2020年3月26日木曜日

東京都のSARS-CoV-2の感染増加率がどれぐらいヤバいか基本再生産数R₀で見ると

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偉い人の今後の算段が大きく変わりそうな感じである。

新たに新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者が41名確認された。これまでの毎日の新規感染者数よりも大幅に大きいが、イマイチ問題の大きさが分からない。帰国者や旅行者もいるわけだし、無症状者や軽症者が街を歩いているのも確かなので、ぼちぼちと発生し続けるのは想定内だからだ。感染拡大ペースがどの程度か、それがどれぐらいひどい帰結をもたらすかの指標になる、基本再生産数R₀を雑に計算してみた*1

3月1日~3月25日までのR₀の推定値は約0.834である一方、3月19日~3月25日までのR₀の推定値は約1.134になる。R₀は生活習慣などの影響と隔離措置など感染防止政策の効果を含む*2。R₀<1であれば感染症はすぐに消えてしまうが、R₀>1であれば集団免疫を獲得するまで感染経験者数は増加していく。抑制政策のつもりだったが、緩和でしかなかったわけだ*3

SIRモデルで考えて、R₀=1.134は医療崩壊を招かないと言う意味では悪くはないのだが、収束までの時間がかかり、ピークが500日後、つまり一年延期された東京オリンピックのときには日々の感染者数が増加している状態になる。さらに、感染経路不明の感染者が増加しているわけで、悪化してきたR₀がここで止まるとも限らず、感染防止策の強化が必要だ。医療・介護・飲食が危険な場所になるのだが、この辺への規制や支援がより一層必要かも知れない。

追記(2020/03/26 17:31):今日、26日の東京都の感染者数が速報値の46名だとすると、直近1週間からのR₀は1.4ぐらいになって、そのうち6割ぐらいが感染を経験するペースになる。

*1東京都を閉鎖空間と見なして確認された陽性者の5倍の感染者が存在するとし、感染者数が9日で半減するように回復率γを置いて、感受性保持者の比率の影響を補正した累積感染者数が指数関数にしたがって増加するとし、対数線形モデルで線形回帰をした推定値から計算した。0時点を1と置いた指数関数の0時点の微分係数が感染率βとなる。R₀とβの関係はと置いている。データセットは東京都オープンデータカタログサイトの新型コロナウイルス陽性患者発表詳細を用いた。

*2一般には、基本再生産数(basic reproduction number)R₀は、免疫獲得者/感染者ゼロで、特別な感染防止策をとっていない(が社会習慣などの影響も受ける)数字で、実効再生産数(effective reproduction number)R/Rₜ/Rₑは、免疫獲得者/感染者の影響コミで、特別な感染防止策の影響もコミの数字になる。

*3無対策のSARS-CoV-2のR₀は4~6と言われているので、封じ込め/水際(R₀=0)→抑制(0<R₀<1)→緩和(1<R₀<4.0)ぐらいの感覚に捉えれば良い。なお、R₀<1.4ぐらいで、病室が不足する医療崩壊は防げると思われる。

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