福島第一原発に生じた災害により、しばらくは放射能汚染が話題になりそうだ。構造上、核爆発の可能性は低いので、放射能汚染への対応に関心が持たれている。
それも、現在の状況のまま終息すれば、福島県でも原発敷地内など限定的な地域でしか除染は必要なさそうではあるが、微量でも居住地や職場の付近で普段より強い放射線が観測されれば、普段から危険と言われているので対策に関心が行くものだ。そんな福島第一原発に関連した放射能について、11の事柄をまとめてみた。
- 放射能とは、放射線を出す能力、転じてメディアでは放射線物質の事を指す事が多い。
- 放射線はX線や中性子などの多様な種類のエネルギーで、種類や強度によっては人体に影響があり、強度はエネルギー量を表す単位グレイ(Gy)で計測される。
- 人体への影響評価のために、シーベルト(Sv)と言う単位が作られている。様々な放射線を一律評価する基準で、7Svで死亡し、1Svで明確な健康被害が出現、0.15Svで吐き気などを起こすと言われており、年間の被曝量は0.0024Svを限度とすることが推奨されている。現時点の今回の災害では、原発構内で0.4Sv、東京で0.000000809Svが瞬間最大値となっている。関東の放射線量は、中国の核実験で日本が受けた影響より小さい(読売新聞)。
- 放射線物質の隣に非放射線物質を置くと放射線物質になる(放射化)。しかし、放射線物質の大半は、数秒で非放射線物質になるので公害要因にならない。問題になるのは、長寿命な放射線物質。
- 原発では副産物として、プルトニウムの他、ヨウ素(131I、半減期8.1日)、ストロンチウム(90St、半減期28.78年)、セシウム(137Cs、半減期30.07年)の長寿命な放射線物質が生産されている。
- 新品の燃料棒には、これら三物質はほとんど含まれない。ウランを核分裂させると、これら三物質が発生する。福島第一原発の場合でも、4号炉の使用済核燃料からの放射能流出が多かった。
- 131I、90St、137Csは、風に運ばれて拡散する。福島第一原発の事故でも、250Km離れた東京都日野市で瞬間的に放射線濃度の上昇をもたらした。
- 131Iは、甲状腺に吸収され甲状腺がんの原因になる。あらかじめヨウ素剤を投入しておくと予防になる。しかし、ヨウ素剤は市販されていない。
- 90Stは、カルシウムの代わりに骨に蓄積されて健康被害を引き起こす。特に予防剤は無い。
- 137Csは、カリウムと置き換わって体内に入り、健康被害を引き起こす。特に予防剤は無いが、比較的排出されやすい。
- 花粉症と同じ予防が131I、90St、137Csには有効。つまり、マスクや濡れタオルで口を覆い、肌を露出せず、屋外に露出した上着などを部屋に持ち込まない事で吸収確率を減らすことができる。
福島第一原発の事故では、原子炉が崩壊してプルトニウムが飛散しているわけでもなく、短期間の極低レベルの放射能汚染を周辺にもたらすだけだと考えられている。今のままで終わっても、施設の検査・復旧費用と風評被害が問題になるが、原発関係者以外には大きな被害がない状態で終息する事を祈りたい。
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