2011年10月23日日曜日

Siriから見る“イノベーション”の難しさ

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iPhone 4Sに搭載された音声アシスタント機能Siriは、今の所は大人気の機能だ。iPhone 4Sを既に手に入れたギークたちが色々な質問を投げかけ、その返事を楽しんでいる(DNA)。Appleが提案してきたスマートフォンのイノベーションだが、むしろイノベーションが容易ではないことを示しているような存在だ。

Siriは元々は、国防高等研究計画局(DARPA)の2003年に開始されたPALプロジェクトが由来になっている。PALの元で、カリフォルニア企業SRIが数百万ドルの費用をかけてCALOと言うソフトウェアの開発を行った。航空管制に使うほどの信頼性が得られなかったと言う事であろう。PALプロジェクトを紹介する動画は、インターネットで公開されている。

しかし米軍はCALOを実用化することは無かった。SRI社は2008年にSiri Incorporated社をスピン・アウトし、CALOの技術をSiriとして商用化することにする。iPhoneの仮想アシスタント機能として、2009年5月にはデモが公開されていた(TechCrunch)。その後、2010年4月にAppleはSiriを1億5000万~2億ドルで買収している。なお、その時点でのSiriの投資額は2400万ドルだそうだ(TechCrunch)。こうしてAppleはSiriを入手し、iPhone 4Sに搭載することになった(DANGER ROOM)。

DARPAが関与している時点で、スマートフォン向け音声アシスタント機能を民間企業が独力で実用化するのは、もっと先であったのは確かであろう。そしてセキュリティー・ホールがあるとか、認識力が低い等の批判も受けているので、一時の注目を越えて生き残る機能かは、まだ予断を許さない(COMPUTERWORLD.jp)。コモディティ化を逃れるためにイノベーションを起こせと言うマーケティングの専門家がいるのだが、音声アシスタント機能一つで8年間も紆余曲折がある。予算制約が厳しい普通の企業が単独で、テクノロジー主体の“イノベーション”を起こす所まで到達するのは難しいように感じる。

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