2013年1月28日月曜日

オープンソースと著作権、特許と規格、そして違法行為

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池田信夫のオープンソースについての誤解の誤解」と言うエントリーで、経済評論家の池田信夫氏のオープンソースへの理解が不十分ではないかと批判していた。著作権や特許自体にある問題と、ソフトウェア自体にある権利侵害しやすいと言う問題、オープンソースと言うソフトウェアの配布形態にある問題、さらにはソフトウェアを使う利用者にある問題の識別がついていないと言う事のようだ。

1. オープンソース自体に問題は無い

オープンソースについて端的に説明すると、基本的には著作権(人格権、財産権)が条件付で開放されており、改編や再配布の自由があるものだ。だから、著作権や特許を侵害しているかは、そのソースコード次第になる。エントリーで指摘する通り、オープンソース自体が違法と言う事は無い。

問題のあるコードが混じることはある。古い事例で90年代前半のノベルとカリフォルニア大学バークレー校のBSD関連の訴訟は著作権上の侵害行為と言う事になるし、RSAやLZWなどの特許侵害行為も少なからず問題になっている。しかし、プロプライエタリなコードに著作権/特許侵害行為が発生する事もあり、これはオープンソースの問題ではない*1

2. ソフトウェアは特許侵害しやすい

ソフトウェアの著作権ルールが固まって行く一方で、ソフトウェア特許をソースコードから排除するのが難しくなってきた。ソフトウェア関連で膨大な特許が認められており、それらを把握してソースコードを書くことが不可能になってきたからだ。リチャード・ストールマンは現在は“一般的なコンピューター・ハードウェア”でソフトウェア特許の行使を認めないように主張している(WIRED)が、現状は特許訴訟が頻繁に行われている。ただし、これはオープンソースにある問題ではない。

3. ソフトウェアの利用者の問題

P2Pファイル交換ソフトや動画サイトで行われている著作権侵害は、基本的には利用者の問題であり、ソフトウェアやオープンソースの問題ではない。また特許保有者が、その特許を侵害しているソフトウェアを使ったサービスに特許料を請求する事例もあったと記憶しているが、これは特許に内在する問題でありソフトウェアやオープンソースの問題ではない。

4. 規格にある必須標準特許の問題

技術的に代替手段が無い特許と言うのがあり、特に規格に採用されている必須標準特許については、強い力を特許権保有者に与えるため問題が大きくなっている。特許権はライセンス料を徴収するだけではなく、販売や利用を停止させることもできるため、独占力を特許保有者に与えるためだ。だからFRAND条項と言って特許権行使が制限されるが、それでも問題になるときがある。ソフトウェアで言えばMPEGやJPEGに採用されている技術が代表的なものであろう。しかし、半導体などでも起きる問題であり、ソフトウェアや増してやオープンソースだけにある問題でもない。

5. 何を議論しているかを考えて欲しい

元エントリーの人に言いたいわけではないが、何か社会に軋轢があるように思えたときに、何が問題になっているかを整理することはすべきだと思う。オープンソース、ソフトウェア、利用者、特許制度、規格化のどれにある問題なのかを考えないと、論理的な議論にならない。普段からソフトウェアを書いて何かしていれば直感的に判断できることも多いと思うが、そういう作業に従事していない人々は何かをまとめる事から始めるべきだと思う。

*1あえて言うならば特許料等を払えない開発者が多いであろう事が問題だ。

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