2024年3月25日月曜日

映画館に出禁と言われた車椅子利用者の愚痴は、非難にはあたらない

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これまで何回も映画館に対応してもらっていたので今後はお断りと言われてショックを受けた車椅子ユーザーが𝕏/Twitterに愚痴ツイートを書き込み、映画館がスタッフの対応を謝罪したのだが、なぜか盛大に非難を浴びている*1。しかし、現在分かっている情報からだけでは、車椅子利用者は非難にあたらない。利用できて当然と思っている節はあるが、利用できていたのだからそう思うことは責められない。

1. バリアフリー当たり屋ではない

サービス提供者の対応の不備を非難するために、あえて非協力的な態度をとっているバリアフリー当たり屋ではない。非協力的な態度で、業務に支障が出るようにしたわけではない。エレベーターなどのバリアフリー設備のない無人駅をわざわざ利用したわけでも、航空会社が準備をするから事前に連絡してくれと言っているのを承知で、あえて断り無く車椅子で利用しようとしたわけではない。また、エレベーターの無い雑居ビルの上階のある飲食店に入ろうとしたわけではない。過去3回は映画館スタッフ2名のサポートで利用できたと書いてある。なお、感謝が無いような非難があるのだが、車椅子ユーザーがスタッフに感謝しなかったかは分からない。

2. 映画館の対応の是非はまた別

ただし映画館が車椅子ユーザーにこれまでと同じ配慮をすべきかは別。人を乗せたままま車椅子を持ち上げるのは、事故につながるので推奨されない。車椅子は重量物で安全に段差を上げ下げするのは大変で、腰にくれば労災。車椅子と映画館の座席の間を障害者を移動させるのも技術がいる。火災時の避難方法なども考えなければならない。何となく親切で対応はしてきたもののリスクをよく検討しておらず、これからは対応すべきではないと結論したとすれば、それを誤りと言うのは難しい。写真を見る限りは段差は4段で急ではないので、何かスロープを用意して、スタッフに車椅子対応の訓練を行えば、対応不可能では無さそうだが*2

3. 人格非難をやめて、合理的な配慮について考えよう

当日の映画館の対応は適切であったのか、合理的な配慮として映画館にさらに何かを求めるべきかについて議論の余地は多い。法令は合理的な配慮を施設に求めるが、その判定基準は曖昧だ。小規模店舗の経営者や従業員には、不可能な対応を押し付けられるのではないかと言う危惧もありそうだ。意見を色々と言い合うのは、おそらく意義がある。しかし、出禁と言われてショックだったとか、健常者と同じ施設を同じように使いたいという気持ちを責めても何もならない。

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