クラウド・サービスの代表例の一つとして知られるAmazon Web Services(AWS)は、東京にデータセンター“東京リージョン”を開設した。これにより、(1)遅延時間の大幅改善と、(2)コンプライアンスや規制上の要件に適応することが可能になると見込まれており(Amazon Web Services ブログ)、『クラウド』の普及が進むかも知れない。
特に遅延時間はAmazon EC2の技術的な弱点として知られていた。ブラウザ・ゲームを作っているウノウ株式会社(現ジンガ・ジャパン)の技術者が遅さを指摘していたが、AWS導入の障害になっていたのは間違いない。TCP/IPで最も使われるプロトコルであるTCPは、RTTに速度が依存する。従来のAWSは、シンガポール・リージョンで90ms、アメリカ西海岸で125msec、東海岸で200msecとなっていたが、東京では14ms程度になっているようだ。単純に考えれば、シンガポールの8倍のスループットを期待する事ができる。
ただし料金自体は従量制で、保守運用コストを計算に入れなければ、割高な状態だ(@IT)。社内のサーバー運用リソースが十分に無い場合、データが急激に増加していく場合は使い勝手がいいようだが、積極的に採用している企業は少数にとどまると考えられる。
AWSは他のクラウド型ホスティング・ソリューションと異なり、VPSのEC2、仮想MySQLサーバのRDSなど、従来型のソリューションで利用できるようなサービスが多く関心が高い。人気や季節でトラフィックが大幅に変動するインターネット向けのブラウザ・ゲーム(e.g. ブラウザ三国志)のようなサービスでは、徐々に普及が進んでいる。スループットの安定性に問題があるようだが、東京リージョンで改善が見られれば、一気に普及するかも知れない。
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