科学リテラシーの専門家を名乗る富山大学の林衛氏が、日吉ダムの異常洪水時防災操作によって洪水が悪化したようなことを主張している(Togetter)。
他の人にオペレーションは適切であると反論されているのだが、話しが噛み合ってい無い。どうも林氏はそもそもダムが無い方が良いと主張しているようだ。んなあほな。
1. ダムが無いほうがいい?
林氏は「ダムの建設,放流による増水というのは,人災的側面」と言っているし、「上流からの流量は,プロの腕がいかにあろうとも変えられません」と運用は問題でないと主張している。そして「ギリギリまで放水せず貯めていた水を,危ないと思って一気に放流したために中流域で洪水になるというパターンがあります」と言っている。ダムが無い方が良いという事であろう。しかし、この話はおかしい。
2. 最悪でも流入量=放水量は維持できる
ダムが決壊すれば、たまった水が溢れて洪水被害が拡大する。しかし、治水を最適化するためではなく、単にダムを決壊させないオペレーションは難しくはない。貯水量を一定以下に抑えればいいわけで、これは流入量≦放水量を維持すればいいだけだ。貯水量が限界付近であっても流入量=放水量であれば、貯水量は一定でダムは決壊しない。さて、流入量=放水量のときに洪水被害は拡大するのであろうか?
3. 流入量=放水量なら洪水は悪化しない
流入量=放水量という事は、ダムが無いのと同じ状態なのだから、ダムが存在することで洪水被害が拡大したとは言えない。大雨が予想されたのにダムを満杯にして待っていて洪水防止に失敗することはあっても、ダムが存在したから下流域に洪水が発生する事は無いわけだ。ゆえに林衛氏の主張は意味不明に思える。
4. 実際は洪水被害を軽減できた
ところで治水が最適化できていたのかが気になるところだが、少なくとも洪水被害を軽減したとは言えるようだ。下流の水位を見ると、ダムがある事で最高水位は低くなり、氾濫危険水位を上回った時間は短くなったと推定されている。厳密には理想的な運用と比較する必要があるわけだが、素人目には問題があったようには思えない。
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