2012年11月13日火曜日

失業保険が長期失業率を引き上げる?

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ノーベル賞経済学者のベッカーが、長期失業が職業能力を減退させる一方で、雇用保険やフード・スタンプが就業意欲を減退させると心配している。最大99週にまで延長された米国の失業保険給付期間を、短くするように主張しているようだ(The Becker-Posner Blog)。

働きたいけど職が無いのか、職があるけど働かないのかの塩水派 vs 淡水派の論争になるが、米国の期間別失業者シェア及び平均失業期間の推移を見てみよう(経産省)。

失業保険給付延長を含む「労働者・住宅所有者及びビジネス支援法案」が成立したのが2009年11月6日なので、2010年から失業保険給付期間が延長されたと見なして良いであろう・・・と思っていたら、連邦予算で給付期間が延長になる2008年緊急失業保険(EUC08)が2008年7月から施行されていた(厚労省)。

平均失業期間は2012年初頭まで上がり続けるが、2010年以降、27週以上の長期失業者の比率が増えているわけではないから、失業保険の給付期間延長が与えている影響は小さいように思える。2008年7月以降にトレンドが変わったとも言えるから、悪影響を与えているとも言えなくも無いが、リーマンショックは2008年9月だし、不況が本格化したためだと言えなくもない。

雇用流動性がそもそも高い米国なので、失業を続けて良い職場を探そうと思うのかが良く分からない。働きながら、よりよい職場を探す事が可能であれば、とりあえずは就業しておく方が望ましい。それに失業保険給付延長法案がいつまで継続されるかは政治的に右往左往しており、2010年6月に失効したり(Reuters)、2010年12月1日に一度失効したりしている(Reuters)。失業保険に頼るのは、リスクが高いと言える。

財政負担の面から雇用保険の延長が議論されることが多いのだが、不況になると治安が悪化したりする事もあるので、実際の社会的コストは容認できなくは無いであろう。やはりベッカーの言うように、職業能力の減退を引き起こさないかが問題になる。日本では失業期間中に職業訓練なども行っているわけだが、やはり実際に働くのとは違いが大きい。そう考えたら公共投資で仕事を作るのが一番、手っ取り早いと言う事になる。

ところでベッカーは、政府支出の削減を主張していたロムニーに支持をしていなかったっけ?(Economists For Romney

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