2024年3月6日水曜日

H&Mの広告が炎上したのは、女の子をおめかしして可愛くみせようとする社会慣習を肯定していたから

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2月中旬にオーストラリアでアパレルメーカーのH&Mの"Make those heads turn in H&M’s Back to School fashion."(拙訳:H&Mの新学期ファッションでみんなを振り向かせろ)と言うスローガンがついた広告が炎上した。ぼちぼちと日本語でも解説が出ているのだが、女の子がエロティックに見られて性的虐待を受ける危惧があるような話がされている*1。しかし、そういう話ではない。

女の子をおめかしして可愛くみせようとする社会的慣習が非難されている。女児が性化(sexualization)されていると言う批判があったので混乱が生じているのかもしれないが、広告に描かれているのはごく普通の低年齢の女児向けのワンピースなので、エロティックに見せようと言う話ではなくて、可愛く見せようと言う意味だと捉えるほうが適切だ。年齢からいって頑張るのは女児ではなくて親なので、娘を可愛く見せたい親に訴求しようとした企画で、娘のいない男性には関係ない。

なお、女性蔑視かは定かではないのでセクシズムとは言いづらく、採用や昇進などで不当に容姿で序列をつけるルッキズムの範疇にあるとも言い難い。「あの娘、ちょっと可愛いくない?」とささやく基準で、容姿を用いたら不正というのは理解し難い。ジェンダーロールの話とは言えるが、スカートが非難されているわけでもないし、そこはポイントでは無さそうだ。「H&Mは児童を性化している」と言う批判*2を素直に受け取って、心理学者が心配している性化の害悪の問題と捉えよう。周囲が女性の外見を重視する環境で女児が育つと、価値観が狂って、学業に身が入らない自暴自棄な女性になりかねないと言う懸念*3からの批判。なお、批判者のひとりのMelinda Tankard Reist氏は、性化の問題にあれこれ言及している執筆家である*4

低年齢美少女コンテスト(child beauty pageant)ならばさておき、普通のワンピースの広告の何気ないキャッチコピーを気にしてもという感じではあるが、それでも請け売りしたい人々は、せめて批判の論旨は正しく理解するように努めて欲しい。

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