10月5日2時のAppleのカンファレンスは、iOS 5とiCloud、そしてiPhone 4Sが発表された。
iOS 5はAndroidに対して機能的に劣る部分(通知機能やワイヤレス・アップデート)が改善される一方で、写真や動画撮影のインターフェイス等が改善され、機能(iMessage、Twitter、Newsstand)が追加された。iPhone 4SはF値2.4の8Mカメラや新しいA5プロセッサが搭載され、通信方式もHDSPAに対応し、概ね最新のAndroid端末と同等となっている。音声認識/コントロール機能が強化され、英語、ドイツ語、フランス語に限るが人工知能(Wolfran Alpha)で質問に応えたりするようになった。
新機能等の詳細はEngadgetやGizmodoにレポートがあるので、Appleのスマートフォン戦略で明確になった点を述べたい。
1. LTE端末、WiMAX端末は用意されず
iPhone 5が発表されなかった事もあるのだと思うが、噂されていた機能のうちNFCとWiMAXの搭載は見送られた。HSDPAには対応している。特にWiMAXは、Android端末では、HTC Evo 3DやMotorola Photon 4G等が搭載し人気を得ている。NFCはAndroid端末でもNexusSぐらいしか搭載が無いので、特に意外性はない。電子マネーを含む非接触型通信機能が普及しているのは日本ぐらいだ。
2. 正常進化に止まる機能
iPhone 4のリリースから15ヶ月経過しており、iPhone 4Sは重量や省電力性を考えれば十分な完成度を期待できるのだが、時代にあわせた機能強化で特に意外性はない。iCloudやiTunes Matchは興味深いサービスだが、既にflickr、Picasa、Evernote、Google Docs、GMail等のSaaS型クラウド・サービスを利用しているユーザーには魅力が低い。機能やサービスでAndroidに差をつけたとは言えないであろう。むしろ機種バリエーションを考えれば、負けている部分もある。
3. ハイエンド、ローエンドの拡充
目についたのは、2年契約でiPhone 3GS 8GBが無料になった事だ。50ドルの値下げになる。iPhone 4にも8GBの廉価版が用意された。依然として利用されているiPhoneの半分が3GSであり、Androidが廉価な端末でシェアを伸ばしている事から、iPhoneのラインナップ不足を埋める目的があるのだと思われる。
4. 少し“分断化”したiPhone
2009年6月にリリースされたiPhone 3GSが継続販売されたのは、方針転換を感じる。過去のiPhoneでは同時に2バリエーションしか存在しなかったからだ。3GSと4はプロセッサ速度で35%程度、解像度で4倍の差がある。4と4Sではプロセッサ速度で最大2倍、グラフィックス速度で最大7倍の差がある。ジョブスの言葉を借りれば「分断化された」バリエーションをiPhoneは持つ事になる。
5. 低価格攻勢で反撃
今回のカンファレンスを見た限り、Appleはハイエンド端末とローエンド端末を拡充する事で、Android端末のバリエーションに対抗して行く気のようだ。特にWiMAX対応端末を出さなかったこと、0円端末を用意したことから、ローエンドでの競争力強化を目指しているように思える。市場シェア獲得ペースを増すために、方針を変更したように感じる。iPodやiPadの市場シェアをプレゼンテーションしている事からApple社は市場占有率に関心がある事が知れるが、スマートフォン市場でのiPhoneはAndroid勢に押されつつあるのが現状だ。
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