2017年10月19日木曜日

就業者数で景気判断をするとアベノミクスは微妙になる

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ネット界隈のリフレ派は、2012年末までの民主党政権に景気が底をうっていたのを認めると心の中の何かが壊れるのか、最近は景気遅行指数の就業者数をもって第2次安倍政権になってから景気が良くなったと主張している。マネーストック、期待インフレ率、インフレ率はどうでもよくなったのか、景気一致指数の有効求人倍率を見なくて良いのかも気になるが、就業率ではなく就業者数をみると色々と奇妙な事が起きるのを指摘しておきたい。

開かれた独裁国家が分かる「物語 シンガポールの歴史」

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気づくと産油国を除けばアジアでもっとも豊かな国となったシンガポールは、実業家上がりのオピニオン・リーダーに理想郷のように思われているようだ。しかし、実際にどういう国か、マーライオンが実はしょぼい*1以上の事を知っている人はそんなにいないと思う。世間一般にもたれているのは、経済活動に勤しむオープンな都市国家と言うイメージであろうか。

2017年10月17日火曜日

賭け金を全て行動経済学に載せない方がよい理由

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2017年のノーベル経済学賞もしくはスウェーデン銀行協会賞は、行動経済学の大家であるセイラーに決まった。2002年にカーネマンらと同時受賞をしていてもおかしく無い人で、今回の単独受賞の理由を訝しがる人もいるが、賞に相応しい業績を持つ人物であるのは間違いない。あぶく銭を軽率に使ってしまう限定合理性、国や地域によって公正な振る舞いに差があることを意味する社会的選好、夏までに痩せると宣言し菓子を貪る自制心の欠如を、存在証明し分析した功績がある*1。しかし、これで行動経済学の知見を鵜呑みにするべきかと言うと、そうでもない。

2017年10月16日月曜日

公的年金支給開始年齢の引き上げの60歳以上就業者数への影響

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はてサのid:scopedog氏が「55~64歳の年齢階級で就業者数が安倍政権になって増えた理由は、年金支給開始年齢の引き上げが2013年から開始されたから」と主張しており、その理由として「55~64歳の年齢階級で2013年から15歳以上人口に対する就業者数や非労働力人口の割合の推移傾向が変わっている」からだと主張している*1。明らかに変なのだが、ブックマークのコメント欄でちゃんと突っ込んでいる人がいなかったので指摘しておきたい。

経済統計でデッド・キャット・バウンスと言われても

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ネット界隈のリフレ派が好む用語に、デッド・キャット・バウンス(Dead Cat Bounce)と言うのがある。死んだ猫でも高い所から落とせば跳ねるように、急落している最中に一時的に回復傾向になる株価の動きを指す。今では株価以外の経済指標にも使われるようになったが、これで資本市場以外の説明をするのはやめた方がよい。そのような現象が頻繁に見られるわけではないし、理屈が全くつかないからだ。

男と女は違うことを認めないと、女が困ることになる

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男女で薬剤の効き方や副作用が異なり、特に排卵や月経などの影響を考慮した治験など臨床実験を行なわないと、女性が困る事になると言う話がPOPSCIでされていた*1。紅斑性狼瘡、尿路感染症、心臓疾患などにおける性差は広く知られているので、従来から認識されていた話だと思うが、Nature Communications誌に掲載された研究のマウスを使った大規模実験で性差の影響が改めて確認された。

2017年10月15日日曜日

アレな評論家の得意技モット・アンド・ベイリー論法

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弁当が旨そうな話ではない。よく炎上する評論家の得意技に、モット・アンド・ベイリー論法(Motte and bailey)と言う立派な名前がついていたと言う話である。

その主張が過激でトンデモであると非難されると、もっと穏当なことを主張している、それが分からない人がおかしいと弁解をする文筆業の人を見かけたことがあるであろう。主張が過激なモノにも穏当なモノにも読める曖昧作文を行なっているのが問題なのだが、この事には反省の色は見せない。

2017年10月14日土曜日

求職意欲喪失者や縁辺労働者や不本意なパートタイマー労働を考慮した失業率は、完全失業率とよく連動

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完全失業率の改善を示されても、雇用環境が余りに悪いと職探しをしても仕事が見つからないので、失業者が求職を止めてしまう就業意欲喪失効果や、パートタイマーへの不本意就業による妥協による低下であって、雇用環境は実は悪化していると主張する人々は少なくない。ネット界隈のリフレ派が2012年までの民主党政権時の、反安倍政権の左派が最近の完全失業率の低下に対して、このように主張するのを見かけたことがある人は多いであろう。しかし、求職意欲喪失者や縁辺労働者や不本意なパートタイマーを考慮した失業率を作っても、完全失業率とよく連動する。完全失業率を見ていれば、だいたい間違いは無い。

小池百合子と前原誠司の初めての共同作業の結果

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2014年の衆院選・小選挙区の与党・自民党と公明党の得票率は49.54%に半数未満に留まったが、獲得議席率78.64%に達した。野党は得票率50.46%と過半であったが、議席率は21.36%でしか無かった。小選挙区制度はその選挙区で第1党のみが議席を得るので、地域政党でも無い限り、支持率が中途半端な党には不利な制度だ。野党が乱立している今の日本では、このような結果がもたらされる。

2017年10月12日木曜日

東浩紀の「積極的棄権」が選挙のボイコットを勧めていないとして

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文芸評論家の東浩紀氏が、衆院選「積極的棄権」の署名活動を開始したそうだ。選挙の棄権を呼びかけるとは何事かと非難され、それに投票の棄権を呼びかけているものではないと弁解する問答がされている。何ともポストモダン的状況である。

2017年10月9日月曜日

妊婦もインフルエンザの予防接種をしよう

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POPSCIで、インフルエンザ・ワクチンの接種で流産の確率が高まることはないので、妊婦にも注射した方が良いと言う話がされていた。米国で、インフルエンザ・ワクチンの摂取と流産の相関関係を示す研究が出たと言うニュースが出回って、不安が広まっているらしい。

2017年10月8日日曜日

希望の党の経済政策ユリノミクスの整合性

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憲法改正論議容認と消費税増税凍結以外に関して、小池百合子都知事が率いる希望の党の“政策”が出てきた。社会保障政策をベーシックインカムに転換するところが注目されているが、そこは「検討」なので無視しよう。他の具体的な話は『「希望への道」しるべ12のゼロ』と題されて一覧になっており、

2017年10月3日火曜日

ヒトES細胞を試料に用いるための生命科学者による倫理的正当化

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生命倫理について、人文系の哲学者の主張を見つけることは容易いと思うが、生命科学の研究者がヒトES細胞を試料に用いることを、どのように倫理的に正当化しているのか、はっきり確認できることは少ない。

実際問題、学内の研究等倫理審査委員会をパスできれば良いわけで、それ以上の関心を持っている研究者は少ないのであろう。しかし、さすがに偉い人になると外部との折衝があるのか無視するわけにもいかないようだ。そのツイートをよく見かける中辻憲夫氏の著作「幹細胞と再生医療」の第5章には言及があった。

2017年10月2日月曜日

核兵器なしで北朝鮮はソウルを火の海にできるのか?

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北朝鮮と米韓が戦争になれば、韓国の軍や市民に多大な犠牲がでるという話をよく見かける。北朝鮮が核攻撃能力を持たないにしろ、朝鮮半島での戦争は韓国に多大な被害が出ることになっている。朝鮮半島情勢に詳しいジャーナリストの辺真一氏や高英起氏の記事も、退役軍人からのインタビューでもそういう話を前提にあれこれ推測を行なっている。しかし、よく考えるとこれらの話に大した根拠は無い。

2017年9月30日土曜日

いまどき財政ファイナンスで高インフレに苦しむベネズエラ

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マクロ経済学者の多くは歳入を貨幣発行に頼る財政ファイナンスに対して強い警戒心を持っている。一方で、日本が20年近く安定した物価を維持しているためか、インフレに対する恐怖心が蒸発してしまっている人が多いようで、ネット界隈にはマクロ経済学者の言説を感覚的に理解できない人々が一定数いるようだ。クーデターで政府転覆されるケースすらあるのだが、時折インフレで滅んだ国は無いような言説も見かける。時が経つと失敗への反省は薄れるものらしい。しかし、国外に目を向ければ今も高いインフレーションと経済混乱に苦しむベネズエラがあり、財政ファイナンスの帰結がどのようなものかを知る事ができる。

2017年9月29日金曜日

前原誠司、民進党から希望の党に衆院議員を追い立てる

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前原誠司民進党代表が、10月22日投票の衆院選挙で民進党から公認候補を立てず、民進党の議員などには小池都知事が代表を勤める希望の党の公認申請を行うように促した*1。希望の党と民進党が反自民票を取り合う事で、小選挙区で潰しあいになる事が危惧されていたが、前原氏の思惑が機能すればそれは回避される事になる。前回選挙でも野党の総得票は与党の総得票を超えており、政権交代も可能かも知れない。また、希望の党はまだ組織としての形すら整っておらず、選挙後、小池都知事の影響力が低下することにより、民進党出身者で乗っ取ることも不可能では無いであろう。

2017年9月28日木曜日

大抵のSNS上の「母数」は、単なる「数」に置き換えた方が正しくなる

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統計学の用語で最も濫用されているのは、母数(パラメーター)であろう*1。母集団の確率分布を特徴付ける数で、平均や分散が該当するのだが、なぜか単なる数もしくは分母の意味で使われることが多い。いまさら言っても始まらないぐらい濫用されているのだが、用語の濫用はミスコミュニケーションの元なので、なるべく正しく使っていただきたい。

2017年9月25日月曜日

対北朝鮮人道支援は、北朝鮮制裁を弱めない

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国連機関を通じた北朝鮮への人道支援に対して、日米が懸念を示したことに韓国で不満が広がっているらしい。北朝鮮への経済制裁を強めている時期に援助するのは頭がおかしい気がするので日米の懸念も不自然ではないのだが、大した助けにはならないので気にするほどではないかも知れない。政治的メッセージを気にしなければ。

2017年9月21日木曜日

むしろ今が北朝鮮に武力行使しやすい

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北朝鮮が核兵器開発を進展させる事に対し、米国は中露やその他の国を巻き込んで経済制裁をかける一方で、核放棄しない限りは武力で体制を転覆すると圧力をかけているが、朝鮮半島の専門家は、北朝鮮は体制維持がかかっていると考えているから核開発の放棄はできない一方で、米韓は今までも出来なかったのであるから、これから武力行使はできないであろうと説明している。曰く、「何で今まで何もしなかったんだ。核兵器開発ほぼ終わってる段階じゃ手を出せんだろ。もっと前に潰しといた方が簡単だったろ」と言うことらしい。しかし、今からの方が実際問題、攻撃しやすいかも知れない。過去30年間に生じた社会的・技術的変化を考えてみたい。

2017年9月20日水曜日

大抵の個人/法人への罵倒は違法行為で、アカウント凍結理由になりうる

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人気ついったらーで作家の菅野完氏が、Twitterアカウントを永久凍結されたことに対して、左派を自認する人々に困惑が広がっている。しかし、菅野氏は納得しないであろうが、氏の発言は侮辱もしくは名誉毀損行為と見なされても仕方が無いものを多分に含むため、Twitter社の行為が不適切とは言えない。

2017年9月8日金曜日

北朝鮮の核兵器開発は中国離れのため

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金正恩政権になってから、北朝鮮の核ミサイルの開発における実験回数が大幅に増加しており、弾道ミサイルの方は射程距離が大幅に増加し*1、核爆弾の方は160Kトンの爆発規模に到達している事が確認された。核ミサイルとしての技術的課題はまだ残されていると考えられるものの*2、このまま行けば数ヶ月から数年といった近い将来、実戦配備されることはほぼ確実と見られている。

2017年9月7日木曜日

仲正!ゲーデルの不完全性定理よりも簡単な論理の不完全性を自己言及パラドックスで示すハッタリがあるよ!

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ポストモダン好きの思想史研究者の仲正昌樹氏が、ポストモダンのゲーデルの不完全性定理のハチャメチャな理解を擁護して、この定理は認識論哲学を否定する自己言及性のパラドックスの問題に関連があり、純粋に数学の問題に留まらないと主張している*1。その説明に難があるのも問題なのだが*2、そもそもゲーデルの不完全性定理を文学的に援用しようとすると、一般の読者は

2017年8月26日土曜日

そんなデータで男女間の統計的差異を認めてしまっていいと思う?

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男女の身体能力の差は激しい。見た目の筋肉のつき方から自明なところもあるが、女性のトップアスリートでも平均的な男性の筋力に達しているわけでもないし、実際に競技をさせても如実に差が出る。これと同様に、様々な職業における就業能力においても男女の差があると認めてしまう人も少なく無い。実際、慎重にデータを見ても男女の就業能力に差異があるように見えるときもあるのだが、実は経路依存性のある問題かも知れない。

2017年8月24日木曜日

外交だけではどうにもならない事が分かる『戦前日本の「グローバリズム」』

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お茶の間で人気の国際政治学者・三浦瑠麗氏の“戦前の方が国家観・歴史観を持ち、理念を掲げられる日本人が育っていた”論の元ネタとして『戦前日本の「グローバリズム」』が紹介されていたので拝読してみた。戦前の政治指導者や思想家にトンデモ感を感じたので、三浦女史の元ネタでは無いと思うが、1920年代後半から終戦までの日本の外交政策や市民意識に関する通説を否定している本で、中身自体は興味深かった。

2017年8月21日月曜日

ポモ好きも知るべき蝋板と蜜蝋の違い

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ポストモダン思想家のデリダが、人々の性格や能力などの差異における生得的・遺伝的な要素の影響を否定しようとするピンカー定義のブランク・スレート仮説の信奉者であるか否かについて、文芸評論家の山川賢一氏とポモ好きの思想史研究者の仲正昌樹氏が議論を展開しているのだが、山川氏が傍証としてデリダがブランク・スレートと同じ意味になる「脳髄の蝋板」と言う表現を使ったと言う指摘をしたところ、仲正氏が『デリダが「蝋 cire」という比喩を使っているのは、物質の本質をめぐるデカルトの「蜜蝋の分析」を念頭に置いているから』と反論している。蝋板と蜜蝋は随分と異なる概念で、話が噛み合っていない。

2017年8月18日金曜日

ピンカーは近代哲学ではなくポストモダニストを含む現代のブランク・スレート信奉者を非難している

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ポモ好きの思想史研究者・仲正昌樹氏が、『ピンカーが(「人間の本性を考える」で)哲学における「ブランクスレート」説として念頭に置いているのは、“ポストモダン”ではなく、イギリス経験論に代表される近代哲学全般』と主張していたので検証してみたのだが*2、イギリス経験論自体は肯定もしていないが、批判もほとんどしていない。ピンカーが熱心に批判しているのは、彼らの説を極度に単純化した後の世代の心理学者・社会学者・思想家、特に20世紀以降に新たな科学的知見を政治的に拒絶した人々であって、近代哲学全般を批判していると言うのは勘違いに思える。また、デリダなどポストモダニストへの言及もそれなりの分量、ある。

2017年8月16日水曜日

地下鉄の科学 - トンネル構造から車両のしくみまで

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地下鉄は現代的な大都市には必ずある身近な交通機関なのだが、公共交通機関の中では地味な扱いである。地下だけに写真も撮りづらいから撮り鉄も被写体としづらいようだし、路線網だけに狭いスポットから全体を見渡せるわけでもないので、巨大建造物が大好きな30代以降の自称少年/少女も、わざわざ地下鉄を見に行こうとは行かないようだ。しかし、列車を地下に走らせるには穴を掘らないといけないし、視界が悪く密閉されているので運行上の危険も増す。少し知識を深めると、面白みが出てくるかも知れない。

2017年8月13日日曜日

政党観の前に“リベラル”の意味が世代ごとに異なる

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2017年8月11日の読売新聞の『政党観 世代で「断層」』と言う記事が話題になっていた*1。曰く、若年世代にとっては公明・共産が「保守」で、維新が「リベラル」であるそうだ。これは高知大学の遠藤晶久氏と読売新聞の共同調査なのだが、予備調査として行なわれたアンケート調査*2の結果を見る限り、かなり危ういものとなっている。集計データしか示されていないのではっきりは言えないが、政党観の前に“リベラル”の意味が世代ごとに異なる可能性が高い。

三浦瑠麗っち、政治家の質を見ると戦前回帰はあり得ないよ

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お茶の間で人気の国際政治学者・三浦瑠麗氏が、8月12日の東京新聞のインタビュー記事で、「国家観・歴史観を持ち、理念を掲げられる日本人が育たなくなっている」から、「(戦前)を全て否定するのは一面的で、過去を見誤っています」と主張している。戦史をしていた人なのに、第二次世界大戦の敗北が無かったことになっていて興味深い。戦前の政治家や軍部は、勝てないケンカを売って祖国を焼け野原にしたわけで、碌な国家観・歴史観・理念を持っていなかったとしか言いようが無く、意味不明である。

2017年8月11日金曜日

内閣を支持する/しない理由は大した情報にならない

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世論調査で安倍内閣の支持率が急落し、特に首相への信頼が急落していることが注目されている。調査結果なのでアレコレ言及したくなるのだが、どういう意味を持っているのかは判然としない。そこで、支持/不支持理由の内訳の変化の傾向と、それが内閣支持率にどの程度の影響を与えるのかを過去13年間のデータから計量的に確認してみたのだが、支持/不支持率を変化させる隠れた“要因”はほぼ一つであり、支持/不支持理由の“変化”は内閣支持率に大きな影響を及ぼしていなかった。

2017年8月6日日曜日

計量分析をすると、首相辞任のトリガーは内閣不支持率

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何かと話題の安倍内閣の支持率だが、韓国政治が専門の木村幹氏が『近年の政治状況において重要な「内閣支持率-与党支持率」はまだ16%以上のマージンを持っているので、与党内の反発により政権がゆらぐ状況ではない』と言う話をされていて、その指標が重要なのは本当かと思って検証したらそうでもなかったので報告したい。大半の人には「知っている」と言われそうなのだが、近年のデータを見る限り、首相辞任のトリガーは内閣不支持率だ。

2017年7月26日水曜日

完全失業率の上昇は、内閣支持率を低下させるか?

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産経新聞の『【田村秀男の日曜経済講座】内閣支持率は失業率次第 警戒すべきは緊縮財政勢力』なる記事で、内閣支持率の前年同期からの差分が完全失業率によって決定されるような主張がされていた。低い失業率を維持したら内閣支持率がいつか100%を超える事になってしまうので、明らかに不適切な統計処理を行なっているわけだが、好景気・高雇用ならば内閣支持率が高くなり、選挙で与党が有利であるのはよく耳にする風聞である。この法則に、どの程度の根拠があるのであろうか。計量的に検証してみよう。

2017年7月24日月曜日

ネット世論調査は回答者数が多くても、標本の偏りが激しい

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最近の安倍内閣の支持率急落を受けて、ネット界隈の安倍総理のファンが回答者数が多いネット世論調査ではもっと支持率が高いので、新聞社や通信社などが行なっている世論調査の結果がおかしいと言い出している。ちょっと前までは、アンチ安倍の人々が世論調査の数字を疑っていた。しかし、社会調査法のイロハで教わる事だが、明らかにネット世論調査の方がおかしいので、もっとそれらしい他の陰謀論を考えて欲しい。

2017年7月22日土曜日

為末大は努力信奉者ではあるが、優生思想の信者とは言えない

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自己啓発が好きな人々に信奉者が多い元陸上競技選手の為末大氏のあるツイートが、優生思想だと非難されていた。「一定数以上、価値を生み出す人がいなくなった国家は力を失いますので…それを回避する程度には私たちは頑張るべき」と言うツイートが、価値を産み出さない人が国家に不要と捉えられ、それが優生思想に思えるらしい。しかし、為末氏の主張と優生思想はかなりの相違がある。

2017年7月17日月曜日

多元的貧困の四次元ベン図

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東京財団税・社会保障調査会に『貧困率は低下したけれど… 「多元的貧困」アプローチの試み』と言う小塩隆士一橋大学教授のエッセイが出ていて、多元的貧困をベン図的な図を用いて説明していた。貧困を考えるときは所得だけではなく、教育や健康やセーフティ・ネットについても考慮する必要があると言う話で、その概念自体は貧困問題では常識的な話なのだが、以下のベン図的な図が気になった。

2017年7月14日金曜日

連合の残業代ゼロ法修正案は固定残業代制度と比較すべし

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関係団体で話を聞いていないと混乱が広がっているようなのだが、日本版ホワイトカラー・エグゼンプション、高年収人材の残業手当てを無しにする「高度プロフェッショナル制度」だが、連合が条件付容認に転向したと報じられている。反対から突然の条件付賛成に移ってネット界隈でも困惑が生じているようなのだが、連合が労働者を裏切ったと言う前に、現在既にある残業代ゼロ制度と連合案を比較してみよう。労働条件の悪化はもたらさない事がわかるはずだ。

2017年7月9日日曜日

りふれ派は肥満が増えていることに気づかない

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マルクス経済学者の松尾匡氏の2012年のウェブページの記事を真に受けているりふれ派のツイート*1のリツイートが伸びていた。注目されている主張は、1995年以降、エネルギー摂取量が減っているのは経済的事情が理由だと言うものだが、ちょっと論が粗い。生活スタイルの変化、高齢化の影響、さらに調査データにかかるバイアスを見落としている。

2017年7月7日金曜日

野田元総理「松尾貴史さん、私、当時は浪人中で、国会で質問できませんでした」

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記憶違いで意図せずデマを流してしまう事もある。文筆活動をしている人でも確認を怠るとそうなるし、コラムニストの松尾貴史氏も例外では無い。『野田佳彦氏は橋本龍太郎総理(当時)に向かって、本会議で「風邪を引いていた日本経済を消費税増税で肺炎にさせてしまった」と責めていた』とツイートしていたのだが、誤りである。野田佳彦氏は1996年から2000年までは落選のため国会議員では無い一方、橋本内閣は1998年7月までなので、消費増税後に国会で野田氏が橋本総理(当時)に質問をすることはできなかった。

2017年7月4日火曜日

加計学園問題の未確認・未弁解事項の整理

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臨時国家の開催がいるのか、野党4党が当初求めていた閉会中審査で済むのかはさておき、加計学園系列の岡山理科大学の獣医学部の設置認可に関して政府の未確認・未弁解事項の整理しておきたい。未解明事項ではないから悪しからず。

  1. 「広域的」が意味するところで政府答弁に一貫性が無い
  2. 京都産業大学のための「関係省庁等からのヒアリング」が行なわれていない
  3. 既存獣医師養成課程は“国際水準”に永久に至らないのか?
  4. 今後の既存獣医師養成課程の新設における政府方針

安倍晋三@都議選前「(公明党が敵に回ってしまったのは残念ですが)公明党抜きの単独で勝利するいい機会(だと思って開き直りましょう)」

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今を遡ること6ヶ月弱、2017年3月14日に、安倍総理が自民党総裁として二階俊博幹事長と会談し、『地域政党「都民ファーストの会」と公明党が候補者を相互推薦する選挙協力に関し、「公明党抜きの単独で勝利するいい機会だ」と述べ』たことを、ひっぱり出してきて、「ここまで啖呵を切った安倍首相が、都議選後にテレビカメラの前で正式に敗戦の弁すら述べないのは、卑怯」と言っているのだが、無理がある批判である。

ネトウヨ「反対するなら対案を出せ」民進党「出していますよ」

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ネット界隈の安倍総理のファンが「反対するなら対案を出せ」と民進党にケチをつけているのを見かけることがある。現状維持も対案ではあるが、共通認識として解決しなければいけない問題があったときに、対案がないのに反対だけ連呼されても困るのは確かだ。民進党が何でも反対だけしているのであれば、やはり政権担当能力は無いと見なすしか無いであろう。しかし報道もされているわけだが、民進党は重要法案に反対するときには対案を出している。

2017年7月3日月曜日

東京都議会自民党の重鎮である内田茂氏の非協力的な態度を思い出そう

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2017年7月の都議選は小池百合子都知事率いる都民ファーストの会の圧勝、自民党の大敗に終わった。各種報道と政治家等のコメントを見ると最近の国政が自民党支持率を下げ、都民ファーストの会が受け皿になったと考えている。また、政策や実績が考慮されなかったと嘆いている人もいる*1。これらの見解は本当であろうか。1月からの投票先意向を見ると、都民ファーストの会の支持率は2月が42.3%とピークで、選挙直前は32.2%まで落ちてきていた*2

2017年6月30日金曜日

原田泰日銀審議委員のナチスの経済政策の政治効果の認識でおかしいところ

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リフレ派(だったはずの)原田泰日銀審議委員が都内の後援会で述べた、ナチス・ドイツの経済政策の政治効果についての持論が取り上げられている*1。以前から繰り返している「インフレもデフレも悪いが、デフレの方がより悪い」*2と言う二元論的リフレ派論法の一つだ。色々と問題があるのだが、ネット界隈のリフレ派には「原田発言のどこが問題なのか全くわからない」と言い出す人がいるので、分かりやすい問題点を指摘しよう。ヒットラーは雇用改善の前に独裁体制を確立している。

2017年6月29日木曜日

車椅子での航空機の搭乗に便利そうなモノ

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航空会社が準備をするから事前に連絡してくれと言っているのを招致で、あえて断り無く車椅子で突撃しては航空会社の不備を洗い出す活動家に格安航空会社(LCC)のバニラエアが“被害”にあったようだ*1

非常時のために身障者の搭乗数とその配置を調整したり、ボーディング・ブリッジを使わせてもらえないか空港と交渉したりするので*2、事前に連絡を入れるぐらい航空会社に気を使っても良いと思うのだが、飛行中に健常者に怪我や病気が生じることもあるわけで、アシストストレッチャーや階段昇降機がすぐに手配できないのも問題だ。そもそも何で階段などを使っているのであろうか?

2017年6月27日火曜日

国家戦略特区諮問会議の民間議員は、参入規制の撤廃か緩和にしか興味が無い

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加計学園系列の岡山理科大学の今治市の獣医学部の設置に関して「有識者議員による国家戦略特区に関する記者ブリーフィング」が行なわれ、民間の有識者議員がその正当性を説明していた話を確認してみたのだが、選ばれている有識者議員はミクロ経済学の教科書的に寡占市場をより競争的にすることにだけ問題関心があり、獣医師養成カリキュラムや感染症の水際対策、獣医師偏在問題にはほとんどない事が分かった。

2017年6月26日月曜日

「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件を、京都産業大学が満たしていたとして

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ネット界隈の安倍総理の支持者たちが、毎日新聞や朝日新聞が報じて来た、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件によって、京都産業大学が獣医学部新設を断念した言う話が、虚偽であると主張している。

2017年6月13日に国家戦略特区諮問会議の有識者議員が「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件で、京都府と京都産業大学の提案は対象外になっていないと証言したこと、『広域的に存在しない地域』と言う条件が出た後も一校限りという条件が公知されるまでは京都産業大学の活動が継続している事が挙げられている理由だ。

米海兵隊オスプレイの佐賀空港移転案と辺野古移設の無矛盾性

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外務省と防衛省が偽の米軍からの説明を造り上げ、普天間基地から徳之島への米軍基地移転を目指していた鳩山由紀夫元首相を、従来路線の辺野古移設に戻したとする説をジャーナリストの田中龍作氏が主張していたのを真に受けている人がいたので、この陰謀論の問題点を指摘しておきたい。問題の説明が正しいとすると、安部政権の米海兵隊オスプレイの佐賀空港移転案も無理になると言うのがロジックなのだが、航空機の機種ごとに後続距離が異なることを見落としている。

2017年6月24日土曜日

平成27年度年次経済財政報告にある構造失業率推定の説明の誤植

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構造失業率は過去データから推定される有効求人倍率が1のときの失業率と言う説明をしたら、それはおかしいと言う質問をされたが、それを前提に推定されている。

内閣府がやっている教科書的な推定では、UV分析を背景に置いていて*1、t期の失業率=t期の欠員率=t-1期の失業率(t-1期)となるところを長期均衡と見なしている。長期均衡では、失業率の分母である労働人口と欠員率の分母である仕事の口は一致するので、失業率と欠員率が等しくなるには、失業率の分子である求職数と欠員率の分子である求人数が一致する必要がある。求人倍率=求人数/求職数であるので、長期均衡の求人倍率は1となる*2

2017年6月21日水曜日

家畜やペットの数の割りに獣医師が少ない都道府県

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加計学園系列の岡山理科大学の獣医学部の設置認可に関して、地域の獣医師不足の解決策として正当化されるような話をする人が多々いるのだが、そもそも地域の獣医師が相対的に少ない都道府県はどこなのかが分からないので、官邸が出していた都道府県別の獣医師数及び家畜数の資料を使って確認してみた。愛媛を含む四国が、目立って獣医師数が少ないと言うわけでは無いようだ。高知と徳島はマシな方である。

2017年6月20日火曜日

人々が実際に持つ倫理を考える「モラルの起源」

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倫理学と言えば、特定の倫理や道徳が持つ特徴や欠点を考えたり、特定の倫理や道徳から考えて物事の是非を考えたりと、規範的な議論がされる事が多い。遡れば、利己心から説明できるとしたホッブズや、共感にもとづくとしたヒュームなどの議論もあるわけだが、当時は研究手法が洗練されておらず、倫理や道徳の由来はあれこれ想像するしかなかった。最近は、社会人文科学でも実験が一般化したこともあり、実証的な研究も進んでいるようだ。「モラルの起源」は生物学や心理学の知見から、人々が実際に持っている倫理や道徳がどのようなモノかを紹介した本だ。