2012年11月17日土曜日

保護貿易主義者の安倍晋三にある無責任と非常識

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安倍晋三自民党総裁が「例外、聖域なき関税撤廃、これを交渉の条件とする限り、交渉参加については私は反対する」と言っている。どこを例外に、どこを聖域と考えているかは、まだメディアが追求していないが、日本最大の圧力団体である農協を恐れての事なのは間違いない。そして、「『聖域なき関税撤廃』を突破する交渉力が自民党にはある」と豪語している。無責任で非常識な主張だ。

1. 例外や聖域を作れると主張する無責任

無責任と言うのは、投資ルールの共通化や関税ゼロを目標とした多国籍間交渉において、一部品目を保護するように主張するのが困難だという事だ。食品衛生や宗教を理由とした規制は許されるであろうが、NAFTAから考えれば内国産も外国産も同じように規制しないといけない(関連記事:ISD条項の真実)。米、小麦、大豆、乳製品の関税など許されるはずがない。選挙対策で聖域を設けられるように思わしているのは、後々を考えると無責任だ。

2.『例外や聖域』にしたい部門の実態に関する非常識

非常識と言うのは、例外や聖域を設ける必要があると主張している事だ。関税収入が減るのは間違いないし、国内産業の大きな変化が発生するのは間違いない。しかし、消費者余剰は増えるし、輸出産業や、海外進出をしている企業にはメリットがある。日本では副業的農家が8割を占め、彼らは手間がかからない稲作を好んで行っている。これら片手間にやっている年間収入約37万円の副業的農家の利益を、例外や聖域として求める必要があるのであろうか。主業的農家、つまり野菜、果物、花卉、畜産、そして経営規模が大きい稲作農家は、TPPに影響されないか、もしくは利益を得る可能性がある。

3. TPP参加で被害を受けるのは農協

副業的農家が市場からいなくなっても、副業的農家だった人々の生活は恐らく困らない。農家の数は40年間で6割も減少し、70歳以上の農業就業者が全体の27%と高齢化が進んでおり、休耕田が問題になっている状態で、どちらにしろ副業的な農家はいなくなる。主業的農家は、経営努力で生き残る術がある。誰が困るかと言うと、副業的農家を構成員に抱えている農協だ。全国に副業的農家は約400万人、主業的農家は約289万人も存在し、彼らに農協は金融サービス等を行い利益を上げている。TPP加入して副業的農家をいなくなれば、農協は売り上げの6割を失うわけだ(関連記事:TPPに参加反対の『既得権益者』は誰?)。

4. 安倍晋三の農業政策を問い詰めたい

漁業や乳製品も云々と言う議論があるが、どちらも穀物に比較すれば大して関税はかかっていない。輸入水産物なんて4.8~15%しかかかっていない。最大の問題は、穀物だ。米は402円/kgの関税がかかっているが、国内生産者価格が300円/Kg程度なので、輸入すると即競争力が無くなる(関連記事:TPPで漁業者は困るのか? ─ 困るわけがない)。

過去の経緯は理解できるが、これだけの保護を続けていく理由は何なのか、安倍氏は国民に説明する必要がある。理由を食料安全保障などと、幻想に囚われた事を言わない事は祈りたい。窒素、リン酸、カリウムが三大肥料といわれるが、全て原料は外国からの輸入に頼っていて(農林水産省「肥料及び肥料原料をめぐる事情」)、有機肥料の自給率も低いのが日本の現状だ。現代農業は、肥料や燃料無しでは成り立たない。

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