2024年4月2日火曜日

ネット論客が学習すべき、人々の憎悪を煽らないためのライフハック

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批判してきた表現規制派フェミニストに扮した裏アカウントで口論を煽っていた(蓋然性が高い)ことが発覚して非難され、おそらく小児性愛の助長または正常化と、ヘイト行為に関するポリシー違反で𝕏/Twitterを2回凍結され*1、名誉毀損ツイートで賠償を払うことになったネット論客の青識亜論氏が、ここ最近、批判や議論のあり方をnoteの記事で唱えている。

1. 過剰な非難は控えるべきと言う主張

複数の記事だが、内容をそれぞれ一行で紹介していくと、

嫌悪する自由、嫌悪を表現する自由
表現物への嫌悪を表明したものであっても、表現規制や作品撤回を主張していない意見に対しては、非難は控えよう
ミモザとマイク
論敵にも発言機会を与えよう
思想なき思想の時代
道徳観を持とう*2
焼きずんだと燃え上がる人々
人格攻撃をやめよう

と言ったところだ。(1)は言論の自由に反してしまうわけだが、思いやりの原理を働かせ、(4)とあわせて考えて、真実の探求や正当化には貢献しないほどの人格や集団への非難は控えようと捉えておこう。リアリティ番組出演者がSNSでの大量の非難を苦に自殺したことが社会問題となった*3が、相手の言動に不徳さがあると言っても、過剰な非難は有害だ。

2. そうは言っても無根拠な主張で憎悪を煽っているよね?

青識亜論氏の問題意識は理解できるのだが、青識氏がその主張と整合的に振舞っているかというとそうでもない。青識氏も反省の弁を述べているので繰り返し指摘するのは憚られるが、青識氏の過去の発言はフェミニストへの憎悪を煽っていた*4し、上のエントリーでも虚偽や誇張によってフェミニストへの憎悪を煽っているように思える。

「扇動して」「「嫌悪」の感情を殊更に煽り立て」と意図的に表現物を炎上させたフェミニストがいるかのように指摘しているが、そのような事例は確認されていないはずだ。個々のフェミニストが、表現物の愛好者には納得し難い意見論評を述べたに過ぎない。扇動を行おうとしたと見做されるネット論客はいるが。また「表現者は差別者・搾取者だ、などと主張」した「似非フェミニストの運動家」もいないはずだ。実際に確認された事例や発言した人物がいるのであれば、具体的に指摘すべき。

追記(2024/04/18 02:45):差別や搾取と言う作品批判は、クリエイターに差別者や搾取者と言うのと同じだと言う主張があるのだが、実際に存在する事実の摘示と、それを元にした意見論評は異なる。また、作品が差別と言う批評からは、クリエイターが実際に行った行為は高が知れていることが分かるが、クリエイターが差別者と言うと制作以外の領域の行為についても含みが出てくるので、主張の意味が変わってくる。

3. 根拠を確認し示す努力をしよう

名誉毀損で裁判になれば虚偽の事実の摘示は不法行為になることが多いし、そうでなくても憎悪を煽ることになりがちだ*5。誇張も同様。人々が有害なほどの人格や集団への非難を控えるように呼びかけるだけではなく、その契機になりそうな振る舞いも自制すべきである。「ソースは?」と言うネット文化のクリシェが示すように、議論には根拠を確認し示す努力義務がある。その努力は人々を説得するために行うものだが、不用意なことを書いて憎悪を煽ることを抑制する効果もある。

*1凍結前の青識亜論氏のツイートからそう考えられる。2回目については、通報者とされるアカウントが𝕏/Twitterからの応答のキャプチャ画像も公開している。

*2思想と書いてあるが、倫理/道徳と見做せる別の短い記事で「己の欲望を達成できればいいというのは、ただのエゴイズムであって思想では無い」と言うものがあった。なお、フェミニズムに思想が無いと言う批判があるが、家父長制の世界によって女性が抑圧されていると言う思想(世界観)と、その抑圧を取り除くべしと言う規範的目標はあるので、思想一般を指していると理解はできない。

*3日本だけではなく、世界的に観察される現象である。

*4関連記事:表現規制派フェミニストへの憎悪を煽っても

*5事実の摘示だけで憎悪を煽ってしまうこともあるが、それは真実の探求や正当化のために必要な費用である。

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