ネット界隈では、低成長を前提に話を進めると反成長派と罵られる事が多々ある。そもそも成長が嫌なのか、成長を諦めているのかは違うと思うのだが、過去の傾向から単純な計算を行なうと、そう高い経済成長率は期待できない。年率0.6%ぐらいになる。今までの傾向がしばらく続くと思うのは常識的な態度であるから、低成長を前提にするのを非難するのは不当であろう。
過去14年間の生産年齢人口ひとり当たりの実質GDP成長率は年率1.47%だった*1。今後10年間は年率0.86%の人口減少が予想される*2。この二つの数字から計算すると今後10年間のGDPは、年率0.6%成長になる。過去14年間の1%より低い。
経済政策によって、実質GDP成長率を高めることはできるかも知れない。リフレ派、上げ潮派の考えはこうであろう。しかし、そうは大きくはなりそうにない。政府目標の実質2%成長の実現でさえ、かなり甘い想定に基づいている。
人口動態はすぐに変えられない*3。だから2%の成長を実現するには、生産年齢人口ひとり当たり2.88%の成長が要る。これは米国や欧州の2倍のペースの成長を意味するし、80年代の数字2.81%を取り戻すことを意味する。
こういう理由で、低成長は常識的な想定である*4。これに基づいて議論を進めている人を「反成長派め」「不景気は弱者を殺す。人殺しめ」と中傷するのは問題だ。誰かが何か成長戦略を思い描いているのかも知れないが、それが実証されるまでは低成長を前提とせざるをえないからだ。
0 コメント:
コメントを投稿