2011年4月1日金曜日

スペインで、風力発電は2番目の電力供給源

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

AFPが「再生可能エネルギーへの取り組みで知られるスペインの3月の電力供給で、風力発電の占める割合が前年同月比5%増の21%に達し、初めて最大の供給源になった」と報じているが、統計上のトリックがあるので指摘したい。

つまり、風力発電のシェアが最大になるように分類が調整されているため、風力発電の占める割合が最大となっている。

1. 補正版スペイン電力供給源シェア

スペイン風力発電協会(AEE)の資料がそうなっているのだと思うが、LNGを主に利用するコジェネレーション・システムが独立した項目として取り扱われているため、LNGの比率が低くなっている。IEAの統計では合算されているため、それにあわせると以下の表ようになる。

スペインの電力供給源の電力需要比シェア
発電方式 2011年
3月
2008年 変化
LNG+コジェネ 32.2% 38.7% -6.5%
風力 21.0% 10.3% 10.7%
原子力 19.0% 18.8% 0.2%
水力 17.3% 8.3% 9.0%
石油・石炭 12.9% 21.7% -8.8%
太陽光・熱 2.6% 0.8% 1.8%
輸出分 -3.4% -3.5% 0.1%
ロス -1.6% -4.8% 3.2%

2011年3月の値はReuters、2008年の値はIEAを参照した。2008年の通年のシェアと、2011年3月のシェアを比較しているので、季節変動による影響があるので注意されたい。

液化天然ガス(LNG+コジェネ)と石油・石炭への依存を減らしつつ、風力と水力の普及が進んでいる事が分かる。しかし、化石燃料、特にLPGへの依存度は、まだ一定のレベルがあるのが現状だ。風力が一番だと言うのは、統計上のトリックであることが分かる。

2. 再生可能エネルギーの普及促進を図るスペイン

スペインはLNGガスへの依存度が高く、その依存度を減らす為の政策として、再生可能エネルギーが促進されている。買取価格にプレミアムが設けられており、再生可能エネルギーを用いる発電所の建設後は10年間、生産税額控除を受けられる。

風力発電のシェア20%は驚くべき数字だ。立地に適した地形が多いのであろうが、政策誘導の効果が高い事が分かる。また、水力発電の比率が17.3%と高い点も見逃せない。これは小水力発電の普及に力を入れている事が理由のようだ。

これらの結果として化石燃料への依存度45%に低下しており、60%前後の日本よりも低くなっている。なお、国内向け電気料金はユーロ圏では7番目に高いが、平均よりは低い(SPAIN BUSINESS)のだが、財政負担が深刻化しており、再生可能エネルギー向けの補助金は削減傾向にある。

0 コメント:

コメントを投稿