2017年11月11日土曜日

米国の大学でもサークルでウェーイやっていた方が稼げるようになる

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米国の大学にはフラタニティと言う男子学生の社交サークルがあって、急性アルコール中毒などの事件を引き起こすので、参加している学生の保護者は眉をひそめている。しかし、ガリガリと勉強だけしているよりもサークルで遊ぶこともした方が、その後の人生のためには望ましいかも知れない。そんな研究が紹介されていた*1

ユニオン・カレッジの二人の経済学者Stephen Schmidt氏とLewis Davis氏は元学部生のJack Mara氏のペーパーを元に、ノースイースタン・リベラル・アーツ・カレッジで、フラタニティのメンバーになる効果を過去40年間の卒業生のデータから推定し、成績が4段階評価で約0.25ポイント下がる一方、将来の収入を約36ポイント高めることを示した。同時性が気になるが、人種や保護者の所得水準などの要素はコントロールし、金持ちで家に社会資本があり、勉強嫌いな子どもがフラタニティに入りやすいと言うわけでは無いとのこと。彼らの解釈では、学生自身の社会資本の形成が、人的資本の蓄積の阻害を大きく上回ると言えるそうだ。

フラタニティのこの効果がどういう理屈で生じるのかは分からないが、フラタニティはパーティ以外の活動もしており、ある種の人的資本を育む可能性があるようだ。女性がいない環境がプラスなのかも知れない。フラタニティに入らず飲酒をしていても、フラタニティと同様の効果は持たない。また、ソロリティと言う女子学生の社交サークルにはフラタニティと同様の効果はない。なお、ランダム化比較実験をしているわけではないので、非人口統計学的な要素である生まれ持った社交性などはコントロールできていないし、段々と制度的な変化によりフラタニティのこの効果は弱くなっているようだ。

米国の名門大学のデータでは無いわけだが*2、これは大学教育における都合の悪い真実を表している。大学でガリガリと勉強している効果を上回る要素が、職業人として大きな意味を持っているわけだ。日本でも年配の人であれば、サークルの先輩が有名企業のリクルーターになっていて、サークルつながりで就職した経験や、そういう知人の話を聞いたことがあると思うので意外な話でも無いであろうが、大学教員の大半はサークルでウェーイをするために進学する事が正当化されるかも知れないのは、決して面白く無いであろう。

*1The Fraternity Paradox: Lower GPA, Higher Incomes - Bloomberg

*2名門大学にはフラタニティ、もしくはそれに準じるサークルがある。また、フラタニティに入っている学生だけがパーティー好きと言うわけでもないそうだが、全米パーティー大学のランキングを見ると有名校が上位を占める。

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