2010年12月16日木曜日

遺伝子改造ウイルスでバッテリー容量を10倍にする技術が開発される

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タバコモザイクウイルス(TMV)は、タバコなどの葉にモザイク状の斑点をつけ、葉の成長を悪くする事で知られており、どちらかというと迷惑な存在だ。

しかし、このウイルスの遺伝子を組みかえて、電池内の電極に組み込み、電池の持ちを10倍にする技術が、米メリーランド大学の多分野の研究者の共同研究により開発されたそうだ(DVICE, PHYSORG)。

この技術の概要は次の様になる。まず、金属の板に片側が張り付くようになった、遺伝子組み換えタバコモザイクウイルスを作成する。次に、GMウイルスをタバコの葉の上に載せ、1~2週間、タバコの葉を侵食し破壊するまで放置した後に、回収する。次に、増殖したGMウイルスを金属の上にのせる。このとき、GMウイルスは細長いのだが、自動的に片側の端が金属に接触し、反対側の端が宙に向いた状態でGMウイルスはまとまり、ナノサイズの森のようになる。つまり、GMウイルスは細い棒を立てたような状態で密集する(遺伝子改造していないと、寝た状態になる)。最後に、このGMウイルスの森を伝導体の層でコーティングし、GMウイルス自身を無毒化し、構造的耐久性を持たせ、電極にする。以下は、この製造工程の動画だ。

ウイルスの森によって、電極の表面積を10倍にできるのがポイントのようで、容量を増加させ、充電時間・放電時間を短くする事ができるそうだ。GMウイルスのコーティング材(Ni、Si、TiO2)を改良しながら、アルカリ電池から、リチウムイオン電池への適応が順次進められ、最終的にリチウムイオン電池で容量が10倍になったとのこと。以下はNi-TiO2のコーティング材のときの走査型電子顕微鏡による写真だ。なお、Siを使う時がベストの性能になる。

GMウイルスもタバコの木も自発的に増殖するため、1エーカーの土地で、10トンのGMウイルスが収穫できるそうだ。研究者によると、量産化すれば製造コストも廉価にする事ができるため、バッテリー事情を大幅に改善することができるそうだ。ただし、耐久性については特に言及は無かった。

このプロジェクトは遺伝子工学と電気工学にまたがる研究になっており、延べ7人のメリーランド大学の生命理工学研究所、植物科学・景観設計学部、金属科学部、化学・生体分子工学部の教授、研究者、ポスドク、博士課程学生によって開発・改良が行われてきたそうだ。今後はこのような、多分野に渡る複合的な研究開発が、一般的になっていくのかも知れない。

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