2017年12月12日火曜日

フィリピンの“慰安婦像”に文句を言う前に

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それがどのようなものかを確認しよう。

フィリピン国家歴史委員会が、メトロポリタン・マニラのロハス通り、つまりフィリピンで一番有名な通りに「1942年から1945年の日本の占領下で虐待の被害にあったすべてのフィリピン人女性の記憶」のモニュメントを設置した事が議論を呼んでいる*1。不満を持っている人が多いようなのだが、韓国やアメリカに乱立している慰安婦像と、ロハス通りの“慰安婦像”には大きな違いがある事に注意して欲しい。ロハス通りの方は、碑文に非の打ち所が無い*2

荒唐無稽なぺジー社齊藤社長の経済財政諮問会議提出資料が語ること

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ぺジー社の補助金詐欺に付随した話題だが、同社社長の齊藤元章氏が経済財政諮問会議に提出した資料について、中日新聞社記者の望月衣塑子氏の「神がかってて意味わからない。こんなもんに大金注ぎ込んでた政府とは」と言うツイートに非難が集まっていた。非難自体はネット界隈ではぺジー社齊藤社長は人気もので、望月記者は嫌われ者なせいか望月記者に辛辣に思えるが、望月記者も一つ勘違いをしているし、望月記者が嫌いな安倍内閣が/も抱える一つの問題点に気づいていないようなので指摘したい。

2017年12月6日水曜日

国民に適切な情報提供ができるまでが長い子宮頸がんワクチン副作用問題

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子宮頸がん対策のHPVワクチンの安全性とその効果を科学的根拠に基づいて訴えてきた医師でジャーナリストの村中璃子氏がジョン・マドックス賞を受賞した。ネット界隈では、HPVワクチン懐疑論者とHPVワクチン接種を促さないメディアへの非難が改めて強まっている。副作用を訴える声が大きく報道されたあと、厚生労働省の積極的な推奨が2013年6月に一時中止され、地方自治体の公的補助が継続されているのにも関わらず、接種率が大きく下がったためだ。しかし、決定権があるのは政府や厚生労働省なので、副作用を訴える人やそれを報じるメディアを責めていてもはじまらない。むしろ、厚生労働省の消極的姿勢を責めるべきであろう。

2017年11月30日木曜日

福島の甲状腺がん検診についてあれこれ言う前に

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福島第一原発の災害・事故による放射性物質の流出による被爆の影響を見るための、高性能エコー診断システムによる甲状腺がん検診の是非について、あれこれ議論があるようだ。週刊誌のアエラが、甲状腺がん検診を打ち切ることで、東電の損害賠償額を小さくしたがっていると言うような陰謀論を報じている*1のだが、似たような話を信じ込んでいる人々をネット界隈で見かけた*2。あれこれ言う前に、常識的な話は確認しておいて欲しい。甲状腺がんの過剰診断はNHKドキュメンタリー*3でも報じられている内容で、世間にそう誤解が広まっているとは思わないのだが。

2017年11月28日火曜日

アイヌの歴史は17世紀からではない

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Yahoo!ニュースの「アイヌとして生きる若者たち――薄れゆく民族意識の中で」と言う記事の出だし部分、「アイヌ民族。17世紀ごろより東北地方の一部から北海道、旧樺太(サハリン)などに定住し、自然とともに生きてきたとされる」が大嘘だと、ネット界隈で突っ込まれている。2つの意味で間違いがあって、アイヌは17世紀に他地域から流入してきたわけではなく、北海道やシベリアに住んでいた人々が10世紀に確立したエスニシティになる。

2017年11月25日土曜日

未来のワクチンは伝染していく

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ワクチン接種は感染症に対する有効な対策だ。天然痘は極めて死亡率の高い病気であったが、18世紀にエドワード・ジェンナーが牛痘接種法による天然痘ワクチンを発明し、1977年を最後に根絶された。地球上から根絶に至らなくても、風疹、ジフテリア、破傷風、百日咳、麻疹などの感染者数を劇的に抑えている事は間違いなく、広く接種されているワクチンの効能を疑う必要は無い。

2017年11月22日水曜日

インフルエンザ・ワクチンが効かない年がある理由

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スペイン風邪以来怖れられているインフルエンザ対策と言えばワクチン接種だが、実は効き目が毎年違う。なぜならば、流行のインフルエンザ株にあわせたワクチン製造に失敗する事があるからだ。その事情が、POPSCIで説明されていた。

突然変異を繰り返すインフルエンザ・ウイルスには、毎年同じワクチンは通用しない。国立感染症研究所のウェブページには、毎年のインフルエンザワクチン株がリストされているが、その4種類の組み合わせは確かに毎年変わっている。ワクチン生成をする前に、流行のインフルエンザ株を特定しないといけない。

2017年11月20日月曜日

サンフランシスコの従軍慰安婦像の残念なところ

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サンフランシスコの従軍慰安婦像の公有化問題で、大阪市長がサンフランシスコ市との姉妹都市を見直すと息巻いている。ネトウヨの皆様も、概ね、不愉快に思っているようだ。議会の決定に対して市長が拒否権を出すように、大阪市が圧力をかけている*1。その政治的影響力の無さを考えると*2、銅像など兵馬俑のように建ててもらって問題は無いのだが、過去の人身売買取引を非難する像としては、まだまだイマイチな所がある。

2017年11月15日水曜日

タックスヘイブン対策税制はそこそこ機能している

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租税回避地の利用者リストであるパラダイス文書が話題になっている。この手のタックスヘイブンが話題になるたびに高収益の国際企業の節税行為が問題視され、税制の見直しがされて来ているのであるが、某大手携帯電話/コンピューター製造販売者のように毎回、槍玉に挙げられる企業も存在する。これまでの国内法や国際協調BEPSなどの規制強化は意味が無かったのであろうか。報道されている限りは、そういうわけでは無さそうだ。

2017年11月14日火曜日

ふらふらとした韓国の外交政策は必然

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韓国の文在寅大統領が中国と交わした、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の追加配備を行なわないこと、米国のミサイル防衛構想(MD)に参加しないこと、日米韓で軍事同盟を構成しないことの三つの合意に関して、さすがに米国メディアも異常に感じたのか、文氏に批判的に報道*1を行なっている。米韓首脳会談での共同声明*2と合致しない内容になっているからだ。しかしこれ、文氏が悪いと言うよりも韓国の世情を反映したと考えた方が良い。文氏の支持率は高い水準を維持している*3からだ。

2017年11月12日日曜日

医療は病人を増やしている

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医者が増えると患者を増やすと言う話*1もあるのだが、それとは別に、病院や製薬などを含む医療システムは、地球温暖化ガスを大量に排出しており、それが病人を増やす事になっているそうだ(POPSCI)。

2017年11月11日土曜日

米国の大学でもサークルでウェーイやっていた方が稼げるようになる

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米国の大学にはフラタニティと言う男子学生の社交サークルがあって、急性アルコール中毒などの事件を引き起こすので、参加している学生の保護者は眉をひそめている。しかし、ガリガリと勉強だけしているよりもサークルで遊ぶこともした方が、その後の人生のためには望ましいかも知れない。そんな研究が紹介されていた*1

2017年11月10日金曜日

大学進学率を上げる社会的意義は小さいかも知れない

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開発援助畑の畠山勝太氏の「大学生は多過ぎるのか、大学に行く価値はないのか?」と言うエッセイが流れて来たのだが、読んでいて気になったところがあるので指摘したい。

畠山氏は、大学教育への公的支出を、大学教育は労働生産性を改善する人的資本蓄積効果が大きく、改善しないシグナリング(スクリーニング)効果は小さいとした上で、社会的利益(外部経済)と流動性制約や保護者の無理解による過少教育投資の存在から、「経済発展のための人的資本投資」として正当化できると主張しているのだが、その証拠になる統計を示せていない。

2017年11月9日木曜日

MV-22オスプレイの事故率急上昇への有効な対策は

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普天間基地の辺野古移転。

MV-22オスプレイは危険と言われつつも、10万飛行時間あたりの死亡もしくは機体全損のクラスA事故率が低かったが、ここ1年間に3度のクラスA事故が生じたために、クラスA事故率が急上昇するに至った。2012年の1.93から3.27に跳ね上がり、海兵隊全体の2.72よりも高い数字となった(朝日新聞)。ただし、中身を見ていくと心配すべき機体の不具合は無く、市街地上空を移動していて生じるような事故は起きていない。

2017年11月8日水曜日

待機児童解消と幼児教育無償化は平行して実行される事になっている

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NPO団体代表の駒崎弘樹氏が「幼児教育無償化は、幼稚園業界への利益供与か」と言うブログのエントリーで、幼児教育無償化だけではなく待機児童解消にも施策が必要だと主張している。しかし、安心して欲しい。政府によるとだが、駒崎氏の願いは叶う方向だ。

2017年11月7日火曜日

太平洋戦争は自衛戦争だった論に欠けているモノ

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気づかないうちにネトウヨの皆様の間で、太平洋戦争は自衛戦争だった論が展開されているらしい。米国の対日経済制裁によって苦境に立たされたので、対米開戦をせざるをえなかったと言うのが、その理屈だ。1941年12月8日以前の国際情勢に関する知識が欠落しているのだが、日本の拡張的領土政策に対する制裁であったことが欠落した議論になっている。1937年の盧溝橋事件以後のシナ事変が、1941年の全面石油禁輸措置が理由で始まったわけではない。

2017年11月6日月曜日

社会学者の自己肯定バイアス

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社会学者の岸政彦氏が國分功一郎氏との対談で、「日本の社会学は、特定の一人か二人のせいですごく評判が悪い」と述べいていたそうだ*1。“特定の一人か二人のせい”なのか、“日本の”なのかを考えると、強い自己肯定バイアスがあるように思える。

2017年11月5日日曜日

ジェンダー・ギャップ指数では中国社会の闇は測れない

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天文学者の中島淳一氏が、少なくとも日本よりは中華文化圏では女性が活躍しているから、中国が日本よりも男女平等だとしても不自然ではなく、ジェンダー・ギャップ指数*1の信頼性を揺るがすものではないと主張している*2。これに対して、ジェンダー・インバランス、つまり新生児性比が男児に大きく偏っていることを理由に、男女平等社会だと考えるのはおかしいと言う指摘がされている*3。著しい男女差別があるのでジェンダー・インバランスになっているのは確かで、ここの部分を差し引かないといけないのは確かだ。

2017年11月4日土曜日

数物系のお供「リー群の話」

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ネット界隈で言及される数学用語は幅広いが、数物系学徒が呟く率が高いものと言えば、リー群やリー環だ。学部生向けの数物系の本の最後でも、リー代数について言及があることが多い。線形代数で表される連続群*1と、その接ベクトルが構成する交代積について閉じている環の代数は物理学徒にとっては無くてもならないものらしく、なんと縦列駐車の分析にまで使われる*2ぐらいだ。ちょっと気になるので、『不完全ではあっても“リ一群”の実体を簡単な実例によってまず把握する』と言う「リー群の話」を開いてみた。著者の佐武一郎氏は数学界隈では高名な研究者だ。

警察官がボディ・カメラを装備しても、態度が良くなるとは限らない

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米国ではケータイのカメラなどで、警察官のマイノリティへの暴力*1や不用意な発砲が可視化され社会問題になっているが、米欧では警察官の規律対策としてボディ・カメラ(BWCs)の装備が各所で試されている。「ボディカメラの装着で警官に対するクレームが93%減少」のような大きな効果を伝えるニュースをよく見かけるのだが、ランダム化比較実験(RCT)を用いた厳密な政策効果の測定を行うと費用対効果は微妙な結果になる*2

2017年11月3日金曜日

大学設置審議会の加計学園の獣医学部設置認可は、問題が無かった事を意味しない

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文科省の大学設置・学校法人審議会が、加計学園獣医学部の開学を認可する見通しとした事に対して、これまで言われた疑惑が虚偽であったことが示されたと喜んでいる人々がいる一方、疑惑があるのに設置認可を出したのは不透明だと憤る人々も出ている。政治的な立ち位置で意見が分かれるのは分からないのだが、ちょっと待って欲しい。設置審議会はあくまで国内基準で判断するところなので、今まで出された疑惑とは関係の無く設置認可を判断している。だから、論争に決着をつけることはできない。

コチャバンバ水紛争は民営化が悪い事例にはならない

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新自由主義やグローバル化を嫌う人々が、1999年から2000年に南米ボリビアで起きた水道事業の民営化に対する反対運動コチャバンバ水紛争を引き合いに出して、水道事業の民営化に反対しているのを見かけたが、日本での議論の引き合いに出すのは無理があるので指摘してきたい。コチャバンバ水紛争は、外資系民間企業への水道事業の売却が、反対運動の激化により撤回された事例で、確かに成功事例ではないのだが、水道の安定供給に失敗した事例でも、料金高騰を招いた事例ではなく、行政の狙いを住民が理解できなかった事例であった。

2017年11月2日木曜日

利用言語を意識すれば、時間感覚が変わる

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言語が思考に強く影響し、現実世界の認識を左右すると言うサピア=ウォーフ仮説が否定されてから久しいが、利用言語が知覚に影響する事もある。Journal of Experimental Psychology: General誌に掲載された研究で、スウェーデン語話者とスペイン語話者で、時間感覚に違いが出る状況が確認されたことが、POPSCIで紹介されていた。ただし、説明されるときに使われる言語によって体感時間の精度が変わると言う、ちょっと解釈が難しい実験結果であった。

2017年11月1日水曜日

ICT投資と非ICT投資を分けると日本のTFP成長率が落ちる理由

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先日のエントリーで紹介したTEDのTFP成長率の90年代の値が、Hayashi and Prescott(2002)のものと比較して格段に低くなっている理由について議論があったので、考察を加えてみた。結論を先に述べると、HP論文ではICTと非ICT投資の配分効率性の改善をTFPの改善として計測してしまうため、ICTと非ICT投資を分けているTEDよりもTFP成長率が高めに推移していると考えられる。

2017年10月31日火曜日

報道機関がまだ森友学園問題を終わらせてはいけない理由

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個人投資家・作家の山本一郎氏が森友・加計学園問題を、現状の証拠類を見る限りほぼ難癖に近いと断言し、一部の新聞各社だけが問題にしていて滑稽だと批判している*1。どうも先週出てきた会計検査院のダメ出し*2を頭に入れていなかったようだ。森友学園への国有地の売却に関して、撤去費は2億~4億円程度で済み、値引き額は最大約6億円過大であり、また売却交渉の関連文書の管理にも問題があったと判断したと報じられている。疑惑の土台は固められた。

対面に比べて教育効果の低いオンラインラーニングも使いよう

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インターネットが普及してから、様々なオンライン教育サービスが提供されてきた一方で、対面教育に比較して教育効果が低い事が指摘されてきた。米国の大学のデータを分析した研究*1によると、学業成績が悪く、履修単位数が少なく、中退率が高い*2。このようにオンライン教育はダメなサービスとしてイメージが定着しつつあるのだが、何も無いよりはがマシだと言う研究もある*3

2017年10月28日土曜日

「曲がった空間の幾何学」で掴みは万全

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数学の中で、大学までとそれ以降で風景が大きく変わるものが幾何学だ。中高までの独立感のある図形の話ではなくなり、解析学や線形代数などの発展としての話になる一方、群が導入され、様々な不変量が出てきて抽象化も進み、ぐっと話が難しくなる。また、中高で幾何学に全く触れないことは無いと思うが、数物系でないと卒業までリーマン幾何学、位相幾何学に縁が無いことも多い。

2017年10月26日木曜日

被告人が悪いのでは無いのです、被告人の遺伝子が悪いのです

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米国では既に、被告人の遺伝子を理由に減刑を勝ち取ろうとする弁護士が現れている。実際、MAOA分子の遺伝子*1が、非社会的で犯罪的行為と関連があることが知られており、2009年にそれを理由に減刑された判決が宣告されている。遺伝子工学全盛の時代である。しかし、遺伝子を理由に陪審員の同情を買うのは、まだまだ難しいようだ(POPSCI)。

2017年10月25日水曜日

ブラジルで電子投票を導入した結果

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開発途上国で貧困層への公共サービスが小さいのは、その政治的影響力が小さいためだと言われている。選挙のある民主国家で、貧困層が少なくない数を占めている場合も同様であると言う研究もあり、影響力を増すような制度改善の方法も色々と提案されている。しかし、実現可能性の低い提案をするよりも、投票用紙を電子機器に変えた方が手っ取り早いようだ*1

2017年10月24日火曜日

リフレーション政策を唱えても選挙の票にはならない

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今回の衆議院選挙で、リフレ派議員の馬淵澄夫氏、小沢鋭仁氏が落選したことで強く思うようになったのだが、大規模な量的緩和を中心とするリフレーション政策を唱えても票にはならない*1。個別の議員が唱えたときはもちろん、党の方針として打ち出したときも、そんなに集票能力の高い政策では無い。そして、仮にリフレ政策が機能したとしても、支持率の向上にはつながらない可能性が高い。

2017年10月23日月曜日

野党が仲良く選挙協力をする方法

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今回の第48回衆議院選挙は、解散を決断した安倍総理もびっくりのドタバタ劇であった。少数派は合併して大きくなるか、綿密な選挙協力をしないと勝てないのが小選挙区制度なのだが、選挙のために主義主張が異なる集団と手を組む事に耐えられない政治家が多いようで、統一政党の分裂癖はなくならない。

2017年10月21日土曜日

就業者数の減少を伴う完全失業率の低下は、景気の悪化と言えるのか?

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ネット界隈のリフレ派では、2003年からのと2009年からの景気回復期で、就業意欲喪失効果で非労働力人口が増えており、完全失業率の改善はまやかしで、有効求人倍率の改善に関わらず雇用が悪化していたと言う説がよく唱えられている。

2017年10月20日金曜日

全要素生産性(TFP)の推移を確認して、国士様になってよ!

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国士は自分の事は省みずもっぱら国の事を心配する人物、国士様はネット右翼の事を指す。どういう機会で彼らが憂国の士になったのかは知る由も無いが、日本人である限り、あなたがそうなるかも知れない魔法の数字がこの世に存在する。全要素生産性(TFP)の推移だ。慣習的には毎年の変化率を見る*1のだが、乗算をして水準の変化のグラフにしてみた。

2017年10月19日木曜日

就業者数で景気判断をするとアベノミクスは微妙になる

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ネット界隈のリフレ派は、2012年末までの民主党政権に景気が底をうっていたのを認めると心の中の何かが壊れるのか、最近は景気遅行指数の就業者数をもって第2次安倍政権になってから景気が良くなったと主張している。マネーストック、期待インフレ率、インフレ率はどうでもよくなったのか、景気一致指数の有効求人倍率を見なくて良いのかも気になるが、就業率ではなく就業者数をみると色々と奇妙な事が起きるのを指摘しておきたい。

開かれた独裁国家が分かる「物語 シンガポールの歴史」

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気づくと産油国を除けばアジアでもっとも豊かな国となったシンガポールは、実業家上がりのオピニオン・リーダーに理想郷のように思われているようだ。しかし、実際にどういう国か、マーライオンが実はしょぼい*1以上の事を知っている人はそんなにいないと思う。世間一般にもたれているのは、経済活動に勤しむオープンな都市国家と言うイメージであろうか。

2017年10月17日火曜日

賭け金を全て行動経済学に載せない方がよい理由

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2017年のノーベル経済学賞もしくはスウェーデン銀行協会賞は、行動経済学の大家であるセイラーに決まった。2002年にカーネマンらと同時受賞をしていてもおかしく無い人で、今回の単独受賞の理由を訝しがる人もいるが、賞に相応しい業績を持つ人物であるのは間違いない。あぶく銭を軽率に使ってしまう限定合理性、国や地域によって公正な振る舞いに差があることを意味する社会的選好、夏までに痩せると宣言し菓子を貪る自制心の欠如を、存在証明し分析した功績がある*1。しかし、これで行動経済学の知見を鵜呑みにするべきかと言うと、そうでもない。

2017年10月16日月曜日

公的年金支給開始年齢の引き上げの60歳以上就業者数への影響

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はてサのid:scopedog氏が「55~64歳の年齢階級で就業者数が安倍政権になって増えた理由は、年金支給開始年齢の引き上げが2013年から開始されたから」と主張しており、その理由として「55~64歳の年齢階級で2013年から15歳以上人口に対する就業者数や非労働力人口の割合の推移傾向が変わっている」からだと主張している*1。明らかに変なのだが、ブックマークのコメント欄でちゃんと突っ込んでいる人がいなかったので指摘しておきたい。

経済統計でデッド・キャット・バウンスと言われても

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ネット界隈のリフレ派が好む用語に、デッド・キャット・バウンス(Dead Cat Bounce)と言うのがある。死んだ猫でも高い所から落とせば跳ねるように、急落している最中に一時的に回復傾向になる株価の動きを指す。今では株価以外の経済指標にも使われるようになったが、これで資本市場以外の説明をするのはやめた方がよい。そのような現象が頻繁に見られるわけではないし、理屈が全くつかないからだ。

男と女は違うことを認めないと、女が困ることになる

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男女で薬剤の効き方や副作用が異なり、特に排卵や月経などの影響を考慮した治験など臨床実験を行なわないと、女性が困る事になると言う話がPOPSCIでされていた*1。紅斑性狼瘡、尿路感染症、心臓疾患などにおける性差は広く知られているので、従来から認識されていた話だと思うが、Nature Communications誌に掲載された研究のマウスを使った大規模実験で性差の影響が改めて確認された。

2017年10月15日日曜日

アレな評論家の得意技モット・アンド・ベイリー論法

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弁当が旨そうな話ではない。よく炎上する評論家の得意技に、モット・アンド・ベイリー論法(Motte and bailey)と言う立派な名前がついていたと言う話である。

その主張が過激でトンデモであると非難されると、もっと穏当なことを主張している、それが分からない人がおかしいと弁解をする文筆業の人を見かけたことがあるであろう。主張が過激なモノにも穏当なモノにも読める曖昧作文を行なっているのが問題なのだが、この事には反省の色は見せない。

2017年10月14日土曜日

求職意欲喪失者や縁辺労働者や不本意なパートタイマー労働を考慮した失業率は、完全失業率とよく連動

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完全失業率の改善を示されても、雇用環境が余りに悪いと職探しをしても仕事が見つからないので、失業者が求職を止めてしまう就業意欲喪失効果や、パートタイマーへの不本意就業による妥協による低下であって、雇用環境は実は悪化していると主張する人々は少なくない。ネット界隈のリフレ派が2012年までの民主党政権時の、反安倍政権の左派が最近の完全失業率の低下に対して、このように主張するのを見かけたことがある人は多いであろう。しかし、求職意欲喪失者や縁辺労働者や不本意なパートタイマーを考慮した失業率を作っても、完全失業率とよく連動する。完全失業率を見ていれば、だいたい間違いは無い。

小池百合子と前原誠司の初めての共同作業の結果

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2014年の衆院選・小選挙区の与党・自民党と公明党の得票率は49.54%に半数未満に留まったが、獲得議席率78.64%に達した。野党は得票率50.46%と過半であったが、議席率は21.36%でしか無かった。小選挙区制度はその選挙区で第1党のみが議席を得るので、地域政党でも無い限り、支持率が中途半端な党には不利な制度だ。野党が乱立している今の日本では、このような結果がもたらされる。

2017年10月12日木曜日

東浩紀の「積極的棄権」が選挙のボイコットを勧めていないとして

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文芸評論家の東浩紀氏が、衆院選「積極的棄権」の署名活動を開始したそうだ。選挙の棄権を呼びかけるとは何事かと非難され、それに投票の棄権を呼びかけているものではないと弁解する問答がされている。何ともポストモダン的状況である。

2017年10月9日月曜日

妊婦もインフルエンザの予防接種をしよう

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POPSCIで、インフルエンザ・ワクチンの接種で流産の確率が高まることはないので、妊婦にも注射した方が良いと言う話がされていた。米国で、インフルエンザ・ワクチンの摂取と流産の相関関係を示す研究が出たと言うニュースが出回って、不安が広まっているらしい。

2017年10月8日日曜日

希望の党の経済政策ユリノミクスの整合性

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憲法改正論議容認と消費税増税凍結以外に関して、小池百合子都知事が率いる希望の党の“政策”が出てきた。社会保障政策をベーシックインカムに転換するところが注目されているが、そこは「検討」なので無視しよう。他の具体的な話は『「希望への道」しるべ12のゼロ』と題されて一覧になっており、

2017年10月3日火曜日

ヒトES細胞を試料に用いるための生命科学者による倫理的正当化

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生命倫理について、人文系の哲学者の主張を見つけることは容易いと思うが、生命科学の研究者がヒトES細胞を試料に用いることを、どのように倫理的に正当化しているのか、はっきり確認できることは少ない。

実際問題、学内の研究等倫理審査委員会をパスできれば良いわけで、それ以上の関心を持っている研究者は少ないのであろう。しかし、さすがに偉い人になると外部との折衝があるのか無視するわけにもいかないようだ。そのツイートをよく見かける中辻憲夫氏の著作「幹細胞と再生医療」の第5章には言及があった。

2017年10月2日月曜日

核兵器なしで北朝鮮はソウルを火の海にできるのか?

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北朝鮮と米韓が戦争になれば、韓国の軍や市民に多大な犠牲がでるという話をよく見かける。北朝鮮が核攻撃能力を持たないにしろ、朝鮮半島での戦争は韓国に多大な被害が出ることになっている。朝鮮半島情勢に詳しいジャーナリストの辺真一氏や高英起氏の記事も、退役軍人からのインタビューでもそういう話を前提にあれこれ推測を行なっている。しかし、よく考えるとこれらの話に大した根拠は無い。

2017年9月30日土曜日

いまどき財政ファイナンスで高インフレに苦しむベネズエラ

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マクロ経済学者の多くは歳入を貨幣発行に頼る財政ファイナンスに対して強い警戒心を持っている。一方で、日本が20年近く安定した物価を維持しているためか、インフレに対する恐怖心が蒸発してしまっている人が多いようで、ネット界隈にはマクロ経済学者の言説を感覚的に理解できない人々が一定数いるようだ。クーデターで政府転覆されるケースすらあるのだが、時折インフレで滅んだ国は無いような言説も見かける。時が経つと失敗への反省は薄れるものらしい。しかし、国外に目を向ければ今も高いインフレーションと経済混乱に苦しむベネズエラがあり、財政ファイナンスの帰結がどのようなものかを知る事ができる。

2017年9月29日金曜日

前原誠司、民進党から希望の党に衆院議員を追い立てる

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前原誠司民進党代表が、10月22日投票の衆院選挙で民進党から公認候補を立てず、民進党の議員などには小池都知事が代表を勤める希望の党の公認申請を行うように促した*1。希望の党と民進党が反自民票を取り合う事で、小選挙区で潰しあいになる事が危惧されていたが、前原氏の思惑が機能すればそれは回避される事になる。前回選挙でも野党の総得票は与党の総得票を超えており、政権交代も可能かも知れない。また、希望の党はまだ組織としての形すら整っておらず、選挙後、小池都知事の影響力が低下することにより、民進党出身者で乗っ取ることも不可能では無いであろう。

2017年9月28日木曜日

大抵のSNS上の「母数」は、単なる「数」に置き換えた方が正しくなる

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統計学の用語で最も濫用されているのは、母数(パラメーター)であろう*1。母集団の確率分布を特徴付ける数で、平均や分散が該当するのだが、なぜか単なる数もしくは分母の意味で使われることが多い。いまさら言っても始まらないぐらい濫用されているのだが、用語の濫用はミスコミュニケーションの元なので、なるべく正しく使っていただきたい。