The Economist誌が、大連立を行うぐらないならば、総選挙をしろと主張している。自民党が民主党の政策に全く協力しておらず、連立が不可能に思えるからだそうだ。総選挙を行う事で、エネルギー政策や地方分権、消費税増税を国民に問うことができる。
外国記者には見えていないなと思う点がある。2009年の民主党マニフェストの問題で、修正を図りたい菅首相とは異なり、民主党内で影響力のある鳩山・小沢氏などが堅持したい意向が報道されている。自民党は民主党マニフェストの修正なしでは、増税を含めて協力に応じられないと主張している。菅首相自体は自民党に考えが近い。対立しているのは、菅首相と民主党主流派だ(関連記事:今の民主党に重要法案を処理しろなんて、わけがわからないよ)。
イギリスの政党で党内意見が極端に割れる事は珍しいのだと思うが、民主党は寄り合い所帯なので割れている。総選挙に望むとして、まともな公約を提示できるのかさえ怪しい。昨年の参議院選挙では、消費税の取扱いに関して菅首相の発言が二転三転した。消費税増を掲げた選挙の後も、民主党内で消費税増に対する反発は根強い。これは民主党の政策が、党内でコンセンサスを得る前に決められている事を意味する。恐らくコンセンサスを得る見込みが無いためだ。
自民党の石原伸晃幹事長は大連立に前向きだが、自民党総裁の谷垣禎一氏、自民党政調会長の石破茂氏は、民主党と政策が一致しない事を理由に否定的だ。6月13日のNHKの調査では賛成42%、反対14%となっており、世論調査では大連立への支持が高まっている。日本経済新聞の世論調査では、支持政党は自民党が民主党を上回っている。
つまり菅首相率いる民主党には選挙を戦う準備も、選挙に勝つ勝算も無い。逆に自民党は財政問題で自信を深めつつあり、過去の選挙と同様のマニフェストを掲げて選挙に臨めば勝算が高い状況となっている。内閣不信任案は解散総選挙を恐れる民主党議員が、菅首相の辞任を前提に賛成しなかった。The Economist誌の記事は次のように訂正する必要があるだろう。"That might be a good idea for Japan’s old elite the Democratic Party of Japan (DPJ)," 外国人には分かりづらいのだと思うが、民主党の状況はかなり深刻だ。
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