2012年10月31日水曜日

芦原省一氏の山形浩生氏へのお願いを添削する

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翻訳家の山形浩生氏が、とある本の訳者の芦原省一氏からのお願いに「お願い? およびSNS革命など雑感」で苦言をつけている。なかなかひどい文章だ。芦原氏の文章を、プログラマ的に添削してみよう。

まず大前提なのだが、相手がお願いする事を自発的に行う必要が無い場合は、下手に出るのが礼儀だ。また、義務的にそれをすべき場合でも、下手に出る方が好感をもたれる。上司が部下に業務命令をする場合でも、高圧的だと良くないと言われている。

芦原氏の文章を見ていこう。

何かの手違いだったら失礼するが、せっかくあなたにも読んでもらおうと思った記事のトラックバックが、表示されません。

一部分であって出だしではないと思うが、最初から問題が多い。「何かの手違いだったら失礼するが、」を丁寧に書くと、「何かの手違いでしたら恐縮ですが、」だと思われる。お願いする立場だから、丁寧な方が良い。

「せっかくあなたにも読んでもらおうと思った記事のトラックバックが、」は、「せっかく」の部分で、芦原氏の記事が立派で素晴らしいと主張している風に思えてしまう。国語の辞書で「せっかく」の用法を見れば分かるが、貴重な機会と言うニュアンスがあるからだ。謙っていない。

また、「あなたにも」の「あなた」は、対等または目下の者に対して使うものなので、避けるべきであろう。「にも」と書くとその他に加えて山形氏と言う事になり、山形氏を主に対象にしていないと言う事になるから、やはり失礼で避けるべきだ。

だから、古風に書けば「貴殿に御高覧頂きたい拙文へのトラックバックが、」と言うのが良いであろう。堅苦しいと思う場合は、「山形様に一読して頂きたい記事へのトラックバックが、」と高圧的な部分を落とすだけでも随分と謙虚になる。

細かい部分になるが、「トラックバックが、表示されません」の間の読点は、恐らく無い方が読みやすいであろう。

「反論権」及び「対抗言論」の行使として、このコメントを書くとともに、下記の記事のトラックバックを表示するように設定を変更なさることを要求します。

『「反論権」及び「対抗言論」の行使として、』は、自分の権利主張になっており、高圧的に思われても仕方が無いし、そもそも法的・社会的に認められた権利と言えるかが分からない。山形氏の「有象無象『ウォール街を占拠せよ』」と言うエントリーへ反論は自由だと思うが、ブログの批判エントリーが、それに対する反論記事へのリンクを貼らないといけない法的・社会的義務は、私が知る限りは存在しない。誹謗中傷や名誉毀損への謝罪記事を要求するケースは知っているが、それは損害を明確に与えていると主張しているわけで、かなり強い表現だ。

山形氏に反論記事へのトラックバックをお願いするのであれば、もっと下手に、もっと目的を丁寧に説明すべきであろう。例えば「僭越ながら拙訳への貴殿の批判に異議があり、貴殿のみならず多くの方に拙文を御清読頂きたいと存じます。ついては、トラックバックを公開して頂きたく、お願い申し上げます。」と書くべきだ。

「このコメントを書くとともに、」と言うのは、山形氏が批判を封じていると糾弾する目的があるのだと思うが、トラックバックが公開されたら、その糾弾は的外れになるので書くべきではない。そもそも心象が悪くなる。

さて、修正版を合成してみよう。

何かの手違いでしたら恐縮ですが、貴殿に御高覧頂きたい拙文へのトラックバックが表示されません。僭越ながら拙訳への貴殿の批判に異議があり、貴殿のみならず多くの方に拙文を御清読頂きたいと存じます。ついては、トラックバックを公開して頂きたく、お願い申し上げます。

年配の人から見たら、まだ文章としては甘いのかも知れないが、これぐらい書いておけば無下にはされないであろう。ともかく、私が見ても元の芦原氏の依頼文は表現が稚拙だ。英語でも謙遜を表す表現はあるわけだが、翻訳家として日本語表現に不自由している芦原省一氏は大丈夫なのかと心配になった(コメント欄参照)。

3 コメント:

Unknown さんのコメント...

山形です。ご注目いただきありがとうございます。が、うーん、趣旨はわかりますが、いささか悪趣味かと存じます。

特に最後の部分、芦原の翻訳そのものは、少なくともあの本に関する限り決して悪くありません。ここでネタにされているコメントは、相手(ぼく)に対する「敵だ!」という気負い/攻撃性と、頼み事なんかしたくないけど、したほうが自分の利益かも、という彼の内心の葛藤の産物です。それをもとに翻訳技能まで揶揄するのは、フェアではないと思います。本当に「心配になった」のなら確認しればよいかと。こうした遠回しの揶揄は、彼の翻訳が本当にダメなものならばあてこすりとして有効ですが、今回は非生産的なイジワルに堕しているように思います。まあぼくのもとの文が生産的かと言われると口ごもるものはございますが……

uncorrelated さんのコメント...

>>山形様
芦原氏のブログの該当エントリーを見る限りは、文体が崩れるところは無く、恐らく急いで書いた依頼文だけがねじれているようですね。削除するとやり取りが分からなくなりますし、取り消し線を引いておきます。

Unknown さんのコメント...

ご配慮、ありがとうございます。

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