2011年6月14日火曜日

イタリアは天然ガスへの依存度が高いのにも関わらず、電力料金が高い

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イタリアの国民投票で同国での原発再開が否定された。イタリアは火力発電所に依存しており、ユーロ圏内で最も電力価格が高い国で、ドイツよりも電力価格が高いのだが、イタリア国民は脱原発の維持を選択した。

原子力大国フランスの家庭用電力は$0.169/kWh、産業用が$0.060/kWhである。再生可能エネルギーに熱心なドイツが、$0.263/kWh、$0.109/kWh。イタリアは$0.305/kWh、$0.290/kWhである(原発は最も廉価な発電方法)。

このイタリアと言う国は、EU内でも最も電力料金が高い。かと言って再生可能エネルギーの比重が高いわけでもない。火力発電所と輸入が多く、高い電力料金につながっているようだ。IEAの2008年の統計によると、総需要に対し、石炭火力が13.5%、石油火力が8.8%、LNG火力が48.1%、純輸入が11.1%となっている。水力発電が13.1%と多いのだが、環境破壊や立地条件を除けば、廉価な発電方法である。原子力は、もちろん0%だ。

そう、イタリアは天然ガスへの依存度が高いのにも関わらず、電力料金が高い。経済学者を自称する池田信夫氏が、イタリアの国民投票を批判した上で、LNG火力へのシフトを提唱しているが、現在のイタリアはLNG火力への依存度が高いため池田氏の批判は矛盾を起こしている。

矛盾した批判の原因は、LNG価格が乱高下していることを認識していないことだ。LNGは長期契約で価格が安定しているとされるが、原油価格と連動する部分もある。イタリアの電気代が高いとされる根拠となる2008年はLNG価格が高かった。今は随分と安くなり、LNG火力と原子力は発電単価が均衡している。

追記(2011/06/14 17:42):日本のLNG輸入価格は、米国ほどピーク時より値下がりしていない。2011年1月でピーク比71%、2011年5月で86%で、2004年の41%の水準よりは2倍近く高くなっている(JOGMEC, 天然ガス価格の推移)。

問題は、今後のLNG価格だ。シェール・ガスの採掘技術に革新があったため、天然ガスの賦存量が飛躍的に高まった事は広く報道されているが、原油や石炭から天然ガスに需要がシフトしたときに、十分に需要に応えるだけの供給があるかは分からない。非在来型を含む天然ガスの可採年数は190年とも言われるが、それは過去の天然ガス需要を元にした年数に過ぎない。

日本が直面している問題は、新興国の経済成長だ。新興国では、今まで天然ガスの消費は多くは無かった。カロリー・ベースでは天然ガスが廉価であるため、新興国では今後、石炭や石油だけではなく、LNGへの需要が高まると考えられる。中国とインドを足しただけで25億人がいるのだが、彼らのエネルギー需要をシェール・ガスを含む非在来型天然ガスだけで賄えるのであろうか。

結局、化石燃料は枯渇するので、高速増殖炉を含めた原子力開発は進めなければならない。太陽熱発電、洋上浮体風力発電、マグマ発電等が実用化されれば状況は一変するが、LNG火力発電に頼ると言う事は、将来的には高コストなエネルギーに依存する可能性が高いと言う事だ。イタリアは、電力を輸入できるのだから、それでも問題ないであろう。日本は島国なので、電力は自給する必要がある。再生可能エネルギーに技術革新があれば良いのだが、原子力を避けて通る道は今の所はない。

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