経済評論家の池田信夫氏が、活断層に関連して安全基準を見直しても“法の不遡及”という法治国家の根本原則から、既存の原発には適用できないと主張している(BLOGOS)。刑法ではあるまいし、安全対策の発想としておかしい。少なくとも経済学的な議論ではない。
安全や公害対策は、新基準が既存設備に影響が及ぶ事がある。航空機などは欠陥が明らかになれば改修命令が出るわけだし、空港の騒音規制が厳しくなると締め出される機材もある。公害防止条例では、1年間の猶予や経過措置は取られるが、新基準にあわせる義務がある。建築物でも耐震改修促進法があり、努力義務と言いつつ命令されている。建ててしまったら絶対と言うわけでもない。
このような遡及的なルールが不合理なわけでもない。新たなリスクが発見され、それが大きな被害をもたらすのであれば、その費用を誰が持つべきかはともかく、安全対策をする方が望ましい。少なくとも経済学で言う補償原理に基づいて考えて、既存原発に新たな安全対策を強制するのは肯定されうるだろう。新たな津波対策基準があれば、福島第一の被害も無かったはずだ。
問題は今まで過去12万~13万年間までに動いたかと言う基準が、過去40万年間に動いたものをそれと見なす合理的な理由があるのかと言う事だ。素朴に30万年周期に動く断層が実際に見つかったことがあるのかは疑問が残る。地層から分かる周期性や変位量の信頼度が高ければ良いのだが。
追記(2013/02/03 12:30):「原子力の安全規制の最適化に関する研究会 第8次海外調査出張報告(案)」には、「米国ではバックフィット規則が制定されており」とある。
3 コメント:
個人的な見解ですが、専門家の中でも活断層の意味自体が曖昧になってる感じかします。活断層とは地球年齢規模で最近形成された 断層ということで、なにか活動する根拠があるというものではありません。
活断層が問題視されたのは動かないと思われていた活断層がアメリカで動いたためだそうです。
実際最近の大地震は活断層が動いたわけではないのですが。断層がなにもないところに新たに断層ができるのがほとんどです。逆に活断層では力が解放されているので動きニクイとも考えられるのでは?
活断層だから危険、なければ危険じゃないという考え方自体がバカらしいとおもいます。
>>金沢悟 さん
コメントありがとうございます。
> 逆に活断層では力が解放されているので動きニクイとも考えられるのでは?
http://www.jishin.go.jp/main/pamphlet/katsudanso/
「日本の地震防災 活断層」によると、同じところが何度も動くようです。
Uncorrelatedさま、お返事ありがとうございます。
活断層には狭義の場合と広義の場合があります。
上記の資料はまさに狭義の場合で、報道で言われている40万年以内というのは広義の場合ではないでしょうか。
まさにそこの定義があいまいなため、報道をみているとバカらしく感じるということです。
断層なんて日本ではどこにでもたくさんあるものです。
そこの説明無しに話が進むのはあまりにもバカげていると感じています。
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