2010年9月22日水曜日

蟻のデス・スパイラルは都市伝説?

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9月に入って複数のブログ(IDEA * IDEAガラパイア等)で蟻のデス・スパイラル動画が取り上げられていた。

規則的に回っているように感じることもある人間生活を投影してしまうためか、かなり興味深い現象だと捉えられているようだ。

しかし詳細を記述した記事が見当たらず、真偽が疑われる。本当に全滅するまで回転するのか、簡単に検証してみた。

1. 確かに蟻のスパイラル行進は存在する

まずは現象の確認だ。幾つか動画がアップロードされているのだが、以下が最もよく参照されていた動画だ。確かに蟻がスパイラル状態に行進している。

2. 全滅まで回転した報告例は古い

まずは写真や動画などで全滅した蟻を確認しようとしたのだが、確認できなかった。死ぬまで回転していると記述している各ブログが参照している文献は、Beebe, W. (1921) "Edge of the Jungle," Henry Holt, New Yorkなのだが、そこでは外周366m(直径116m)のデス・スパイラルが報告されて規模が大きすぎるし、90年前とやや古い(The Ant Room)資料だ。

3. 蟻はどれぐらいの間、回転している?

5分ぐらいの回転で止まるケースも、5時間以上回転しているケースもあるようだが、翌日まで回転しているという記述は見かけない。ブログで良く掲載されている上記の動画はキャンプで撮影されたらしく、その後の情報は記載されていない(Ugly Overload)。

4. 蟻の種類は何?

場所は中南米で報告されており、大量の蟻が行進している行動パターンとサイズから、グンタイアリだと想像される。このグンタイアリは、30万~70万匹という規模のコロニーを持ち、居住地を転々と代えつつ、通り道の虫などの小動物を食い尽くしていく。獲物を攻撃するグンタイアリには視力がなく、先導者のフェロモンを追いかける習性がある。

5. グンタイアリは、ずっとフェロモンを追いかけて行進しないのか?

グンタイアリは日中は活動しない事が知られている。気温があがるとフェロモンが揮発して、行進が不可能になるため、陽が昇ると巣に撤退する。また、毎日引越しを行うため、延々と行軍を行っているわけではない。つまり、何かの間違えで回転していても、昼になったら解散になる。

6. グンタイアリは、何で回転しているの?

AntBlogに専門家の推測が書かれている。本当に偶然起きた可能性もあるのだが、専門家は見たことが無いそうだ。また、空の別の蟻の巣が中心にあってグンタイアリが押しかけている可能性や、単に中心に餌がある可能性も考えられるそうだ。動画からは、中心付近の蟻の状態が良く分からないので、巣があるのか、エサがあるのか、それとも何も無いのかは分からない。

7. 結論

グンタイアリが行進している原因は不明だが、その習性から昼になったら自然に消えると予想される。グンタイアリの知られざる生態で死ぬまで回っていることもありえるが、1日以上、もしくは死滅するまでグンタイアリが回転した信頼のおける記録が無い以上、グンタイアリの行動パターンから昼で解散と考えた方が良いであろう。

蟻が回転しつつ全滅した写真か動画があれば考えを訂正せざるをえないが、今のところはそういう資料は存在しないようだ。死ぬまで無駄に回ることがあるのは、人間だけな可能性は高い。

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