2017年12月12日火曜日

荒唐無稽なぺジー社齊藤社長の経済財政諮問会議提出資料が語ること

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

ぺジー社の補助金詐欺に付随した話題だが、同社社長の齊藤元章氏が経済財政諮問会議に提出した資料について、中日新聞社記者の望月衣塑子氏の「神がかってて意味わからない。こんなもんに大金注ぎ込んでた政府とは」と言うツイートに非難が集まっていた。非難自体はネット界隈ではぺジー社齊藤社長は人気もので、望月記者は嫌われ者なせいか望月記者に辛辣に思えるが、望月記者も一つ勘違いをしているし、望月記者が嫌いな安倍内閣が/も抱える一つの問題点に気づいていないようなので指摘したい。

1. 補助金を出す理由になった文章では無い

5年以内にスパコンと人工知能で桃源郷の実現へ向かう成長経路が確立されると言う齊藤社長の主張*1は、空想科学小説に取り憑かれたかのような荒唐無稽なもので理解し難いというのは望月記者に同意する。超凄いスパコンがあれば研究開発が自動化され、生産技術、軍事技術が大きく向上し、資源/食料問題が解決されると言われても、ひきつった笑みしか浮かべられない。「神懸かる」はポジティブな意味がある表現で不適切に思えるし、曖昧さを残した非難である「意味わからない」よりは支離滅裂なビジョンであるぐらいに評しておけばよいと思うが、ツイートではあるしあまり責めてもはじまらない。しかし、「こんなもんに大金注ぎ込んでた」わけでは無い。これは補助金を出す理由になった文章では無いからだ。

2. 経済財政諮問会議で炸裂した齊藤元章節

何のための文章かと言うと、経済財政諮問会議「2030年展望と改革タスクフォース」のための資料だ。「将来の経済社会を見据えつつ…足元から今後に取り組むべき政策課題の全体像と対応方針を描く」のが開催目的となっている。委員をみると人選がハチャメチャとは言えないのだが、議事録を見ると齊藤社長が快調にフリーダムな発言を行なっている。プレゼン資料を見れば分かるが、夢を描いていると言うだけではなく、論理的なつながりすら整理できていない。技術的特異点の影響の話がいつの間にか、技術的特異点を起こすまでの話になっている。

3. 夢想を語ると分かっている人を呼ぶ諮問会議は要らない

齊藤元章氏のスパコンは魔法論は以前からの持論だ(WIRED.jp)。つまり、内閣府の役人もしくは内閣の誰かが、齊藤氏が何を言うかわかって呼んだことになる。2030年への展望と言えばそうかもしれないが、話が粗すぎて聞いても困るだけだ。財政や人口などの重要トピックは他の諮問会議でやっているから、中身は何でも良いと思ったのかも知れないが、だとすれば無理に会議を開催しない方がよい。こういうのが安倍内閣に限ったことなのか定かではないが、安倍内閣が/も無目的な会議を乱立している傍証になっているとは言えるし、批判に値する。安倍内閣嫌いとされる望月記者にはこういう方向で上手く使って欲しい。

*1齊藤元章氏は、エクサスケールのスパコンの誕生が人工知能開発を加速し、人工知能開発が社会全体の生産性を上げるだけではなく、スパコン自体の性能向上をもたらすと加速的改善サイクルが生じることにより、現在抱える社会問題の全てが解決される桃源郷が実現されると主張したいようだ。なお、色々と言われている原理的限界への考察はない。また、以前のインタビューでは人工知能への言及は大きくなかった。

0 コメント:

コメントを投稿