2017年5月24日水曜日

人工知能×布教文学×ポストモダン

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ディープラーニング界隈のエヴァンジェリスト松尾豊氏が「ディープラーニングと進化」と言う計算機工学と生命科学をごっちゃにした怪文書を書いていた。恐らくディープラーニングは素晴らしいという布教文学なのだが、ポストモダン的になっていてちょっとひどい。文意が取れない人も多いだろうが、ハチャメチャぶりを紹介しよう。

2017年5月13日土曜日

労働市場シグナリング仮説と外部効果の推定量

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大学で学んだ事を仕事に活かしているかと聞かれて、答えに詰まる人は多いと思う。高等教育を受けている人の生涯賃金が高い事は分かっているが、医療系専門職などを除けば大学教育が職能を高めているかは明確では無い。

名のある企業家に大学中退者は少なくない。文系どころか理系で研究開発に従事する人で学部の専門とは全く違う事をするケースも数多くある。プログラミングをしていると、大学の教育内容を使っていたりするので職能を高めそうな気はするが、大学に通っていなくても知識として習得できているのも確かである。

2017年5月11日木曜日

“オレの考えた最強の移民政策選手権”だった「移民の経済学」

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移民に関わる政策論争は昔からあるが、未だに議論は尽きていない。欧州では、中東やアフリカからの難民が社会的軋轢を引き起こしているし、中国でも周辺国から単純労働者が流れ込んで問題になっているようで、外国人労働者のポイント制を始めて入国管理を強化しており、日本でも生産年齢人口の減少を背景に、移民受け入れの是非が話されている。しかし、移民政策に関しての基本的知識を持つ人は多くは無い。

2017年4月19日水曜日

航空力学「超」入門

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航空旅客が一般的になって、飛行機が飛ぶことに違和感を感じる人はほとんどいなくなったと思う。しかし、飛行機がどのように飛んでいるのかを知っている人は、そんなにはいないはずだ。航空機の運行に関わらない大半の人に必要性は無いので今後も増えるとは思わないが、手ごろに説明してくれる良い本が出ていた。『航空力学「超」入門』は、副題にある飛行の原理に科学で迫ると言った本では無いが*1、縦士や機関士が使っていそうな単語の意味や、共通理解としていそうな簡単な微積分が入る程度の計算式を*2、図つきで丁寧に説明していく本だ。JALの航空実用辞典と似た内容になっている。

2017年4月15日土曜日

メカニズムデザインによる過剰予約時のやりくり法

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予約していても来ない客がいるため、航空会社は席数よりも多い予約を受け付けており、予約客が多くやってきた場合は、オーバーブッキングとして予約客の(大抵はやんわりとだろうが)搭乗拒否を行なっている。緊急かつ優先的に優待客や従業員を輸送しないといけないときに座席の余裕が無い場合も、同様にオーバーブッキングとして処理が行なわれる。

2017年4月14日金曜日

こども保険は嫌税政権での現実的な妥協案

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公的年金保険料を増額して未就学児の児童手当の上乗せと保育所の拡充を図る「こども保険」だが、保険と言うよりも所得分配政策に近いので、経済学者の島澤諭氏「違和感を感じる」、中田大悟氏が「理解に苦しむ」と批判している一方で、公的年金の賦課方式において子育てをしない家計が出てくるフリーライダー問題を緩和する機能があると、小黒一正氏が『「こども保険」の理論的な整理』でその意義を紹介している。

2017年4月13日木曜日

アサド政権はいまさら毒ガスを使ったのか?

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2017年4月4日、シリア北西部イドリブ県の反政府勢力地域で、アサド政権のシリア政府軍が散布した神経系ガスによって多数の住民が死亡したとされる事件が*1、欧米で非難されている。アサド政権を容認する姿勢を見せてきたトランプ大統領も、6日、シリア政府軍に駆逐艦から巡航ミサイルで攻撃を加えた。しかし、本当にアサド政権が化学兵器を使用したかについて、疑惑の声が上がっている。

2017年4月5日水曜日

21世紀の黒い経営学

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日本人から見ると米国企業の労働生産性や収益率は驚異的なのだが、中身はそんなに良くないかも知れない。どうも古いスタイルの経営学で強調されるような話によって、経営効率が増していると言うわけではないようだ。

2017年4月1日土曜日

米国が北朝鮮への軍事攻撃を避ける理由

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朝鮮戦争の再開につながると、中国人民解放軍が出てくる可能性が高いから。朝鮮戦争から考えると蓋然性は高いのだが、最近、これがすっぽり抜けている朝鮮半島情勢や安全保障の専門家がいる。戦争平和社会学者の北村淳氏の「米国で北朝鮮攻撃が議論の的に、日本は備えを急げ ソウルは火の海に、日本も報復攻撃されることは確実」でもそうなっていたし、フジテレビの3月29日のプライムニュースでも、佐藤正久氏、高永喆氏、渡部恒雄氏と詳しそうな人が出ているのに忘れ去られていた。

人文学は何の役に立つのか?

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個人が学費を払って学ぶ意義は何か、研究・教育に公的補助を与える意義は何かと言う質問に、医歯薬系など技能や資格の習得に直結しない分野の研究・教育者はいつも回答に困っている。もっとも、多額の費用と学習努力が必要な理工学分野の方が深刻で*1、専門的な事を熱心に勉強したいわけではないが、大学卒業資格は欲しいと言う層からの需要で補助金なしに経営が成り立ってしまうので*2、人文学分野の研究・教育者がこの問いに答える意欲は低い。だからと言って、理屈をつけられないわけでもない。

2017年3月29日水曜日

西欧のテロ犠牲者数は減っている

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最近の欧州や米国での自爆テロの報道が目に付くためか、過激派イスラム教徒のおかげで社会が不穏になっているような思う人もいるようだが、少なくとも西ヨーロッパ全体ではそう言うことはないようだ。Chart: Terrorist attack victims in Western Europe | Statista(以下、リンク先にあるグラフ;クリックで拡大)によると、テロによる犠牲者数は減っている。

2017年3月27日月曜日

地下水に関する環境問題が分かる本

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豊洲市場の地下水の汚染が話題なのだが、同種の話を良く知らなかったので手軽なアンチョコとして「地下水の科学」を拝読した。その重要性、構造や性質、利用史、枯渇や汚染やその他環境破壊について網羅的に紹介された本。日本地下水学会が環境問題を取材してきた共同通信社の科学部記者に書かせたもので、環境問題の側面から地下水を捉えたい人に丁度よいバランスになっている。科学とあるが、学問的な話は事細かには書いていない。築地市場移転問題にはほとんど関係が無いが、読んでおいて悪くない一冊。(目次や構成と合致しないが)以下のような話が取り上げられている。ただし、日本はともかく世界はどん詰まり感がかなりあるので、鬱のときは読まない方が良いかも知れない。

2017年3月25日土曜日

森友学園国有地売却不正疑惑を決着に導くための単純な方法

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国有地売却及び小学校の設置認可に政治関与が無かったかが国会で追及されている森友学園問題だが、政治家や財務官僚などに政治関与が無かったか聞いて回ると言う茶番になっている。自ら関与があったと言うはずがなく、もう少し客観的な証拠を固める方が建設的だ。国有地売却価格が適切であったかについてまだ決着がついていないので、そこの関連部分を攻める方が適切であろう。見積もりが不適切である事を証明できれば、官僚の怠惰と政権与党の不監督もしくは政治関与のどちらかがあった事になる。

2017年3月24日金曜日

キミはFTPLが苦手なエコノミストなんだね!

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エコノミストの安達誠司氏が『「シムズ理論」が日本経済のデフレ脱却に有効である理由』と言うエッセイを書いているのだが、あまりFTPLを理解していないようなので突っ込んでおきたい。数理モデルを確認せずにその解説文をつなぎ合わせてFTPLを理解しようとして、失敗した気がする。

2017年3月23日木曜日

日銀券が日銀の負債である理由

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昔の紙幣は兌換銀行券と言って、金や銀などの貴金属との交換が保証されたものであったから、中央銀行にとって発行した紙幣が負債であるのは明白であった。一方、現在、日本銀行が出している紙幣は不兌換で、法的に何かの返済義務を負っているわけではないから、その負債性が見えにくくなっている。償還日がない発行済紙幣は、日銀のバランスシートの負債ではなく純資産(資本)に計上すべきと言う声もそこそこ聞かれるぐらいだ。しかし、日銀が状況に応じて日銀券の回収を行なう義務を負っているからこそ、日銀券の価値と機能が維持されている。だから、日銀券はやはり負債と考えるのが適当だ。

2017年3月21日火曜日

豊洲市場の地下水の汚染濃度上昇で、安全なのに政治的に難しくなった築地からの移転

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専門家会議主導による第9回目で異常検知された調査井の再検査によって、豊洲市場の地下水の汚染濃度上昇が確認された。調査井から水を抜き取るパージ後、採水までおく時間を色々ととって確認したところ、採水までの時間が分析結果に与える影響はほとんどない事も確認された。さらに、第8回目までの実施手順について、問題となる部分は無かったと結論された。

2017年3月17日金曜日

安達誠司氏のFTPLが量的緩和無効の根拠にならない論について

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エコノミストの安達誠司氏が「現代ビジネス」で、(1)FTPLは1990年代後半にゼロ金利制約下のインフレ説明用に誕生した、(2)拡張的なモデルまで考えればFTPLは量的緩和無効の根拠にならない、(3)理論的には政府支出の拡大と金融引き締めが無いと破綻しないと色々と勘違いしたかうがった話をしており、(4)FTPLを「机上の空論」としている人々の根拠についても把握できていないようなので指摘しておきたい。

2017年3月13日月曜日

崔順実ゲート事件の隠蔽と捜査非協力が弾劾理由

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3月10日に朴槿恵大統領が弾劾となり罷免された。正直、意外な面もあるのだが*1、裁判官8人全員の賛成であるので、韓国の基準では朴槿恵大統領が重大な違反を犯したのは自明なのであろう。憲法裁判所がどのような事実認定を行い、それがどの法令に違反したと認定したのかが気になるので判決文を探してみたら、意外な方向から弾劾理由をつけていた。

2017年3月11日土曜日

貯蓄で国債はファイナンスされていないと言うMMT信者の議論の問題点

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非主流派経済学と言えばマルクス経済学を想像する人が多いと思うが、最近はMMT:Modern Monetary Theoryと言うものが出てきた。数理モデルや計量分析に頼らず、文化人類学の知見を断片的に取り入れて教条的な議論を展開しているようなのだが*1、その信奉者が民間貯蓄で国債はファイナンスされていないので、民間貯蓄が少なくなっても財政破綻しないと言い出している。高齢化で貯蓄が減少して国債消化が不可能になると言うマクロ経済学者の警鐘に納得がいかないらしい。名目上は破綻しないのはそうであろうが、高インフレを招く理屈はあるので、その論理を整理してみよう。

2017年3月7日火曜日

豊洲市場の地下水のベンゼン濃度急上昇をどう捉えるべきか?

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9回目の地下水のモニタリング調査で、ベンゼン濃度が環境基準の79倍まで急上昇した理由について、あれこれ憶測が飛んでいる。9回目の調査業者が不適切な調査を行なったので異常値が出た、8回目までの調査業者(複数)が不適切で汚染を見過ごしていたなどと色々と言われている。

さて、賑やかで楽しい事になっているが、9回目が適切だったと主張するのは無理筋なようだ。他の数字とつき合わせると9回目の結果が極めて異常であり、証言から9回目は東京都も業者も調査精度を最優先にして仕事をしようとはしていなかった事がわかる。再調査でびっくりする可能性が無いわけではないが、今の数字自体は無価値に近い。

東京都がしっかり地下水の調査を監督していなかったと言う批判はあると思うが、豊洲移転の是非を決めるような材料ではない。そもそも食材の安全性や市場関係者の健康に影響が無い地下水の汚染をそう気にする必要はないので、事態の混乱だけが気になるわけだが。

2017年3月5日日曜日

言葉が通じても話は通じない・英米編

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京都の婉曲的な言い回しを理解できない他地域の人は多いとされるが、こういう事は日本語に限った話ではない。英米でも言葉が通じても話は通じないとされていて、致命的な問題を引き起こすときがある。朝鮮戦争のときに、連合国側で英国将校が英国流の控えめな表現で戦況不利を米軍の上官に伝えた所、増援もされず撤退許可も降りず、健闘したもののほとんど捕縛された逸話がよく知られている*1が、他にも色々とあるのであろう。定期的に英米の言い回しの相違のリストを見かける。昨日も一つ流れてきた*2

2017年3月3日金曜日

不変量とはなにか―現代数学のこころ

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結局は証明しないと始まらない数学は、一般書の題材に向かない分野であると思う。最後はやはり「教科書を読め」になってしまうのだが、それでも何だか面白い紹介本はある。2002年に出た「不変量とはなにか―現代数学のこころ」もそういう類の本で、2013年にちくま学芸文庫で「不変量と対称性」と書名を少し変えて改訂新版が出ている。偶然、古い版を手にとったのだが、内容はそうは変わらないと思うので紹介したい。有名な定理の名前を掲げているわけではないのだが、数歩先の数学の切り口が見えるワクワク感がある中身だと思う。

2017年2月28日火曜日

徴税権の資産価値が750兆円?

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衆議院の公聴会に高橋洋一氏の説明を批判した『財政再建は完了していない。』と言うエントリーの「徴税権が750兆円?」と言う部分について。750兆円と言う評価額も怪しいと言う指摘はその通りなのだが、会計の原則に反している方を忘れてはいけない。

フィリップスカーブは成り立つとは限りません

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広く知られる雇用/経済成長率とインフレ率のトレードオフの関係だが、不適切なマクロ金融政策であっさり壊れることが知られている(Lucas Islands Model)。また、そこそこ適切なマクロ金融政策をとっていても、観察されなくなる事もある。少なくとも、イギリスのデータを見ても成り立っている気配は無い。2011年にVAT税率引き上げがあるとは言え、トレードオフの関係は見られない。

2017年2月27日月曜日

リフレ派が非ケインズ効果を主張する

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嫌いなモノに片っ端から文句をつけると、整合性が取れなくなることはある。そういう事例をちょっと見かけたので、指摘しておきたい。学術分野の人や文筆活動をしている人が言っているのはなく、他の仕事をしている人のツイートなのでちょっと意地悪なのだが、陥りやすい所であるので。さて、問題のツイートを見てみよう。

インフレが消費を喚起するとは限らない

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日本でマクロ金融に興味がある人にはほぼ常識でも、ネット界隈では意外に知られていない故事がある。物価上昇率が高いと買いだめなどで消費(性向)が上昇すると思われているのだが、実際のところそうとは限らない。

実際、オイルショックのときには、低所得者層を中心に消費が抑制された。古賀・藤中・原(1977)は、「(23.2%と昭和25年(1950年)以降最高のインフレ率の)昭和49年の実質所得の低下期において,勤労者家計の消費性向が低下し,貯蓄率がますます高まる」と指摘し、さらに「消費性向の低下は低所得層ほど大幅」としている。

2017年2月23日木曜日

移民政策に関して上野千鶴子を批判する北田暁大の作文が

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社会学者の北田暁大氏が、昔の指導教官の上野千鶴子氏を批判している。社会学者の師弟対決なんて「ママ、あれなに?」「ダメよ、見ちゃダメ」案件なのではあるが、上野氏はきっと全スルーして対決にならないので、論点が錯乱している文章に文句をつけたい。つまり、低賃金外国人労働者に「家事/ケア労働」を任せ、日本人女性に高度技能職に就いてもらうことで、経済成長率を引き上げるべきだと考えているのであれば、どこかにはっきり書いて頂きたい。多文化主義が受け入れられない事による、移民増加による社会的不公正と抑圧と治安悪化は、北田氏が念頭に置いている政策の障害であって、北田氏が推進したい政策ではない。目的を隠して、目的に障害が無いことだけ主張し続けても、意味不明である。

2017年2月22日水曜日

シムズ式脱デフレ策に乗るべきか?

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インフレ目標達成までの消費税増税延期をすべきと言うシムズ式脱デフレ策が、マクロ金融政策に興味がある人々の間で話題になっており、国会質問でも言及されていた*1。日銀が国債の4割以上を買い占めるという大規模な量的緩和にも関わらず、未だにインフレ目標に未達の現状から、一部の量的緩和信奉者以外には金融政策の限界についてコンセンサスがあるようだ。消去法でシムズ式脱デフレ策は有力なデフレ対策になるわけだが、今から乗るべきかと言うと疑問符がつく。

FTPLでも財政破綻はする

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将来的な基礎的財政収支の黒字化を否定する人は少なくない。増税せずに財政赤字を放置してもインフレになるだけなので財政再建不要、日銀が国債を買って通貨供給すれば財政再建は完了などと言うような主張を聞いたことがある人は多いと思う。最近、こういう事を言ってきた人がFTPLに言及しているのを見かけるのだが、FTPLは彼らの説の強化には使えない。何か勘違いしているようだ。この理論、最後はあっさり財政破綻する。政府余剰の割引現在価値がマイナスになったらゲームオーバーで、幾ら物価が上がっても均衡しない。

2017年2月20日月曜日

世界はデフレでも成長している

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国際決済銀行(BIS)のペーパーで、歴史的には世界はデフレでも成長している事を説明しているモノ*1が流れていたのだが、この世の問題を全てデフレに帰着しがちな人に読ませたいものとなっていた。1870年から2013年までの38の国と地域を対象にした分析を行い、大恐慌を除けば消費者物価の下落は経済成長に影響を与えているのか怪しい一方、資産価格の下落は影響を与えていると言えるそうだ。このペーパーを読む限り、そう頑張って脱デフレをする必要は無さそうである。

2017年2月16日木曜日

FTPLでは量的緩和の効果は否定されている

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ネット界隈のリフレ派で、FTPLとリフレーション政策の中核である量的緩和が親和的だと言い出している人がいる。FTPLを使ってインフレ誘導ができると聞いて、インフレ誘導策であるはずの量的緩和と方向が同じと発想したのだと思うのだが、FTPLの代表的論文にある数式を確認すると、そこでは量的緩和の効果は否定されている。

2017年2月15日水曜日

消費増税後も家計消費はある意味低迷していなかった

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ネット界隈ではもちろん、メディアにおいても2014年の消費増税後に消費低迷が言わるようになって久しい。家計調査や商業動態統計では確かに低迷しているし、半年前までのGDP統計でも家計消費支出は低迷していた。しかし、増税による不景気が生じたはずなのに完全失業率は低下していき、雇用者報酬も増加した*1。消費と雇用に齟齬が生じていたわけで、これが一つの謎であった。だが、少子高齢化で医療や介護サービスへの需要が増えている事に気づくと、このパズルはあっさり解ける。

2017年2月13日月曜日

高齢化の影響を除外すれば、日本も成長している

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ネット界隈には今の失業率でも景気が悪いといい続けている人々は相当数いて、最近はその根拠として日本だけ一人あたりでも成長していないような事を言っている。確かにGDP成長率どころか、一人あたりGDP成長率でもぱっとしない数字が出てきているのだが、どちらも少子高齢化の影響を受けている事に気づいていないようだ。かつて白川日銀総裁(当時)が指摘していた事の請け売りだが*1、生産年齢人口一人あたりのGDPで見ると、少なくとも現在の日本経済は悪くは無い。

B/Sが肥大した日銀に可能なインフレの抑え方

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インフレ目標達成まで消費増税先送りと言うシムズ式脱デフレ策に対して、財政政策の拡大によってインフレ加速的な経路に乗ってしまうのでは無いかと危惧が出ている*1。シムズ案ではインフレになったら増税が待っていて、理論的にも経験的にも増税は有効なインフレ抑制策であることから考えると、少し神経質かなと言う気もするが、税制変更には時間がかかるので、一般的な金融政策が麻痺している現状に不安があるのも確かだ。日銀が出来る手を考えてみたい。

2017年2月9日木曜日

シムズ式脱デフレ策はリフレ派のそれとは随分異なる

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先日、ノーベル賞経済学者のシムズ・プリンストン大学教授が来日して、あちこちでシムズ式脱デフレ策を披露して去っていった。そして、いつもの事だが、図ってか図らずか、権威の発言を捻じ曲げている人々が現われている。特にネット界隈のリフレ派の皆様の解釈がおかしい事になっているので指摘しておきたい。追加的な量的緩和も、追加的な財政政策も求めていないから。

2017年2月7日火曜日

GDPの改訂によって、ここ4年間の経済が明るく見える

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昨年末に国民経済計算の平成23年基準改定および2008SNA対応が行なわれ*1、GDPの値が改訂されたので以前作った就業者一人あたり実質GDPと失業率の図表を改訂してみた。微妙なところなのだが、2013年以降のGDPがかさ上げされており、ここ4年間の労働生産性がそれ以前よりも改善しているように見えるようになった。GDP不信になりそうだが、少し見解を訂正すべき人が出てくるかも知れない。

2017年2月5日日曜日

雇用改善しているのに、景気が良くない気がする理由

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金融政策の転換と言う意味でのアベノミクスで景気が回復したような話を良く見かけるのだが、色々と考えると同意しづらい所は多い*1。リフレ派の皆様も、デフレに戻ったので景気対策が必要と言っているので、実のところアベノミクスの成果をそんなに認めていない。なぜ、雇用が良い*2のに、景気が良くない気がするのであろうか。既に反安倍の人々が指摘している事を、請け売りしたい。つまり、高齢化に伴い介護サービスの従事者が増えている一方で、その他の就業者数が以前の水準に回復しているわけではないからだ。

2017年2月2日木曜日

FTPLはリフレーション政策の肯定には使えない

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リフレ派の代表とされる岩田規久男氏が「よく、『何もかも日銀のせいにしている』と批判されるが、よく考えてみると、世の中で起きている問題の多くは、元をただせばやはり日銀のせいだと言える」と言っていたのを、覚えているであろうか。岩田氏が副総裁として加わった現在の日銀の執行部は、量的緩和とインフレ目標政策の組み合わせである所謂リフレーション政策によって、期待インフレ率を引き上げ、投資を拡大し、実際にインフレを引き起こす事ができると説明してきた。しかし、その結果はぱっとしない。

2017年1月29日日曜日

文化財の返還問題に垣間見える韓国人のエスニシティ

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韓国の大田地裁が韓国政府に銅造観世音菩薩坐像を韓国の浮石寺に引き渡すように命令した事から、ネット界隈では韓国司法への批判が再燃している。日本の関係者にとっては迷惑なのだが、世論に司法判断が左右される韓国の国民情緒法の代表例になっているのは確かで、韓国人と言うエスニシティを考える上では参考になる事例かも知れない。

2017年1月25日水曜日

南京事件論争の決着に必要なのは犠牲者の数や年齢や性別を推定するための発掘調査

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先日のエントリーに対して「わざわざ中国共産党が発掘しないことをかんぐる人々は、南京軍事法廷で死体の発掘をしていることすら知らないのだろうか」と言う反論が来たので拝読してみたのだが、当時の発掘調査では現在の論点に答えを与えない事に気づいていない残念なものであった。この発掘からは、犠牲者数に関して当時の記録の信憑性を裏づけし、犠牲者の数や年齢や性別を推定するための情報は示されていない。これでは日本軍が民間人を計画的に大量に殺傷したか否かと言う論争*1に対して何も答えない。ゆえに、新たに発掘調査を行なう意義が十分にある。

2017年1月24日火曜日

議員バッジは帯揚げに

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着物に議員バッジを刺す箇所に関して、ネット界隈で蓮舫参院議員が日本の伝統を知らないと言う批判を見かけた。帯揚げにつけるのが、伝統だそうだ。しかし、和服にバッジや胸賞をつけるような状況があまり無いためか、それが伝統なのか定かではない。そこで和服の女性国会議員の写真を検索してみたのだが、蓮舫氏と同様の位置に議員バッジをつけている女性議員をそれなり確認できた。

2017年1月21日土曜日

南京大虐殺論争に決着をつけるためのココ掘れワンワン

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はてなブックマークに棲息するネット界隈の左派勢力・はてサの皆様が、アパホテルに関する反論エントリーを二本書いてきたので拝読してみた。しかし、指摘する2000年から作成中の犠牲者名簿はむしろ中国共産党が主張する30万人犠牲者説に根拠が薄い事を示しているし、当時正確な人口統計がないから住民数の増減は証拠にならないと言う主張は、人口推計値の上限を見て議論しても結論が同じ事を無視している。実際のところ南京事件の全貌が、良く分かっていない事は認めるべきであろう。決着をつけるには、中国共産党が自説の根拠としている紅卍字会と祟善堂の埋葬記録を元に、遺体の発掘調査を行なう必要がある。

2017年1月19日木曜日

南京“大虐殺”に関してアパホテルに反論しない左派

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2017年1月15日に中国人と米国人の宿泊客に、代表が著した南京大虐殺を否定した書籍を置いていたことが紹介され、ちょっとした騒ぎになっているアパ・ホテルであるが、言論の自由を理由に書籍の撤去に応じない姿勢を見せた上で、その書籍の該当箇所をウェブで公開して反論を求めるという行為に至った。はてなブックマークに棲息するネット界隈の左派勢力・はてサの皆様が、これに反論してくるかなと思ったのだが、今のところは非難するだけか、言及している人も核心部分はスルー*1するにとどまっている。

2017年1月17日火曜日

沖縄タイムス「試験に影響はないが、試験中は教室の上を飛ぶな」

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航空機の騒音は飛行場近隣からの苦情の種で、羽田の反対運動は成田、伊丹の反対運動は関空の新設につながった。新設空港ができると反対運動がなぜか縮小するのはさておき、この二箇所に比べると発着数は減る沖縄の米軍基地周辺でも、騒音対策の補助金なども出ているが、騒音に対する苦情は尽きない*1。しかし、何でも問題にすればよいと言う分けでも無い。

2017年1月15日日曜日

韓国政府は2015年12月の日韓合意を破棄できるのか?

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2015年12月の日韓合意に関して、韓国の政治家で日本政府から財団に拠出された10億円を返金し、合意を破棄することを示唆する人々が出ている。韓国側の希望で合意文書が作成されず、日韓両外相共同記者発表のみで内容が示され、その不明瞭な表現で反対派を煙に巻いてきたわけだが、釜山の日本領事館前の慰安婦像設置で反対派の声が大きくなってきた。先日まで国連事務総長をやっていた潘基文氏まで言い出しているのだが、生存している元慰安婦の約7割が同意していることをすっかり忘れていて興味深い。

2017年1月11日水曜日

導関数dy/dxのdyとdxを説明するのは実は苦労

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中高の微積分でも出てくる導関数dy/dxの、微分と呼ばれる記号dyとdxが指すものが何なのか、じっくり考えた経験はあるであろうか。「dy/dxは分数ではない」と生徒に教える数学教師に疑問を投げる塾講師のツイートから、あれこれ大学教員の間でやり取りがあった*1のを眺めていて気づいたのだが、仕方が無いとは言え、このdxとdyが何なのか少なくない人々が誤魔化されたまま終えるようだ。実際、私も良く分かっていなかった。

2017年1月8日日曜日

釜山の慰安婦像設置はのんびり眺めるべき

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韓国政府が2015年12月の日韓合意でソウルの慰安婦像撤去に努力する事を約束したとされる状況で、同様にウィーン条約に反する事になる釜山の慰安婦像が設置された事に関して、日本政府が韓国政府に抗議を行ない、ネット界隈の世論も揺れている。韓国政府や韓国社会を糾弾する声が多いのだが、あちらの事情をもう少し分析的に見ていこう。日韓合意がどうなるのか見通しは悪かったのだが*1、今までの韓国政府は頑張ってはいる。慰安婦像の撤去は日本にとっても小事であるし、間違うと大きな問題に波及しそうなので、事を荒立てないように見守る方がよさそうだ。それに慰安婦像自体も、時間を置く方が撤去が容易になる。

2017年1月1日日曜日

シリア内戦の帰結をオバマ政権の失敗と言う前に

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反政府勢力の一大拠点であったアレッポ陥落後、アサド政権を支えるロシアと反政府勢力の黒幕トルコの間でシリア停戦案が合意に至った。反体制派は合意しているとは報じられていないが、最初の反体制派である自由シリア軍はトルコ領内から進撃を開始しており、トルコが最大の支援国であると考えられている。米国もトランプ政権で支援拡大をするとは考えづらく、サウジアラビアとカタールは金銭援助しかできないであろうから、反体制派が抵抗を続ける術はほとんど無くなった。