人気ブロガーだったイケダハヤト氏がホメオパシーが効くと言い出しネット界隈で非難されて、「ネット民はホメオパシーに親でも殺されたの?」と言い出した。何となく炎上マーケティングな気もするのだが、ホメオパシーに子どもを殺されたと思っている人がいることは、良く認識した方が良いと思う。もう忘れたのだと思うが、山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故のことだ。助産師が引き起こした事故であるため、日本学術会議の金澤一郎東大名誉教授が声明でホメオパシーを非難するに至った。
代替医療自体に大きな弊害がなくても、それを試す事で適切な治療の機会を失う事がある。少しでも効果がありそうな主張をしている人々を非難するのは無意味とは言えない。蚊ならともかく、ムカデや蜂に刺されたときに効くと主張しているので、イケダハヤト氏の主張も弊害が大きい。例えばスズメバチに刺されたとすると、運が悪いとタイムリミットは一時間も無いそうだ。真に受けて試したら、アナフィラキシー・ショックで死んでしまうであろう。氏の話を真に受ける人がいるのかは謎であるが、そう仮定して非難する人が不適切とは言えない。
なお、イケダハヤト氏の知人にはホメオパシーが効いたと言う体験談だが、人間の治癒能力がもたらす錯誤である。人体は多少の怪我や病気は勝手に治るようにできているので、おまじないやホメオパシーを試した後に、それらに効果が無くても怪我や病気が治る事は不自然ではない。赤の信号機の前で「青になれ」と繰り返し念じていたらいつかは青になるが、祈念が通じたとは言えない。イケダハヤト氏が犯しているのは、これで祈念が通じたと勘違いするのと同じ誤謬だ。
偽科学は今まで発達してきた科学・技術を否定してしまっているし、それ以前に上述のような誤謬を多発しており物事の考え方がなっておらず、そもそも事象の解明よりは擁護者の虚栄心の充足が優先されている気がする所に不満を覚えなくも無いが、これらだけであればそう目くじらを立てる必要も無いのかも知れない。擬似科学はそれ自体が弊害を引き起こしうるし、ホメオパシーのように悪くても一見無害な砂糖玉であっても、自分や家族に医療忌避を引き起こす可能性がある。
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