オバマ大統領の強いリーダーシップのもとで2010年に実現された米国の医療保険制度改革 ─ 通称オバマケアだが、色々と混乱を引き起こしている一方で*1、早速、その目的の一つである医療費抑制効果が出てきたかも知れないようだ。
ThinkProgressで、2002年から2010年に平均8.2%の伸びを記録してきた家族保険料が、2011年以降は5.6%に抑制された事を紹介している。医療コストの抑制が背景にあるそうだ。インフレ率1.1%、賃金上昇率1.8%と比較すると、5.6%の伸びはまだ高い水準ではあるのだが、2085年までに政府の給付金制度は、経済の4%を占めるにとどまる見込みだ。以前の予測7%と比較すると低い。
医療費抑制の理由は議論があるのだが、遅い経済回復が米国人に低質の医療サービスを探させ、雇用主に控除免責金額と自己負担金が高くすることで保険料を安く仕向けている一方で、急激な新治療の開発を抑制し、ジェネリック医薬品や効果的な治療に依存するように構造的な変化が現われていると見る向きもあるようだ。
以前の米国では公的医療制度がほどほどの治療指針を出さないせいか、医者が情報の非対称性を活かして費用対効果の薄い高額治療を患者に勧めたり、民間保険会社が保険金支払いを抑制するために必要な医療サービスへの支払いを拒否するホラーストーリーが発生することで、病状が軽いうちに治療を受けない患者が出るなどの問題が起きていたとされる。先進国で最も劣悪な医療制度と考えられてきた*2。
こういう事情があるのでオバマケアが長期的に医療費を抑制することは十分ありえると思うのだが、それでも医療機関の経営方針が急に変わるとも思い難いので、効果が出るのは少し早いような気もしなくも無い。景気回復が本格化するまで、評価を保留できない気持ちも分かるけれども。
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