乳がん検診のキャンペーンと、低レベル被曝が蓄積して健康被害をもたらすと言うLNT仮説に何の関係があるかと思うかも知れないが、LNT仮説をサポートする著名な研究が乳がん発生率に関するものだそうだ。20歳未満でX線検査25回108mSvの被曝を受けた病気の女性の乳がん発生率が1.6倍になった報告されている(PNAS(2003) - 長期低線量被ばく)。
しかし、この調査結果は疑わしいものだ。20歳未満でX線検査を25回受けていると言う事は、健康に元々問題が多い集団である可能性が高いし、1.6倍と言う数字も大きくは無いからだ。喫煙者の乳がん発生率は1.9倍になる事が知られている(国立がん研究センター)。肥満も問題で、BMIが25以上の人は20未満の人の2倍になるそうだ(日本生活習慣病予防協会)。これは予防のしようもないが、身長160cm以上の人は2.4倍になる(国立がん研究センター)。
LNT仮説は報道などで大きく取り上げられているわけではないが、年間基準値に対する不信を招く原因になっているようだ。しかし、調査データは上述のように強いバイアスと弱い効果しかない。未知のリスクにも程度があるので悪戯に怖がるのは賢明ではないであろう。LNT仮説自体は全くコンセンサスがあるものではなく(放射線安全研究センター)、ICRPも放射線防護のための仮説であって実際の影響を反映するものではないと表明している。
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