/Macに現在の状態をバックアップできるiPhoneとは安心感が少し違うとも思う。

uncorrelated さんのコメント...

macegoismさん

コメントありがとうございます。
購入済みアプリケーションは、Androidマーケットで再ダウンロードが出来ると思います。
またバックアップに関しても、Androidには幾つもユーティリティーが出ているようですよ。

コメントを投稿