comScoreの最新の調査では、Android OSの加入者数シェアが31%と首位に立った。RIM BlackBerryとApple iOSは、それぞれ30.4%、24.7%となっており、2008年9月からの2年間でスマートフォン市場を制した事になる。3ヶ月間でAndroidはシェアを7.7%増加させ、RIMは5.4%減少させた。Appleは0.1%増加とシェアを維持しているに過ぎない。
1. シェア拡大が続くAndroid
AndroidとiOSのシェアは2010年11月に逆転していた事が既に公表されているが、今回の調査ではAndroidがRIM BlackBerryをも抜き去ったことになる。
OS | 2010年 10月 |
2011年 1月 |
増減 |
---|---|---|---|
Google Android | 23.5% | 31.2% | 7.7 |
RIM BlackBerry | 35.8% | 30.4% | -5.4 |
Apple iOS | 24.6% | 24.7% | 0.1 |
Microsoft WM/WP7 | 9.7% | 8.0% | -1.7 |
Palm | 3.9% | 3.2% | -0.7 |
世界最大規模のモバイル関連展示会MWC2011でもAndroid端末が大きな展示スペースを占め、AndroidがiOSに対して優勢である事を強く印象付けているようだ(ITライフハック)。比較的iOSのシェアが大きく出る傾向のあるNielsenの最新の調査でも同様の結果となっており、Androidの独走状態は確認されたと言っていいであろう。
2. 伸び切れないAppleのiOS
Appleは、機能やデザイン、アプリケーションの充実度が高い評価を得ているiPhoneやiPadという製品を持っており、シェアが大きく量産効果が最も働くスマートフォン製造業者だ。最近はその垂直型ビジネスを評価する記事も多々見かける。それにも関わらず、Appleがシェア拡大競争に負けつつあるのは、興味深い事象だ。
よく、多くの製造業者がAndroid端末を製造しているため、Apple単独では立ち向かえないとの分析を見かけるが、規模生産性を考えると根拠を欠く主張となっている。ソフトウェアとしてのiOSに何らかの魅力が無いか、ハードウェアとしてのiOS端末に訴求力が無いか、特殊な社会的効果が働いていると考えるのが自然であろう。
3. ハードウェア主体のApple、サービス主体のGoogle
Appleは、2010年でソフトウェアと音楽配信を含むサービスによる売上は15%程度となっており、事業内容としてはハードウェアが主体の企業となっている(asymco)。逆にAndroid OSを開発するGoogleは、収入源は広告だが、事業内容としてはソフトウェアとインターネット・サービスが主体だ。
ハードウェアで利益を得る場合、在庫リスクを避ける意味もあり、なるべく少品種で大量の製品を製造・販売する方が効率が良い。しかし、規模生産性だけを重視すると、キーボード付スマートフォンのような『ニッチなニーズ』を切り捨てる事になるので、市場シェアは十分にとれない。ハードウェア製造業者は1社で独占的な状態までシェアを拡大しようとすると、収益性を損なう可能性がある。
Googleはインターネット・サービスの会社であり、スマートフォンにはソフトウェア的に貢献をしているものの、ハードウェア的なリスクを負っていない。多様なハードウェアでAndroid端末が供給されることは、サービス利用者の幅を広げる事になっても、Googleの収益性を損なう可能性はほとんど無い。アプリケーション・プラットフォーム競争では、対応端末をとにかく拡大していけば良いGoogleの方が有利という事になる。
4. 利益をあげつつシェアを失うApple
結果としてAppleの経営状況は素晴らしい状態だが、Google Androidとのプラットフォーム競争に敗れつつある状態になっている。かつてのWindows PCとMacintoshの競争と同じような現象が起きているようだ。
Appleとしては、iPhoneのバンパーやiPadのカバーのカラーバリエーション、Veizon Wireless向けのCDMA2000端末、廉価版iPhoneなどで対抗していく姿勢も見せているが、少なくとも2011年1月まではシェアに関しては深刻な状況になっている。
0 コメント:
コメントを投稿