2011年5月26日木曜日

もんじゅへの1兆円が高い?小出裕章の扇動文句を考える

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反原発で知られる京大助教の小出裕章氏が、高速増殖炉もんじゅに関して、参議院行政監視委員会で批判を繰り広げて話題になっている(ざまあみやがれい!)。

小出氏の主張をまとめると、化石燃料は枯渇する見込みは当面無く、原子力は高速増殖炉を実現しないと資源が枯渇し、高速増殖炉は1兆円という投資に関わらず実現の目処が立っていないという事だ。

しかし、高速増殖炉に1兆円や2兆円の投資が高いものだと言えるであろうか?

1. 電力会社の年間売上高は16兆円

電力会社の年間売上高は16兆円に達し、電気自動車などの普及などにより、今後も拡大傾向だと予想される。このため、次世代技術に数十年をかけた数兆円の投資は大きな額とは言えない。

2. 化石燃料価格は上昇し続けている

化石燃料は枯渇する見込みは当面無いが、少なくとも需要に応じて価格は上昇し続けている。

下のグラフは、日本の鉱物性燃料輸入額の推移をあらわしたものだが、2004年以降は10兆円(棒)以上、つまり総輸入額の25%(青線)を超えている。これを差し迫った問題だと感じない人がいれば、それはかなりの驚きだ。

この燃料輸入額の上昇は、石油、石炭、LNG、LPG等の化石燃料価格全てが上昇しているのが理由だ。背景には中国やインドなどの新興国でのエネルギー需要が増加していること、新規発見油田の発見が1960年代以降少なくなっていること、油田の採掘条件が厳しくなっている事があげられる(資源エネルギー庁)。

LNGは比較的価格が落ち着いているという指摘を常に受けるが、石油・石炭などと代替性があり価格が長期には連動すること、新興国のLNG需要の拡大は堅調であること、期待の採掘源のシェールガスの埋蔵量に関しては不確実性が大きいものとなっているため、今後もLNG価格が安いかは疑問がある。実際に、この夏、九州電力はLNGの確保に失敗した。

3. 化石燃料には政治的リスクが大きい

安全保障上、エネルギーの確保は重要な政策課題である。しかし、中東情勢などに影響されるため、1970年代のオイルショックを例にあげるまでもなく、化石燃料には政治的リスクが大きい。

憲法上は不可能なので検討もされないが、軍事力を背景にエネルギー確保を行うためには、高速増殖炉よりもずっと費用がかかる。米軍が保有する原子力空母は1隻で3兆円以上の費用がかかっており、「もんじゅ」よりずっと高い。

4. 化石燃料は、CO2を排出する

小出裕章氏は二酸化炭素排出量については、ほとんど言及していないが、政策課題としてCO2排出抑制もある。火力発電所は、建設・燃料輸送・廃棄コストを入れて、原発の21~47倍のCO2を排出する。豊富に資源があるにしても、CO2排出抑制にならないのは確実だ。

5. 再生可能エネルギーに ─今のところ─ 見込みが無い

コストや立地条件、賦存資源量、発電可能な時間帯、技術的成熟度の点で、再生可能エネルギーに見込みが無い(闇の勢力と夢の発電技術)。

例えば、太陽光エネルギーは注目されやすいが、全ての一戸建に家庭用太陽光発電システムを設置しても、2008年の総電力需要の10%程度しか補うことができない。また、比較的コスト競争力のあるCd-Te型の太陽光発電ファームの敷地あたりの発電効率は、原発の70分の1、火力発電所の270分の1でしかない。技術革新によって変換効率が良くなればよいのだが、最も変換効率が高い単結晶Siの太陽電池は、15年間で25%程度の改善しかしていない(太陽光発電の素晴らしい点、不足している点)。

もし洋上浮体風力発電やマグマ発電などの、まだパイロット施設も存在しない夢の技術が実用化されれば良いのだが、多くの課題が山積しており、高速増殖炉の方が実用化に近いのが現状だ。

6. あと15兆円は高速増殖炉につぎ込める

2011年度でエネルギー対策特別会計の原発関係予算は1,816億円、電力会社が政府に研究開発予算として払っている電源開発促進税は3,292億円だ。

少なくとも、毎年数千億円というスケールでエネルギー開発には費用がかけられており、40年間で1兆円や2兆円の予算しか使っていない「もんじゅ」などは大した問題ではない。

高速増殖炉は実用化が50年後の技術なので、毎年3,000億円、合計で15兆円ぐらいつぎ込む事になるのかも知れない。しかし、毎年3,000億円は我が国のエネルギー政策にかける費用としては、大した金額ではない。

問題は、1兆円や2兆円の金額ではなくて、高速増殖炉に実用化の目処があるか否かだけだ。それを評価するための原型炉として「もんじゅ」は建設されている。技術的に開発を諦めるべき理由があるのであればともかく、小出氏は今まで費やした費用と時間で高速増殖炉技術の否定を行った。つまり小出証言を聞く限り、高速増殖炉開発計画の続行に、何も障害が無いように感じられる。

39 コメント:

santa301 さんのコメント...

障害はたくさんあります
1.もんじゅ

 日本原子力研究開発機構は5月24日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)で昨年8月に原子炉容器内に落として変形した炉内中継装置(長さ約12メートル、直径46センチ、重さ3・3トン)を、同容器の上ぶたの一部ごと外して引き抜く作業を開始した

 変形したふたと、変形した原子炉容器・・・たたいて直しても、当初設計と同じ耐圧性能は出ないでしょう。均一に圧力がかかる保証はないのだから。
 やるなら、作り直すしかないでしょう。
 高速増殖炉は、冷却材にナトリウムを使っています。
 想定外の事故がおきたとき、水をかけて冷やすことは出来ません。
 強力な化学反応(爆発)が起こるためです。
 フランス、アメリカも、ナトリウム漏れが原因で撤退しました。
 まったく画期的な設計を行えば、高速増殖炉が出来ないとは言えません。
 しかし現在の計画を続行しても、日本で商業運転できる原子炉には、たどり着かないと思います。



 

uncorrelated さんのコメント...

>>santa301さん
コメントありがとうございます。
金額云々よりも、技術的な問題が重要だと言う話です。

publicoverkillill さんのコメント...

小出裕章氏の発言のニュアンスとしては「技術的にムリなものに1兆も2兆も突っ込むのは馬鹿げている」的な感じがします。

個人的にはリスク管理も含め高速増殖炉は純粋に技術的にムリな気がします。て言うか、そもそも携わる連中が信用できません。少なくとも現状では経産省の面子と技術者の自慰行為ですね。

フランスは止めたみたいですが、中国やアメリカあたりにお任せした方が、まだ見込みがありそうです。

しかしCO2排出抑制って何なんでしょうね?
「地球温暖化なんて根拠の無い戯れ言だ!25%削減なんてクソだ!」とか言ってた輩が「地球温暖化を防ぐには原発しか無い!」とか平気で言うんですから。

uncorrelated さんのコメント...

>>publicoverkillill さん
事実上無尽蔵のエネルギーは、そうは簡単に手に入らないみたいです。あと10年ぐらい続けたら、白黒つくのではないでしょうか。

地球温暖化と二酸化炭素の関係も疑問を持つ人は多いようですが、原発推進者と一致するとは思いません。

publicoverkillill さんのコメント...

う〜ん、10年か、、、出来れば他所の国がやってくれれば有り難いのですが。
なんか落とし物とかしてる段階で既に萎えます。
せめて何処かの国と共同でやってほしい。

もちろん原発推進者と一致していると言いたいわけではありません。
ただ、主に経済論壇の方々がやたらとポジションとって都合良く使い回すのが目に余るので。
とは言え、社会科学からの発言はポジションとらないと論点が見え難くくなってしまうのも理解はしています。

uncorrelated さんのコメント...

>>publicoverkillill さん
> 経済論壇の方々

経済論壇の方々は、経済学などの社会科学系学問が専門では無いかも知れません。
また、社会科学でポジション・トークは原則、禁止ですね。理論か実証を元に結論を出さないと叩かるので、定性的な話を書いている人は、事実を延々と積み上げる傾向があります。

publicoverkillill さんのコメント...

あくもでもブログ等の一般向けの発言を念頭においてと言う意味です。
プロ向けの学術的な議論は当然、その限りでは無いでしょう。
申し訳ありません、誤解を招く表現で。

uncorrelated さんのコメント...

>>publicoverkillill さん
本当の社会科学の学際的な人で、ブログ等でもポジションをとって話をする事は、ごくごく稀だと思いますよ。

例えば地球温暖化懐疑論を唱えると、少なくともデータ的にそれを実証しないといけなくなるので、社会科学者には取り扱いが難しい話題です。

では声が大きいの人は何なんだ?って事になると思いますが、学際的な人はほとんどいないと思います。評論家の部類の人ですね。

publicoverkillill さんのコメント...

なるほど、「学際的」と認識していた「あの方々」は実は「評論家」、、。
とはいえ、やたら読み物としては面白いんですよね(イラッとさせる技とか)、困ったことに。
あ、それ故「評論家」なのか。

haruki さんのコメント...

ここのサイトの方は冷静で見識が高い方のようなので書き込みます。私は反対派ですが、きちんとした意見を持つ賛成派の方の話に興味があります。

私は個人的には『高速増殖炉は実用化できない 動かない、動かせない もんじゅ』小林圭二著を読んだだけで、ナトリウムを冷却水に使うことだけで事故が怖くて怖くて仕方ありませんでした。
http://d.hatena.ne.jp/genpatsu_mov/20110417

機会があったら、そうした技術的なことをサイト主様がどう思っているのか参考までに知りたく思います。

※ちなみに小出氏は「どんな形でもエネルギーを使う限りは温暖化する」と考えているフシがあります。CO2は原因ではなく結果ということでしょうか。その考えを時々、公言しており、著作でもそれに近いことを言っています。

uncorrelated さんのコメント...

>>harukiさん
コメントありがとうございます。
水よりナトリウムの方が危険なのは分かります。

しかし、高速増殖炉のナトリウムが、軽水炉の水より危険かは分かりません。冷却材喪失事故も起きづらいですし、全停電喪失時も自然対流で冷却継続が可能なようです。

ただし、未知の技術なので、絶対に安全なんて誰にも言えません。「もんじゅ」は実証炉で、技術的な評価をするためにあります。高速増殖炉技術が確立できるかは、「もんじゅ」次第と言う事になりますね。

今の所は、計画を諦めるべき問題は出ていないようです。

地球温暖化と二酸化炭素排出については延々と議論がありますが、専門家の大半は関係を認めているようです。
http://www.ir3s.u-tokyo.ac.jp/sosho
専門家の見解が無料で読めるので、ぜひどうぞ。

ぶぐり さんのコメント...

>洋上浮体風力発電やマグマ発電などの、まだパイロット施設も存在しない夢の技術が実用化されれば良いのだが、多くの課題が山積しており、高速増殖炉の方が実用化に近いのが現状だ。


それはウソです
高速増殖炉は人類史上実用化された例が一つも無く、今後も実用化は無理でしょう
風力や地熱はすでに世界中で実用化されています
日本でも実際に稼動して発電しています
高速増殖炉とは比較のしようがないくらい現実的な技術です
その気になれば明日にでも建設できるほどこなれた技術です
一方高速増殖炉でその気になったら結果はあっけなく人類滅亡かもしれませんけど

風力や地熱なら多少の失敗(事故)があっても挽回できますが、
高速増殖炉はじめ原子力は事故が許されません
しかし事故というものは必ず起きます
許されない事故でもいずれは起こってしまうんです
事故が起これば全世界を巻き込む
発生したゴミは何万年にも至る未来の世代を巻き込む
原子力信徒はいったい何の権利があって!こんな人類規模のロシアンルーレットを人々に押し付けるんでしょうか
こんな危険で無責任で罪深い技術を使う権利は誰にもありませんよ

uncorrelated さんのコメント...

>>ぶぐりさん
コメントありがとうございます。

> 風力や地熱はすでに世界中で実用化されています

日本でも賦存資源量が多い、高温岩体発電や洋上浮体風力発電は、まだ実用化されていないと思います。

> 高速増殖炉はじめ原子力は事故が許されません

確かに原子力技術は、失敗が大きな損害をもたらす事は明らかですね。

CANDY さんのコメント...

「もんじゅ」は原型炉なので、「もんじゅ」の次に実証炉を作らなければなりません。
「常陽」:実験炉
「もんじゅ」:原型炉
 「?」:実証炉
「?」:実用炉
あと50年で、技術課題を全てクリアできるかと言ったら多分無理だと思います。
各国が高速増殖炉から撤退したのは
・技術的な見込みが無さそう
・同じ資金を別のエネルギーに投じた方が、投資効率がよい。
という事だと思います。

CANDY さんのコメント...

エネルギー輸入が輸入総額の25%になったとしても特に問題であるとは思えません。
資源が地理的に偏在している以上、解決できない所与の条件であって、その条件下での合理的な経済活動をすれば良いだけだと思います。
 価格が問題なのであれば、先物市場での調達や、長期の契約を結ぶことや、採掘拠点への投資によって価格を安定化させるという事が対応策として考えられますし、国としてはその方面の人材育成に予算を投じるという選択になるでしょう。

 コストを度外視して、エネルギー自給率を上昇させることが必須なら、国内の石炭開発に国費を投じるという選択もありますし、国内で採掘される天然ガスの開発促進もあります。

 実用化の目処がつきそうにない、高速増殖炉に15兆円投じるよりも、そうした既知で枯れた手段に投じた方が効果は良さそうです。

uncorrelated さんのコメント...

>>CANDY さん
将来的に、25%が50%になれば、同じエネルギー量を輸入しているのに毎年20兆円以上は貿易収支が悪化します。
エネルギー需要の増加率から言うと、ありえなく無い話ではないです。
将来的に毎年10兆円の輸入代金を節約できる技術であるのだから、例え開発費用に15兆円かかっても問題ないと言うのが、このエントリーの主張です。

> 実用化の目処がつきそうにない

問題はそこですね。
現在のスケジュールでは40年後の技術なので、遠い先に見えるのは仕方が無いと思っています。

CANDY さんのコメント...

元々プルトニウムを再利用する核燃料サイクルは、とっくに昔に再処理工程と高速増殖炉が実用化されていることが前提です。
その前提の元で原子力発電所を建設したので、再処理しきれない使用済み核燃料と、抽出したプルトニウムが蓄積されていますし、今後も40年以上蓄積されて行くわけです。
 中間保管施設がないので、福島原発だけでなくあちこちの原発で冷却プールが使用済み燃料で一杯になって溢れるわけです。
 遠い先に見えるかどうかが問題ではなく、溢れているし、溢れたものの持って行き先がないということが問題なのです。

 
>毎年20兆円以上は貿易収支が悪化します。

 別に構わないじゃないですか?
 貿易外収支は延びているので、それで貿易収支の悪化を埋めればいいわけだし。
 経済学的に何が問題なんです?
 それぞれの国が比較優位の財の生産に特化して、財の交換を行うことにより、全体の生産が最大化するという自然な結論であって、それに逆らったら、逆らっただけ生産が下がってみんなが貧しくなるだけじゃないのですか?

 

uncorrelated さんのコメント...

>>CANDYさん
> 元々プルトニウムを再利用する核燃料サイクルは、とっくに昔に再処理工程と高速増殖炉が実用化されていることが前提です。

そうですよね、本当は実用化を急がないといけない状態です。

> 経済学的に何が問題なんです?

エネルギー価格が上昇し、かつエネルギーの対外依存度が無視できないぐらい高いと、以下の問題があります。

・財やサービスの生産に必要な要素価格が上昇する
・交易条件が悪化して貿易収支、経常収支が悪化する
・上述の理由で、国民所得が低下する

購入するエネルギーの量が多くなって貿易収支が悪化するのは経済成長に伴うものであるから問題ないと思いますが、エネルギー価格の上昇は日本経済の縮小を意味します。

実際に、オイルショック後の日本の経済成長は、エネルギー価格以外の要因もありますが、大きく落ち込む事になりました。

化石燃料が将来的にも無限に購入できて、かつ二酸化炭素排出の問題が無ければいいのですが、今の所、一定規模の賦存量がある代替エネルギーは原子力しかないのが現状です。

Chiznops さんのコメント...

オイルショックによって短期的には日本の経済成長が削がれましたが、それをバネにした各種省エネ技術などが日本の国際競争力を高め、自動車や家電など日本製品が世界で大きくシェアを伸ばすきっかけになりました。私もCANDYさんと同様の意見でして、天然資源に恵まれない日本がコスト(多義的に)を度外視して「国産エネルギー」に拘る必要はなく、成長可能な分野にリソースを集中するべきです。安全保障の観点からエネルギー供給源の多様化を行い、ある程度は再生可能エネルギーも併用することで、効率的で安定的な電力供給が原子力なしでも可能になると思います。

uncorrelated さんのコメント...

>>Chiznops さん
コメントありがとうございます。

省エネ技術の発展に関わらず、オイルショックでエネルギー価格が急上昇したことで、日本のGDPがかなり削がれているのも確かです。エネルギーを輸入に頼っている以上、エネルギー価格に比例してGDPが減少するのは避けられません。

もちろん国産であっても、高コストのエネルギーは、国際競争力を失うので問題です。再生可能エネルギーは、現状では高コストで、かつ将来的にも大きな量を確保できそうにないので問題があります。
http://www.anlyznews.com/2011/03/blog-post_28.html

輸入か国産かは問わず、エネルギー資源を安く、大量に確保するのが将来にわたる重要な国策であって、最も有望な技術が原子力、特に高速増殖炉であるのは現在でも変わりません。

もちろん技術的な制約な話なので、「もんじゅ」の結果如何では、高速増殖炉を諦めた方が良くなるかも知れませんが、現在の時点では最も有望なテクノロジーだと考えています。

sadaosho さんのコメント...

ブログ主さんは高速増殖炉と再生可能エネルギーという次世代に期待されるエネルギーを比較しているが、なぜか高速増殖炉には根拠のない期待を膨らまし、再生可能エネルギーにはその進歩を過小評価しているように思える。

例えば文中の例だけを取ってみても、太陽光発電は15年間で25%転換効率を改善してるが、これをブログ主さんは比較対象をはぐらかして否定的な評価を行っている。

本来ここで比較対象とするべきは、同じ次世代エネルギー候補である高速増殖炉でないといけない。だが高速増殖炉は1946年にアメリカで生まれてから65年間もの間1つも実証炉まで開発を進められていない。

現在のところ高速増殖炉、太陽光ともに問題があるのはブログ主ならずともほぼ共通認識になっていると思うが、将来性をこれまでの実績で比較すると、どう考えても65年間商業炉(実証炉)を動かすことができずブログ主にも具体的な進歩が指摘されていない高速増殖炉よりも15年間で25%効率化を達成した太陽光の方が期待できる(実際は既存の太陽光発電効率を前提とすると需要量の10%程度しか供給できそうにないが、高速増殖炉と同じように50年の開発期間と15兆円の費用をかけた場合での期待とする)。

一体ブログ主氏は具体的に高速増殖炉の何が進化したと見ているのか、まずそこを明らかにしなければならない。それが無ければ、50年後にはすべての問題が解決されていると考えるのはあまりにも偏向的または浅はかだと評価されても仕方ないだろう。

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
コメントありがとうございます。

太陽光発電は、15年間で25%の変換効率の改善ペースだと100年ぐらいは価格競争力が出てこない感じです。ゆえに否定的に捉えています。また、その場合でも発電時間帯などは限られます。

高速増殖炉は、1970年の実験炉(常陽)、1980年から現在までの原型炉(もんじゅ)と順調ではありませんが発展は続けています。もんじゅの稼動で随分と見通しが良くなるはずです。

将来の発電源として重要なのは、賦存エネルギー量が豊富になるか、稼働率などの面で扱いやすいかであって、現在のところは高速増殖炉に勝る技術はないと思います。

sadaosho さんのコメント...

uncorrelatedさん

早速のお返事、ありがとうございます。

太陽光発電は近年ドイツや中国をはじめとして様々な国で積極的な投資が行われ、近年急激にコストが下がっていることはご存じかと思われますが、なぜエントリーに上がっている昔の記事のみをソースとされているのか理解に苦しみます。

例えばwikipediaなんかでも、2012年にはグリッドパリティに到達するという見方が多数になっているというように紹介されています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%E7%99%BA%E9%9B%BB%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%88

もちろんそれでも見込み発電総量がまだ少なすぎることや、セットで必要となる蓄電池のコストも勘定に入れないといけない等の課題は残るのでしょうが。

一方、高速増殖炉については各国とも原型炉までは到達していますが、そこから次の段階である実証炉までは30年以上経った現在でも実現されるメドすら経っていないというありさまです。

もんじゅなどは事故以来、落下物の引き抜きですら失敗続きで現在運転はおろか廃炉ですらできない状態になっています。

http://getnews.jp/archives/109213

一体uncorrelatedさんは上の事実を知らずに「もんじゅの稼働でずいぶんと見通しが良くなるはず」とのんきなことを書いているのでしょうか?それとも現状を解決する素晴らしい方法をご存じなのでしょうか?

私が調べた限り、現在もんじゅが置かれている状況は相当に深刻です。半径300km圏内に放射性物質をまき散らすリスクと引き替えに落下物を抜き取る決断を行うか、それとも燃料が燃え尽きる50年以上もの間毎年500億円もの金額を維持費として支払い続けるか、2択しかないようです。

私もこの300km圏内に住んでいるため、uncorrelatedさんがもんじゅの事故を解決する確かな見込みを持っているのなら、安心を得るためにも真剣に教えて欲しいと思います。

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
> 太陽光発電は・・・近年急激にコストが下がっていることはご存じかと思われますが、

色々と発電コストを調べているのですが、太陽光発電のコストが急激に下がっているような報道などは見つけられません。
採算性が良くなっているなら、補助金も不要ですが、ソフトバンクの孫正義が提案した買取価格は40円/kWhになっています。
FirstSolar社のグリッドパリティ宣言はピーク時の生産量でなので、太陽光発電の低い稼働率を考えると、まだ高コストのようです。

もんじゅに関して貼られた危険性を主張するリンクは、私もそのコメント欄で指摘しているのですが、高速増殖炉では冷却材喪失事故が起きづらい事などが無視されています。

> 半径300km圏内に放射性物質をまき散らすリスク

色々と取りざたされていますが、福島第一と異なり水素爆発も水蒸気爆発も起きない高速増殖炉で、どういうメカニズムで周囲に放射性物質を撒き散らす事になるのでしょうか?
液体ナトリウムの火災だけが危険視されすぎなのではないかと思います。原発のような特殊な環境では、高温の蒸気の方がより危険かも知れません。

sadaosho さんのコメント...

Uncorrelatedさん

>色々と発電コストを調べているのですが、太陽光発電のコストが急激に下がっているような報道などは見つけられません。

FirstSolar社はカドミウムを使ってコストを下げているので、あまり感心できませんし、2012年にはグリッドパリティが実現できるというのは確かにwikiには書いていますが眉唾ではないかと私自身も疑っています。

ただ、太陽光発電モジュールの価格推移が経験曲線に沿って低下している事実は簡単にwikiのリンクから確認できますよ。

http://www.epia.org/fileadmin/EPIA_docs/documents/23EUPVSEC/Presentations/IF_2_2_Jaeger-Waldau.pdf

これの10枚目とか。

装置産業の製造コストが経験曲線に沿って低下することは様々な業界ですでに実証済みで、別に驚くことでも無いと思います。

モジュール価格とは別次元で問題になるのが設置コストで、これは効率性が上がれば上がるほど小型化・軽量化が進み低下していくものと思われます。

http://www.nikkei.com/tech/ecology/article/g=96958A9C93819499E2E1E2E2978DE2E1E3E0E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;df=2;p=9694E2E0E3E0E0E2E3E2E4E3E4E4

によると「高効率戦略」を採るSunPower社は2003年から2010年までの7年間でおよそ17.5%の効率化を果たしています。同じペースで効率化が進むと想定すると、uncorrelatedさんの予想とは裏腹に、2052年には約63.7%の変換効率を実現できる計算になります。設置面積や重量が3分の1程度になるので、設置コストを含めても十分他の発電方法と競争できるものと期待できます。

(ちなみに15年で25%というペースで効率が上昇するという計算でも、2048年には40%以上の変換効率に達し、uncorrelatedさんが書いた100年後では98%以上と夢のようなエネルギー産業に成長してしまいます。15年で25%という成長率は決して低くありません。むしろ驚異的な伸びと言うべきです。)

補助金については、この経験曲線による価格低下を見越して、早期に本当にグリッドパリティを実現するためのものであると理解しています。「夢の新エネルギー」の開発にコストがかかり、それを政府が支援することはもんじゅをはじめとする高速増殖炉がすべて税金でまかなわれていることからも問題無いと思います。

エントリーの本来の主題である小出氏の批判は、おなじ未来の夢のエネルギーに投資するなら、高速増殖炉はもうあきらめて、太陽光や洋上風力発電などに投資した方が安全かつ夢も見られるということだと理解しています。私も全く同感です。

sadaosho さんのコメント...

Uncorrelatedさん

連投で失礼します。

>福島第一と異なり水素爆発も水蒸気爆発も起きない高速増殖炉で、どういうメカニズムで周囲に放射性物質を撒き散らす事になるのでしょうか?

今回の事故は中継装置の落下という全くの想定外の事象なので、何が起こるか全くわからないというのが本音です。

まず、想定外の出来事が2つほど起こったとします。

①作業中に混入した空気中の水分とナトリウムが反応して発火→②何らかのトラブルで消火に失敗、冷却用ナトリウムが燃焼によって不足し、冷却用ナトリウムの沸騰・膨張が生じる。→炉心の反応およびナトリウムの沸騰が止まらず、燃料の溶融が生じる。

この事態に陥っても、以下のレポートによると、ほっておけば自然に終息に至ると考えられているようです。

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=06-01-02-08

燃料の溶融が生じた段階では核燃料が冷却剤の蒸発によって生じた空間に分散するので、ある程度出力が抑えられる。(起因過程)→燃料集合体を収容するラッパー管も溶融し、燃料の拡散が生じる(遷移過程)。この際、うまくいけば気化したナトリウムと核燃料との間での相互作用(FCI)によって燃料が微粒化され、さらにうまくいけば冷却剤流路をこの微粒化された核燃料が移動して炉外に排出される。これによって事故が終息する。

ただ、それでももう一つ想定外の事態が起こってしまうと、以下のようになります。考えたくないですが……

③核燃料が炉外に排出されるまでの間もずっとナトリウムは蒸発し続けており、燃料排出が十分行われるまでに膨張圧力が一次冷却系を格納する容器の一番弱い部分の強度限界を超えてしまった場合は、ナトリウム爆発を引き起こすと思われます。おそらくナトリウム爆発は水素爆発や水蒸気爆発よりも深刻で、コンクリートや空気中の水分と反応を起こしさらに強力な爆発となるでしょう。その後は書くまでもありませんが、粉々になったプルトニウムが大気中に吹き上がり、風に乗って数100kmの範囲まで飛び散る、といった事態が生じます。

とっても心配なのですが、小笠原英雄氏によると、http://www.enup2.jp/newpage40.htmlのサイト内で、もんじゅの一次冷却系内部では窒素を充填させることでナトリウムの燃焼を困難にしていること、そして即発臨界事故で生じる機械的エネルギー(380メガジュール)よりも高い強度(500メガジュール以上)を原子炉容器が持っていることが書いています。彼の計算通りに事態が推移するかどうかは福島第一原発の事故以降ではなかなか素直に信じにくいですが、今は想定の範囲内に事態が推移するよう祈るばかりです。

uncorrelated さんのコメント...

>> sadaosho さん
モジュール価格低下を、このエントリーで否定したことはありません。トータルで見た発電コストが十分に下がっていないのが問題だと言う事です。

SunPower社が高効率に、FirstSolar社が低価格に比重をおいていて、メガソーラーではFirstSolar社のCd-Te型がコスト的に人気ですよね。発電量あたりのコストが、FirstSolar社のCd-Te型の製品の方が優れているからです。

SunPower社が高効率モデルを開発しているのは分かりましたが、問題はその単価になります。

> uncorrelatedさんが書いた100年後では98%以上と夢のようなエネルギー産業に成長してしまいます。

今の太陽光発電の効率が98%よくなっても、全く競争力はありません。40円/kWhが20円/kWhになっても、意味はありません。
100年後に現在の4.4倍の変換効率になっていれば、原子力の発電コストにつりあうと書いたつもりなのです。15年間で25%の改善だと、100年間で4.4倍のペースになります。

まさに夢のような技術革新が無いと実用的にならないのが、太陽光発電の問題点です。

浮体式洋上風力発電は、コスト的にはずっと太陽光発電よりも見込みがありますが、安定的に電力を供給できるのかは疑問が残ります。

つまり、再生可能エネルギーには、火力や原子力を代替する見込みは全く無いわけです。高速増殖炉は、稼働率や賦存資源量の面でずっと見込みがあります。

もんじゅの爆発事故の方は、特に根拠は無いものの、何だか怖いと言う事ですね。

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaoshoさん
ミスでコメントを消してしまったので、返信のみ書いておきますね。

太陽光発電は、費用対効果が十分にあがらないと、実用性がありません。報道を総合する限りは40円/kWhの発電コストでしょうから、これを6円/kWh程度にしないと原子力に匹敵しません。

太陽光パネルの性能を4.5倍にするか、コストのほとんどがパネル代だと仮定して、価格を1/4.5にすれば、この値は実現できます。SunPower社の製品は価格を引き下げる必要があるでしょうし、FirstSolar社の製品は性能を4.5倍に引き上げる必要があるでしょう。

15年間で25%の性能向上のペースだと、4.5倍の性能か、1/4.5の価格になるのに100年かかります。ゆえに現在の太陽光パネルの性能向上ペースは遅いわけです。

100年かけて性能向上を果たしたとしても、夜間発電の問題等もあるので、太陽光発電が原子力に匹敵する可能性は全くありませんけどね。革新的な蓄電技術が必要で、こちらは全く目処が立っていない状況です。

> 夢のような技術革新がないと100%無事故運転を達成できない(=実用的にならない)のが、高速増殖炉の問題点です。

今の所、構造的に致命的な事故が発生するという技術的な問題は露見していないと思います。どのような根拠で、「夢のような技術革新」が安全性の維持に必要だと主張されているのでしょうか?

sadaosho さんのコメント...

uncorrelatedさん

太陽光発電の話は消されてやる気がなくなってしまったのでまた明日以降ということで……

>今の所、構造的に致命的な事故が発生するという技術的な問題は露見していないと思います。どのような根拠で、「夢のような技術革新」が安全性の維持に必要だと主張されているのでしょうか?

この見解は正直驚きです。私が引用した技術者のサイトでも、「本来高速増殖炉は手放し運転をすればかなりの高確率で大事故を引き起こす技術的性格を持っている」という前提に立って、全力でその可能性を潰すように努力しているように見受けられました。

冷却系に容易に水分と反応・爆発するナトリウムを使用するのも、冷却系をわざわざ高コストになる二重系統に分けたのも、いきなり高出力の商業炉から始めるのではなく、わざわざ実験炉から始まって原型炉、実証炉と何段階にもわたって稼働実験を行うのも、みんな大事故のリスクを減らす努力・コストだと考えられます。

それにも関わらず、実際に事故は起きています。原因追及をしっかり行い、それへの対策を十分に行ったにも関わらず。また、事故の発生頻度が減少傾向にあるのならまだ見込みはありますが、そのような事実も確認できません。

件のもんじゅに至っては運転再開後わずか3ヵ月で原因不明の落下事故を引き起こしています。

高速増殖炉の誕生から65年も経った現在でも大事故につながる可能性を持った原因不明の事故が起こること自体が、「夢のような技術革新」が安全性の維持に必要だと主張した理由です。まだまだ未知のマイナーアクシデントは確実に起こるだろうし、それらのいくつかが何らかの偶然で同時に生じてしまうと、本当に大事故が生じてしまうでしょう。

uncorrelatedさんも、私が上で示した大事故へのシナリオが100%生じえないとは断言できないはずです。それは高速増殖炉の持つ高密度・高出力・不安定という本質的な特性に起因します。

高速増殖炉で求められる「夢のような技術革新」とは、そういった高速増殖炉の本質に由来する未知のアクシデントを100%事前に察知できる能力としか言いようがありませんが、それが50年間できる可能性は間違いなくゼロ%です。過去の事故の対策を100%行うだけでは不十分なのです。

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaoshoさん

高速増殖炉で扱うエネルギーは少なく無いものなので、危険性はありますね。未知の技術を用いているので事故も多発しています。

しかし事故の性質を見ていくと、基本的な設計に起因するものは無いはずです。高速増殖炉で求められている技術革新は、安全に運用するためのノウハウ蓄積であると捉えています。

重大事故の可能性も否定しませんが、そういう事態の防止ノウハウを含めて「もんじゅ」で検証を進めて行くものだと思っています。

なお、液体ナトリウムの火災ですが、軽水炉の水素爆発や水蒸気爆発と違って建造物を吹き飛ばす事は無いと思います。ましてや原子炉を破壊するのは難しいでしょう。
常圧で液体で稼動しており、気化して気圧の形でエネルギーをためないからです。

sadaosho さんのコメント...

Uncorrelatedさん

お返事ありがとうございます。

>なお、液体ナトリウムの火災ですが、軽水炉の水素爆発や水蒸気爆発と違って建造物を吹き飛ばす事は無いと思います。

と書いて下さっていたので一安心しましたが、その根拠・理由が残念ながら的外れになっているように思われます。

>常圧で液体で稼動しており、気化して気圧の形でエネルギーをためないからです。

私が4つ上のコメントで書いたシナリオの中には、減圧によってナトリウムが気化するなどというプロセスは入っていません。Uncorrelatedさんがシバさんのところにコメントした内容と照らし合わせてみても、どうもuncorrelatedさんは「高速増殖炉では福島第一と同じプロセスでは水素爆発・水蒸気爆発ともに生じないから安全」と考えているように見受けられます。実際は高速増殖炉では以下に述べるリスクによって多様なプロセスを経て炉心溶融に至りうる性質を持っていると考えています。4つ上のコメントで引用したリンク先が非常に詳しかったです。

ナトリウムを冷却剤とした高速増殖炉の孕むリスクは、第一に炉内が高い確率で正のボイド係数になり、いったん冷却不足が生じナトリウムが沸騰し出すと、(それ以外の条件が変化しなければ)一気に炉心崩壊に至るという点です。エンリコ=フェルミ炉では実際にこのシナリオで炉心溶融事故が発生しています。

私が上で引用したリンク先では、根拠のよくわからない「解析」の結果、自然とそのような事象は生じえないという結論になっています。ですが、制御棒が挿入された軽水炉ですら冷却ストップ後わずか数時間後に炉心溶融したという事実を目の当たりにした今となっては、容易に信じることができません。

リスクその二は二次冷却系のナトリウムと三次系の水とがすぐ近くを通い合っているためにマイナーな故障によっても火災が発生することです。言うまでもありませんが95年のもんじゅの事故がこれにあたります。

そう言えば私が4つ上のコメントで想定したケースでの矛盾に気がついたので、訂正させて下さい。中継装置の回収作業中の空気混入による火災発生→火災によるナトリウムの消失、あるいは作業装置の落下などによる冷却剤循環のストップ、あるいはそれらが同時に発生→ボイド係数正による全ナトリウムの沸騰→前回の引き上げ作業時に生じたキズから気化ナトリウムが爆発、というシナリオでしたが、空気が混入しているということは原子炉がなんらかのアクシデントによって密閉状態になっていないことになります。そうなるとナトリウムが原子炉および格納容器を爆破するという最悪の事態は起こらず、空気の流入口から気化ナトリウムが次々に排出されると同時に炉外で発火・爆発になる方が可能性が高い気がします。一方冷却剤を失った炉はFCIによる核燃料の排出も起こらず、メルトスルーに至り、以後50年ほど地下でくすぶり続ける。

このシナリオだと、ナトリウムの火災・爆発の程度によりますが被害のイメージは福島第一と同程度で半径300kmまでにはならなさそうです。

>しかし事故の性質を見ていくと、基本的な設計に起因するものは無いはずです。

「基本的な設計に起因する」事故の内容が良くわかりません。単なる設計ミスが原因の事故ということであれば、95年のもんじゅの事故はそれにあたると思いますし、ナトリウムを冷却剤として用いることを原因とする事故ということであれば、高速増殖炉で生じたほとんどすべての事故がそれにあたってしまいます。

高速増殖炉では福島第一のような軽水炉とは異なって、冷却剤の循環がストップしたり不足したりしても冷却機能が維持される、という事実があるのでしたらほぼ安心できるのですが……。

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
液体ナトリウムが沸騰するケースを心配されているようですが、軽水炉と違い常圧運転なので、循環器に漏洩があっても一気に沸騰することはありません。軽水炉はあります
ゆえに軽水炉より瞬間的な冷却剤喪失事故が発生しづらいので、高速増殖炉の方が災害対応までの時間が長い事になります。冷却剤がある限りは、ボイド係数はマイナスなので、メルトダウンのような重大事故の可能性は低くなります。

> 冷却剤の循環がストップしたり不足したりしても冷却機能が維持される

液体ナトリウムを利用しているので、電源が無くても自然対流します。一次冷却系を空冷する装置も備えられており、ステーション・ブラックアウト対策は軽水炉よりも考えられているようです。
本格稼動前に、この機構の動作確認はするようなので、秋か冬ぐらいに安全性がどの程度あるのか分かると思います。

以上のように高速増殖炉は、液体ナトリウムの存在で安全性が確保されているようなものなのですが、液体ナトリウム自体が発火する可能性があるので、火災の防止・制御は大事なポイントになりますね。

sadaosho さんのコメント...

uncorrelatedさん

>冷却剤がある限りは、ボイド係数はマイナスなので、

これの出所は何になるのでしょうか?当方が調べた限りでは、冷却剤の沸騰が生じた際のもんじゅのボイド係数は正、もしくは正になる可能性が高いとのことでしたが。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E9%80%9F%E5%A2%97%E6%AE%96%E7%82%89
http://www.nsc.go.jp/hakusyo/hakusyo13/122.htm
http://www.enup2.jp/newpage40.html
http://www.pen.co.jp/syohyou/s-datugen/syohyou9414.html
http://www005.upp.so-net.ne.jp/shigas/Homepg49.HTM

正であってもナトリウムの沸点よりも遙かに低い温度で運用しているためボイドの意味は非常に小さいという指摘はありましたね。少し安心です。ただ、ナトリウムの火災が発生している際もその限りかどうかはわかりませんが。

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
> 冷却剤の沸騰が生じた際のもんじゅのボイド係数は正

冷却剤がある限り = 沸騰しない限りの意味で書きました。
沸騰しても、ボイド係数が正になる場所もあるという話で、全体が正と言うわけでもないらしいですけどね。

> ナトリウムの火災が発生している際

ナトリウム火災が発生していても、炉内で火災になるわけではないかと。

sadaosho さんのコメント...

uncorrelatedさん

早速のご返事ありがとうございます。

>冷却剤がある限り = 沸騰しない限りの意味で書きました。

一部(特に炉の中心部)で沸騰しても大部分の冷却剤は液体状態で存在します。少しでも沸騰したら冷却剤が存在しないのと同じだと考えておられるのでしょうか?そうでしたら、ある意味私と同じ認識で、高速増殖炉は非常に危険な存在になります。

また、書き忘れていましたが、3つ上のコメントでは

>循環器に漏洩があっても一気に沸騰することはありません。軽水炉はあります

と書いていますが、以前引用した高度情報科学技術研究機構のレポートによると、高速増殖炉でも外部電源の喪失などによって冷却装置が働かなくなると、十数秒で冷却用液体ナトリウムの沸騰が生じると書かれています。沸騰時における炉心付近のボイド係数が正だということはuncorrelatedさんも同意していただきましたが、そうなると沸騰は一気に進んでしまいます。

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=06-01-02-08

繰り返しになりますが、高速増殖炉では漏洩は三次系付近でない限りおそらく大きな問題には直接つながらないようですが、漏洩以外の要因によって生じた冷却系の故障にはやはり弱いという評価を下さざるを得ません。

ただ、同じレポートによると一定の時点で燃料が拡散
して炉心溶融には至らないケースが多い、と書いてはいますが。

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
色々と心配されているようですが、その資料では液体ナトリウム沸騰時も「起因過程から顕著な出力上昇に至ることはないことが示された。」と結論してありますね。
資料では致命的な危険性ではないと書いてあるわけですが、sadaosho さんは何を心配されているのでしょうか?

なお、液体ナトリウムが沸騰するのは、「外部電源喪失等による1次系の冷却材流量減少時に原子炉停止失敗を想定するULOF(Unprotected Loss of Flow)事象」のときに、「十数秒程度(設計に依存)でナトリウムの沸騰が生じる。」とあるので、福島第一のとき以上の重大事故と言うことになります。

sadaosho さんのコメント...

Uncorrelatedさん

お返事ありがとうございます。

>液体ナトリウム沸騰時も「起因過程から顕著な出力上昇に至ることはないことが示された。」と結論してありますね。

いえ、良く資料を読めばわかりますが、顕著な出力上昇に至らないのは、「保守的な条件」を設定していない場合であり、また起因過程で顕著な出力上昇しない場合でも、崩壊熱は蓄積し次の遷移過程へと至ることが述べられています(私の上のコメントでも起因過程では顕著な出力上昇に至らないシナリオになっています。それが正しいかどうかはわかりませんが。)

遷移過程では、結論として上でコメントしたことの繰り返しになりますが、核燃料が微粒子化して炉外に排出されることが、「解析」によって明らかになったとされています。

また、保守的な条件(意味がわからなかったのでググると、事故発生と同時に冷却剤が消失し、燃料も溶融、さらに解けた燃料が集合して再臨界し核的爆発に至るというモデルだそうです)でも、要約すると「適切な設計」によって気化ナトリウムの炉外への放出もなければ炉容器破損も防止できると「解析」されていました。

問題はこの報告を信用するかどうかです。Uncorrelatedさんは信用されているようですが、3.11以降の事態を踏まえると不安になります。

また、もんじゅ訴訟での名古屋高裁金沢支部が出した判決文(リンクは下)では、以上の安全性審査に対して、「実証性はない」と判断しています。

>sadaosho さんは何を心配されているのでしょうか?

uncorrelatedさんも、高裁判決文
http://www.page.sannet.ne.jp/stopthemonju/side/saiban/hanketuzenbun3.1.pdf
の16ページから29ページまでを是非お読み下さい。私の心配している点は、ここにまとめられているといっても過言ではありません(知らなかったことも随分ありました)。読んだ上でなお各々の指摘箇所について安全であるとuncorrelatedさんが断言できるのであれば、安心を得るためにもぜひお知らせ下さい。

ところで、uncorrelatedさんは「基本的な設計に起因する」事故を一体どのように定義されていたのでしょう?

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
基本的な設計に起因する問題は、やや曖昧なのですが「改善不可能な特性」の事を示唆しています。重大事故が多発するタイプの航空機などがあるのですが、そういう欠陥が示されていないと言う事です。

「保守的な条件」ですが、再臨界で核爆発はかなり強い仮定ですね。
簡単に核爆発するなら北朝鮮もイラクもイランも苦労しないわけですが。

安全と書かれた文書を見ても不安を感じるようですが、再臨界前にステーション・ブラックアウトの実験を行うようなので、そこで問題の整理が随分とされると思います。

高裁判決文は危険性を指摘するものにはならないと思います。
最高裁判決が出ているので、司法的には問題ないと判断されているわけです。

ところでsadaoshoさんにお伺いしたい事があります。本エントリーでは以下の点を指摘するために書きました。

・高速増殖炉に投資する金額は多額でも問題ない。
・小出裕章氏が参議院行政監視委員会で、もんじゅの投資金額を理由に、高速増殖炉計画を批判している。
・高速増殖炉計画を批判するなら、小出裕章氏は技術的問題点を示すべきだった。

sadaoshoさんが心配されている高速増殖炉の技術的な安全性を述べてはいません。このエントリーのコメント欄で安全性の議論を展開される目的は何でしょうか?

高速増殖炉計画を批判されるのは自由だと思いますが、色々と仮定条件を置いた上での御主張のようなので、御自信のブログ等でエントリーを立てた方がよろしいかと思います。

sadaosho さんのコメント...

Uncorrelatedさん

引き抜き作業が上手くいって、本当にホッとしています。

>基本的な設計に起因する問題は、やや曖昧なのですが「改善不可能な特性」の事を示唆しています。

ご回答ありがとうございます。少し理解が進みましたが、やはり何を持って「改善不可能な特性」と判断するかの判断基準が不明確です。例えば、高速増殖炉ではナトリウムと水(空気中の水分)が反応して燃焼する事故や出力異常事故が1955年以降世界中で繰り返し繰り返し発生し続けていますが(http://www.geocities.jp/tobosaku/kouza/fbr3.html)、「基本的な設計に起因する問題」に該当してしまうように思えます。なんとか様々な手段でこれらの事故をふさぎ込もうと四苦八苦していることは認めますが、現実に同じ種類の事故が起こり続けているという点で、「改善不可能な特性」と判断せざるを得ないからです。

>簡単に核爆発するなら北朝鮮もイラクもイランも苦労しないわけですが。

核爆弾の製造で難しいのは、狙った時点でのみ確実に瞬間的かつ効率的に爆発させ、それ以外の時点では簡単に爆発しないようにすることです。単に原子炉を暴走させて爆発的事象を発生させることだけなら北やイランでも簡単ではないかと思います。そんなことをしたいとはかけらも考えていないでしょうが。

>高裁判決文は危険性を指摘するものにはならないと思います。最高裁判決が出ているので、司法的には問題ないと判断されているわけです。

司法的に問題がないからと言って技術上・安全上問題が無いわけではありません。最高裁判決文が高裁が示したもんじゅのリスクをすべて逐一否定していたのであれば参考になるのですが、それらについては特に反論は無く、安全委員会など被告側の判断に違法性が無い(=想定外の事態には責任を取らなくても良い)と判断しただけ、つまり国の原子力政策を追認するために政治的判断で救っただけだからです。

>・高速増殖炉に投資する金額は多額でも問題ない。
>・小出裕章氏が参議院行政監視委員会で、もんじゅの投資金額を理由に、高速増殖炉計画を批判している。
>・高速増殖炉計画を批判するなら、小出裕章氏は技術的問題点を示すべきだった。

第2および第3の指摘については同意します。技術的問題点ではなく計画からの絶望的な遅れを指摘するにとどまり、そうなる技術的要因については省略していましたね。

>このエントリーのコメント欄で安全性の議論を展開される目的は何でしょうか?

ネットで色々探し回りましたが、第1の指摘をしているまともな論者がuncorrelatedさんだけだったので、純粋な知的好奇心で疑問を投げかけてみた次第です。結果、もんじゅをはじめとする高速増殖炉についての理解が深まり、非常に有意義な議論ができました。長々とおつきあいいただき、ありがとうございました。

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